2017-10

大人は「結果」を作り出したくなる - 2016.11.30 Wed

昨日、駅の連絡でスカイツリーの下を通りました。
まあ、道に迷っちゃったんですけどね。

そうしたらちょうど観光バスなどの降り口のところで、小学校高学年の遠足に出くわしました。

どうも、上に登るのに時間調整でしばらく待たなければならなかったみたい。


先生たちが一生懸命大きな声で、「一列に並びなさい」とか「静かにしなさい」だとかをしつこく指示してします。
しかし、子供たちにはあまりそれは伝わっていないようです。






「子供のあるべき姿」のようなものを設定して、そこに子供を「当てはめようとする」というのは、まさに日本の子育ての考え方であり、学校の先生方がおちいりやすい関わり方です。


一度「正しいこと」を設定すると、大人はそれに当てはまっていない状態を許容できなくなります。
結果的に、子供の行動に「干渉」をせざるを得なくなり、それが募って「過干渉」を生み出します。


しかし、子供は「過干渉」になると、かえって大人の言うことに耳を傾けなくなるので、大人は子供を従わせるために強制力を用いなければならなくなります。

その結果として、日本の子育てでは「叱る」「怒る」「威圧する」「脅す」が導き出されてしまいます。
それら強い関わりが苦手な人は「ごまかす」「子供だまし」「釣る」「おだてる」を使うことになります。




僕はその先生たちが一生懸命、使命感や善意でやっているのはわかるのだけど、子供に関わるプロとしてはとても大切なことの覚悟が欠けていると感じます。

それはどういうことかというと、「子供を信じる」ということです。

その人たちが悪いと言っているわけではありませんよ。

おそらく多くの人がここを実践的に習わないことには、みなそのようになってしまいます。

どういうことかというと、みな無意識に「子供は大人が管理すべきもの」という先入観を持っているのです。


だから指示や命令がいきなり出てしまいます。
実は、この場面ではたった一言で子供たちは大人の望む行動をとってくれるようになるのです。


たった一言です。

では、それはどんな言葉でしょうか?



それは、状況により、そのときどき、その子たちにより多少変わっては来るでしょうけれども、例えばこうです。

「周りの人の迷惑にならないように待っていて下さい」

もしくは、「他のお客さんの通行の邪魔にならないように並んでいて下さい」といった言葉です。



どうして、これでいいのでしょうか?
また、どうしてこれだと子供を「信じていること」になるのでしょうか?


それは、大人が結果を作り出そうとはしていないからです。
子供に問題を投げかけ、それを子供たち自身で解決することを促す言葉掛けになっているからです。

大人はそこで「どうしなさい!」とは言っていません。

「○○という必要なことがあります。それを達成できるようにあなたたちが自発的に行動して下さい」という問題提起になっているのです。


(もし、この子供たちが対等の大人だとしたら、先生たちもそのような指示的な関わり方をしなかったはずです。
例えば「そこだと他の人が通れなくなってしまうので、もう少し端によって下さい」などのように、問題提起&提案のようなかたちになったのではないでしょうか。
それは相手の能力を信頼でき、それを尊重して信じているからです。
いきなり指示や命令をしてしまうというのは、相手を下位の存在と考えているか、その能力に欠けていると判断しているからです。)



これを子供と大人の信頼関係に基づいて(ここが重要です、昨日まで管理や支配しかしていなかった人が言葉だけ上のように使っても子供には通じないことでしょう、その場合は信頼関係を作るところからがスタートです)、伝え、待ち、実行してもらいます。

その実行の仕方は、ある程度ばらつきのあることでしょう。
もし、そのばらつきが必要条件を満たしていなかったら、またそこを指摘して子供の行動を待てばいいでしょう。

そうすると最終的に、大人は子供の行動とその結果に対して、「肯定」や「認める」ことができます。

「はい、長い間待たせてしまったけれども、皆さんのおかげで周りの人の迷惑にならずにすみました。ご協力ありがとう」

例えば、こんな風にね。





しかし、多くの人がするのは、直接的に子供の姿をこねくり回すことで、大人の望む「結果」を子供に短絡的に持たせる関わりです。

毎回、最終的に叱ったり、怒ったりになっているとすれば、子供が獲得するのは「叱られないと実行しない」「怒られないとやらない」という習慣です。

「怒られるからやる子」は、もし怒られない状況だったら、例えば誰も見ていないところや、怖い大人が見ていないところではやろうとしない子に育つ可能性はぐっと高まってしまうことでしょう。

「もっと叱りなさい」、「怒りなさい」、「子供をたたいてしつけなさい」という人たちが作り出すのはそういう子です。



子育ては短絡的に「結果を作る」のではなく、「子供を伸ばす」必要があるのです。




さて、ではこれを乳幼児の子供の関わりのシーンで見てみましょう。


子供が食事をしていて、口の周りを汚してしまうなんていうことはよくありますよね。
1歳でもあるし、小学校高学年だって汚したまま気づかないなんてことは普通にあります。


相手が小さい子だとすると、大人はついつい親切心で、子供の口の周りをいきなり拭いてしまったりします。


実は、これは「結果を作り出す」関わりなのです。

「口元をきれいにする」という結果を大人が作り出してしまったのです。

これが例えば0歳や1歳でも前半の子供だったとしたら、それでもいいかもしれません。(本当はその場合でも一声かけるべき ex.「ついているから拭きますよ」)
でも、子供の発達段階が進んで、口の周りを拭くことができる子供が相手だったら、その関わりは実は子供の力を奪うことになっています。

どういうことでしょうか?


もし、子供を伸ばす関わりを目指すのであれば、このとき手拭きなどが用意してある状態で、またはなにか拭くものを渡しながら、「口の周りが汚れていますよ」と伝えることで、それが達成できます。


子供は、それを受けて「自分が口の周りを汚していること」「食べ方によって汚してしまったこと」などに気づくことができ、さらに自分で気に掛け、考え、実際に拭くという行為を経験することができます。

これは相手が1歳の子供であったとしても、その積み重ねはきちんと活かされます。



大人が親切心だとしてもおもむろに口の周りを拭き取ってしまうといった対応だと、場合によっては子供はなにが起こったのかも理解することなく、その経験が過ぎ去ります。


なにが必要かを伝え、子供にどうすべきかを考えさせ、そして実行させる。
それでもうまくいかなかったり、失敗したら、そこにサポートをする。
それでもできなければそこから大人が手を貸すのでも遅くはありません。
いい結果が得られたならば、大人はそこに自然に肯定を送る。


こういったことが、日々の生活習慣の中で行われていれば、それをしないケースと比べて子供の成長にどれほどの違いがでてくるでしょうか。
些細なことであっても、日々の積み重ねは大きな違いをもたらします。

行動の自立は精神の自立をうながし、精神の自立は行動の自立をうながします。
それらは互いに車輪の両輪のように、子供を大きく成長させていきます。



小学生も同じです。
管理と支配がいかに上手にできたとしても、子供を伸ばさなければそれは大人の自己満足に終わりかねません。

子供自身を伸ばす視点を持って関わったら、6年間の積み重ねはどれほど大きいでしょうか。



しかし、日本の子育て観では、どうしても子供の管理と支配になりやすく、大人は「結果」を作り出したくなってしまいます。

以前にも書いていますが、「信じて待つ」。
このことは子供を伸ばす上でとても大切なことです。



そのような対応は、それを大人が身につけるまでは、意識的な配慮がいるけれども、一度身につけてしまえば自然とできるようになることでもありますよ。

自分のしていることに無自覚になってしまうと、ときとして保育士も学校の先生も「もっとも子供を信じない人」になりかねません。
しかし、仕事で長いことしていると自分のしていることには無自覚になりやすいものです。気をつけたいですね。

関連記事

● COMMENT ●

最近子供のお風呂の時間や寝る時間がどんどん遅くなり、指示出しばかりになっていたとはっとさせられました。

おとーちゃんは、私たち読者のことも信じて待っていてくれているんだろうな、と思える文章で、とてもありがたいです。一言で済んでしまうところを、心を砕いて丁寧に書いて下さっているのが伝わります。
いつもありがとうございます。

やってみました

5歳の息子が、まさに「言われないとやらない」「言ってもやらない、最後には叱るしかない」ということがよくあります。
特に、時間を守れず、予定する出発時間に家を出られない毎日・・・。

「時計の長い針がここに来たら、行ってきます、だよ。それまでに支度しようね」と行ってもなかなか行動せず、「今何をするとき?」「次は?」「今何してるの?」などの声かけを毎日していました。

この記事を読んで、息子を信じて待ってなかったな〜、と思い、「時計の長い針が〜」の声かけの後は口を出さず、見守ってみました。

すると、私の声かけがなくても、1人でちゃんとできたんです!
私がこまめに声かけしていたときよりもずっと早く。

これまで、私が邪魔していたんですね〜。
手出し口出しをしすぎないよう、がんばります。

ああー……

拭いちゃってました……今度からやってみよう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

私自身も幼少期拭かれてたから分からなかったです。
そういえば父に唾付きで拭かれて、くさってなった記憶の扉が今……!
閉じときます( ˙-˙ )


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/tb.php/979-8c9291c7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

2017年1月14日(土) 子育て講座 「受容的かかわりを学ぶ」 «  | BLOG TOP |  » 名古屋での座談会を終えて

ごあいさつ

ただいまコメント欄での子育て相談は休止中です。 お悩みのコメント下さっても回答を差し上げることができません。 申し訳ありませんが、過去記事、すでにある返信コメントなどを参考になさってください。 多くの相談への返信がすでにあります。関連するカテゴリーから探す、検索を使って探すなど利用してみてください。 多忙になってしまい、コメントへの返信ができなくなってしまいましたが、お寄せいただいたコメントにはすべて目を通し更新の励みになっております。ありがとうございます。

最新刊

よければレヴューも書いてね!

前作!

最新記事

最新コメント

プロフィール

保育士おとーちゃん

Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

講演等のご依頼

講演・ワークショップ等のご依頼はFacebookのメッセージ または『保育士おとーちゃんホームページ』 http://hoikushioto-chan.jimdo.com/ よりどうぞ。

カテゴリ

はじめにお読みください (1)
【まとめ】記事 (2)
子育てノウハウ? (75)
子育て日記 (13)
保育園・幼稚園 (90)
日本の子育て文化 (169)
おもちゃ (27)
叱らなくていい子育て (9)
排泄の自立 (11)
『魔の2歳児』 (5)
子育てまめ知識特集 (4)
あそび (41)
おすすめグッズ (8)
おすすめ絵本 (23)
食事について (15)
過保護と過干渉 (44)
満たされた子供 (7)
早期教育 (19)
我が家の子育て日記 (89)
心の育て方 (91)
相談 (84)
子供の人権と保育の質 (56)
その他 (57)
未分類 (21)
講座・ワークショップ (75)
父親の子育て参加について (3)
雑誌・メディア (21)
子育てに苦しむ人へ (6)

保育ひろば

保育ひろば

楽天

FC2カウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

おしらせ♪

当ブログはリンクフリーです。トラックバック・リンクはご自由にどうぞ。 しかし、本文・コメント・その他を含めて著作権は私にありますので、引用・転載する場合は連絡をお願いします。また引用元の記載も併せてお願いします。 なお写真の転載はお断りいたします。

ランキングに参加しています

検索フォーム

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

アクセス解析