2017-08

「良いしつけ」「悪いしつけ」? vol.3 - 2016.06.22 Wed

このシリーズの前の回『「良いしつけ」「悪いしつけ」? vol.2 』からの続きの文章になります。

前回の「2.子供観の問題」と題したところ。
ひとつ目の問題点は「◆子供を支配対象と見ること」でした。


今回は、そのふたつ目の問題点

『◆子供を「できないもの」と見なすこと』

からスタートです。






◆子供を「できないもの」と見なすこと
「しつけ」は、
「あなたの子供を”あなたの責任で”、”あなたの関わりで”、”今すぐ”正しい姿にしなさい」
と親に要求しています。

次に見るのは、ここにある「あなたの関わりで!」が引き起こしている構造的な問題です。


「しつけの考え方」は、暗に「子供は自分じゃできないのだから、あなたがそれをできるようにしなさい!」と迫っています。

「しつけ」の持つ子供観のひとつが、この「子供はできないもの」という先入観です。
これが、現代で子育てを難しくしている大きなもののひとつです。


小さな子を前にして、「どうせ言ってもわからないわよね」といった言動や、そういった気持ちからのアプローチを少なからず目にします。

「どうせ言ってもわからない」と、我が子の放任になる人。
「どうせ言ってもわからない」と、子供を叩いて思い通りにする人。


”子供を放任する人”と、”子供を叩いていうことをきかせようとする人”。
この両者は一見、相反するアプローチのようですが、実は根っこは同じ所から派生しています。


どちらも、「子供はわからない存在なのだ」という子供観(子供への視点)から生まれている関わり方なのです。

この「子供はわからない存在」という見方自体が、「しつけ」のパラダイムが内包してしまっている構造上の問題です。

前回の記事では、「子供を支配対象」として見ることがしつけの構造上の問題点のひとつと述べました。

つまり、「子供は大人の支配下にあるもので」なおかつ「子供はわからないもの」なのだという見方が「しつけ」で考える子育てには内包されてしまっています。



もちろん、それの運用には個々により”程度の差”があります。

”「支配下にあり、わからない存在」であるがゆえに、子供は守られ慈しまれ、根気よく、またあたたかく、そしてときに厳しさを持って関わっていかなければならないのだ”

と、その考え方を解釈して実践できる人もいることでしょう。
すべての人がそのように考えてあげられるのならば、「しつけ」というメソッドも悪いものではないかもしれません。


しかし、構造上の問題なので、そうではない解釈のされかたに歯止めをかけることができません。


”「子供は親の支配下にあり、わからない存在」なのだから、わからせるためにどんな方法を使ってもいいのだ。身体的な罰を与えることや、他人にはできないようなことをしてもいい。自分の支配下のことなのだから、自分のやり方に異を唱えることは誰であれ許さない”


そのように考えてしまう人が出ることを避けられないのです。



この記事のテーマを『「良いしつけ」「悪いしつけ」?』としていますが、ちょうどいま挙げた”程度の差”が上の例は「良いしつけ」で、下の例が「悪いしつけ」になっているでしょう。
実際の「悪いしつけ」はそんなさらっと書けるようなものではなく、長期に渡り精神的に束縛してしまったり、親のエゴのために子供を利用したりといったことまでもが「しつけ」として行われることが起こっています。




「良いしつけ」はたしかにあります。
でも、それと同じ根拠が「悪いしつけ」をも生み出し、「しつけ」の概念を子育ての根拠としている限り、それに歯止めをかけることが難しいという構造的な問題を抱えているのです。


そして、これらの ”「しつけ」という子供観(子供の見方)” がさらに様々な実際上の子育ての問題・難しさを連鎖的に生み出していきます。
(その一部は、『「しつけ」が危険 』2016.06.05 の記事に書きました)





さて、これから述べるお話は、直接的に具体的な問題点の話ではありませんが、ここまで見た「しつけの子供観の問題」から派生し、現代の子育て・保育に影を落としていることです。


それは「子供の尊重」についてです。

・子供は支配下
・子供はわからない・できないもの

これまで「しつけ」を旨としてきた日本人は、これを先入観として持っていますので、「子供の尊重」という概念の正しい理解がとても難しくなっています。

なかなか理解できないし、それを念頭に置いていても適切な理解にならない例が大変多いです。


例えば平易な例で言えば、「(どうせわからないのだから)手伝ってあげなければ」と過保護や過干渉になるといったことです。

子供を尊重しようと思うと、その人は「よかれ」と思ってなのですが、”一個の人格としての尊重”ではなく、”力のないものとしての尊重”の理解になってしまうのです。



だから、自分がもっている先入観としての「しつけ概念」がクリアにならないと、なかなか「子供の尊重」が正しく理解できず、子供に適切に関われないことがあります。
これは、家庭の子育てであれば(あくまで比較的ですが)さほど問題にならなくとも、保育園・幼稚園・学校など、大勢の子供に関わる仕事をしている人にとっては大きな影響を与えることになってしまいます。


余談ですが、今度の保育セミナーではそういったこともお伝えしようと思っています。
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