2017-08

「正解」と「考え方」 - 2016.11.19 Sat

少し前、「友達関係においては、子供同士でものの取り合いなどのトラブルがあったときにも、あまり介入しない方がよいのだ」といった記事を書きました。

そこで、「過去記事にある”遊びの保証”のお話とは対立しはしないか?」というご質問がありましたので、それについてお答えしていこうと思います。





子供への対応は、その子がどんなポジションにいるかによって変わってきます。
そこでいうポジションとは、その子の発達段階や置かれた状況、他児との関係などです。


例えば、まだ社会性が未熟で他児とうまく関われなかったり(それがよくないということでなく、その発達段階に来ていないのだから求めることそのものに大した意味がない)、その場やそこの人間関係に慣れておらず他児と関わる事を求めることが無理だったり、負担になってしまうといった場合などがあります。



さらに具体的に見ると、おおよそ社会性が芽生えてくるのが3歳前後くらいと考えられますが、それだって個人差が大きいものです。
2歳くらいでも、他児と関わることに抵抗感がなかったり、その子自身の情緒の安定度が高かったりする同士であれば、子供同士での他児との関わり合いをそのまま見守ることも可能でしょう。


しかし、ある子が3歳半だとしても、幼かったり、遊ぶ力がついていない、賑やかしや過剰な刺激にならされてしまっており落ち着いて遊べなかったりするケース、または他の子供の存在に抵抗感が強い個性を持っていたりするならば、子供同士で他児と関わることを優先するよりも、その段階ではまずは遊びの力をつけてあげたり、その場に慣れる期間をもうけてあげたりする方がよくなります。
その場合は「遊びの保証」をしてあげることが、その子には必要であったり、有効であったりするわけです。

例えば、出先の児童館や公園などに行って、そこで知らない子同士で互いに抵抗感があったりする場合は、友達関係を優先させる必要もなく、遊びの環境の保証から始めて、その場やそこでいろんな子がいることにだんだんと慣れていけばいいわけです。

また、今日はちょっとイライラしているなというときだって、その状況で他児とうまく関係することを求める必要はありません。
「ああ、きょうはそういう日なんだな」と思って、落ち着いて過ごせる状況を優先させていいわけですね。その場合は遊びの保証を先に持ってくればいいのですね。




そのように、「遊びの保証をすることがよいことなのだ」とか、「友達同士の関わりを手を出さず見守ることがよいのだ」というように、子育てには「こうすることが正解」といったものがあるわけではないのです。

いろんな状況や、いろんな子供がいて、その中で「その子にとってはいま何が必要なのか」を考え続けていく必要があります。



しかしそれは難しく考える必要はありません。
厳密に「その子にぴったり合った対応を大人は常にできなければならないのだ」というようなものではないからです。

それはどういうことか?
簡単です。
「この子にはまだ早かったかな」「合わなかったかな」と思うのならば、次から別のやり方を試せばいいだけです。
つまり、”トライ&エラー”ですね。
「子供も失敗していい」というのと同じように、「大人も失敗しながら子育てしていい」というわけなのです。





さて、実はこの質問の背景にあることが、現代の子育てする多くの人の持つポイントになっています。

それは、「子育ての正解探し」になってしまうことです。

人は「我が子の現実の姿」と「子育ての情報・知識」のふたつを見比べながら子育てをしています。
どちらがより重要で先にあるかというと、これはまぎれもなく「我が子の現実の姿」なのです。


でも、子供と関わる経験がこれまで少なかったり、子育てに一生懸命だったり、まじめな性格だったりすると、無意識に「子育ての情報・知識」の方がより重要で、「それが正解である」という気持ちになってしまいます。

そして、そちらに子供の姿を合わせようとする関わりになってしまったり、「我が子の姿を”正解”に合わせられないこと」について悩むようになってしまいます。


「子育ての情報・知識」として言われていることが重要で、そちらが「子供の現実の姿」よりも先にあると考えてしまうのですね。

でも、子育ての出発点はつねに目の前にある子供の姿の方なのです。
「”正解”に子供を合わせる」のではなく、「子供の姿に合うやり方をトライ&エラーで模索していく」ことが必要なんですね。
そもそも誰しもに共通の「正解」があるわけではないのです。


だから、僕は「絶対こうですよ」と言った書き方をしている箇所はほとんどないと思います。
むしろ「~~かもしれない」と、なんともしまりのない書き方ばかりをしているでしょう。

それは、子供の個性や置かれた状況はみんな違うので、その子に合うか合わないかは、その当事者が実際にやってみないとわからないからです。
なので僕は、子育ての「正解」を述べているのではなく、子供の姿をとらえるときの「考え方」をお伝えしようと思っています。


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● COMMENT ●

おとーちゃんさん、こんばんは。
3歳&1歳の兄弟のかーちゃんやってます。上の子が生まれてから、こちらのブログを読み始め、本も読みました。おとーちゃんさんの考えをよりどころとしています。
が、私は下の子が産まれる少し前くらいから、上の子に辛くあたる日が増え、今も上の子を怒鳴らない日はない毎日です…。今回のブログを読んで、改めて「そうなんだよな…」と思ったので、コメントさせていただいてます。私が長男に対してイライラしたり、怒鳴ったりする時は、様々な情報や私の「こうあって欲しい姿」などに照らし合わせていることがほとんどです。自分の考える(求める)姿に、長男がやってること、言ってることがフィットしてないとカチーンときてることがほとんど。
「長男の気持ち、言い分を考えてあげないと」と頭の片隅にはあるけど、その瞬間はダメです。それは日頃から「目の前の長男の姿」を優先する考え方になってなかったんだと気づきました。
少しずつ、今の彼をしっかり見ていきたいと思いました。トライ&エラー、忘れずにいきたいです。
ありがとうございました。

>タカタカさん
一緒です~!!うちも去年下の子(娘)が生まれてから、3歳の長男を毎日怒ってばかりです。
下の子が生まれて、さみしい思いをしているはずなのに、わかっていても長男に優しくできない自分に毎日自己嫌悪。。。
危ないから!とか言いながら、結局、私の思い通りにならない事に怒っているだけ。
来月で4歳になりますが、赤ちゃん返りが続き、自分のことを「赤ちゃん」と呼んで下の子の真似ばかりしています。
この姿が、私(母親)がちゃんとできてないからだって突きつけられているようで、余計に追い詰められたり。
周りのお母さんや保母さんを見て、みんな優しそうで、こんなに怒ってるのは私だけかも。ほかの人に育てられた方が幸せかも。。。
って思い詰めるくらい毎日反省の日々。
つい同じ年齢のお子さんをもつお母さんの書き込みをみて、コメントしてしまいました。

私は、おとーちゃんさんが書かれた「PHPファミリー『子どもへの愛情に自信がない・・・・・・子育てに行き詰まったら』」の記事をブックマークして、思い詰めてしまう時に何回も読んでいます。
あと「現代版 子育ての必須知識」 の「子供の姿は、”私”が”すべて”を作り出さなくていい」の記事も目から鱗でした。
今回のトライ&エラーの記事にも救われました。
後悔ばっかりにならないよう、めげずに毎日ちょっとずつでもよい関わりができるように頑張ります。

私も同じ!

>タカタカさん

私も同じです!!
5歳、2歳の息子たちがいます。
ここ数週間、長男が次男に対して意地悪をすることが増えていて、どうしたものかと思っていました。
長男の様子を見ていると、どうやら私からの愛情不足を感じているようで。。
長男優先を心がけてみても大して改善されず、困っていたところにこの記事でした。

そしてもう一度長男の様子を思い返してみると、もしかして?という原因に思い当たりました。
9月末に5歳になってから、着替えや保育園の支度を全部1人でやってもらうようにしたんです。それまでは多少手伝ったり、全部私がやったりしていたのを、「5歳になったら全部自分でやろうね」と。
長男とも話して、納得済みのはずでしたが、やってみると淋しかったらしく、毎日「おかーさんも一緒にやろう」「おかーさん、やってー」。
そのたびに「5歳になったら自分でやろうね、って約束したでしょ」と話したり、しぼらくそばにいてから「もうお母さん用事があるからリビングに行くよ」と1人でさせたり。

これがかなり淋しかったのかも、と思い、今日は早めに保育園にお迎えに行き、長男だけと小1時間のラブラブタイムを過ごし、帰宅後の「おかーさん、やってー」にも笑顔でこたえました。
すごくうれしかったようで、安心して思い切り甘えてきました。
これまで、すごくがんばらせていたんだなぁ、と思いました。

そして、生活態度も、笑っちゃうくらい全然違いました。
次男には優しいし、お片付けも率先してやるし、いつもより聞き分けもいいし。
私に手をかけてもらうことがよほどうれしかったようでした。

「こうあってほしい」を押し付けるのではなく、長男のありのままを見て対応していく。
本当に大事ですね。

ぷこたんさん
素敵ですね!読んでいて、私も気持ちがほっこりとしました。

うちは4歳の娘一人ですが、みなさまと一緒で、やはりこちらの気持ち優先で強く当たってしまうことが増えました。
年齢が上がると、できることが増えるので、普段できてるのになんでやらないの!?みたいにこちらのハードルがあがってしまうようで。
なので、兄弟がいる家庭では、それが早く起こってしまうのでしょうか。

でも、いつまでも赤ちゃん扱いももちろん良くないし、やはりケースバイケース、正解はなしで、その時の子どもの状況&親の状況次第ですね~。
子どもの状況だけではなく、親の成育歴とか子どもとの相性みないなものとかふくまれてくるので、ほんとに正解は星の数ほど様々になるんでしょうね。


う~ん、子育てって奥が深いです…。ちなみに私は「子育ち」という言葉が好きです。子どもを育てる、のではなく、子ども自らが育つ力をもっている、という考え方。この考え方でいくと、親は、育つ力を手助けするだけ。おとーちゃんさんが言っていることと一緒だな~って思います。

娘が生まれてしばらくはトライ&エラーという気持ちが著しく欠けていたなあ、今振り返るとカチコチの母だったと思います。
このブログに出会ったこと、個性のつよい娘が知識どおりにはいかないよということを教えてくれたこと、すばらしい保育士の先生方と出会えたこと等で、私も親として少しずつ成長できているかな。
娘にイライラしたり言い過ぎたりで反省することも多々ありますが、この不完全な親を大好きでいてくれる娘がいることが幸せです。
これまでの私の少ない経験ですが、子育てにかかわるプロの中にも、「標準のあるべき姿的なもの」と「この子の現状」との隔たりを強調される方と、ありのままを受け止めた上でこういったかかわりもしてみようということを親に助言してくださる方とがいます。前者の関わりがプロからあると、数多くの子どもを見てこられたプロの言葉の重みがずっしりあって、つい我が子を正解に近づけなければと力が入って、かえっておかしな関わりになってしまうことがありました。勿論、親の足りないところを的確に指摘してくださっていることもあるのでそれはありがたいのですが・・・ふっと親の肩の力がぬける今回の記事のようなアドバイスの方が、子どもとのかかわりがうまくいくようになることの方が多いような気がします。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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