2017-08

「やる気がないならやめろ」  vol.2 - 2016.04.27 Wed

少し間があいてしまいましたが、以前の記事の続きです。

僕は、この「やる気がないならやめろ」といった「”否定”を用いた指導」が利用できる人が、ある意味ではうらやましいと思います。
おそらく「それをするのは当然だ」「それでなければ人が伸びない」と考えられる人は、もっとギリギリの状況で人を伸ばさなければならない局面にあったことがないのだろうと感じます。







「否定」を使って指導が成り立つ状況というのは、とても”ぬるい”状況でしかないのです。
否定的な手段を使ってすら、相手がついてきてくれると期待できるのだから楽なものです。


なかなかそういったシーンに実際当たる人は少ないかもしれませんので、考えるために例を挙げてみましょう。


例えば、児童相談所の相談員の立場です。
その人が指導や改善をしなければならない相手というのは、虐待をしている親や家族です。

そういった対象に、否定や威圧的な関わりは軽々しく使うことができません。
多くの場合、それは逆効果にしかならないからです。
単に虐待をしていることを責め改善を求めたところで、「お前のせいで文句を言われた」とより子供が責められる結果となります。また人によっては、その行為を責めたたところで自分が悪いのだと自己否定をするばかりで改善には向かえません。


それがどんなに納得のいかないようなことだとしても、相手の話や立場を汲み取りながら改善に向けての働きかけをしていく必要があるのです。
そこには、自分の感情をぶつけながらの指導などする余地はありません。

「否定」が使えない極限のところで相手を指導しなければならない状況をくぐって来た人にとっては、「やる気がないならやめろ」などというアプローチは「指導」の内に入るようには見えないのです。



それゆえ「やる気がないならやめろ」と、自分の感情を前面に出して相手からついてきてくれることを期待して指導の効果を出そうとするというのは、非常に”ぬるい”シーンでしか使えないことです。

また、それは”博打”でもあります。
それで発奮してついてきてくれる結果となればいいですが、そうでない場合、もうそこで指導は継続できなくなります。



受験勉強や職業上の指導などは、相手に退路がないことを指導者側は認識しているから、そのように自分の感情込みでの高圧的な指導が行えてしまいます。
つまりは、その指導の形は相手の”足下を見て”行っています。だからこそこれは相手を尊重せず、モラハラ的な指導と言えるのです。



「体罰」も、これらと同様「”否定”を用いた指導」ですが、

教育評論家の親野智可等(おやの ちから)さんは、「体罰は甘え」と言っています。
「体罰は甘え」とだけ聴いても、一般の人はその意図するところがつかみにくいかもしれません。


しかし、それは↑で述べているように、本来ならば根気強く努力や試行錯誤をすべき指導側が、対象の「否定」によって指導の効果を上げようとしているからです。本来すべき指導側の努力を放棄し、それを対象に丸投げしているのです。
だからこそ、「体罰は(指導する側の)甘え」でしかないのです。




僕は保育士として、子供たちを保育してきました。

”大人の指示に従うだけの子供”を作り出すのでしたら、「否定」の方向での関わりを積み重ねていくことでもそれは可能です。

例えば、怒ったり、叱ったり、他者と比べてできないことを指摘したり、はたまた「疎外」を使ったり。

それをすることでも、”従う子”や”ルールを守る子”を作り上げられます。
しかし、それはときとして”一過性の姿”にしかなりません。
本当の意味でその子の”成長として獲得させる”ことにならないこともあります。

中にはそれでも十分な育ちを得られてしまう子もおります。
だが、本当に考えなければならないのはそういった”どう関わってもそれなりに育っていける子”ではなく、より適切に関わらなければうまくいかない子のはずです。
そのようなどんな対象にしても適切な指導方法・関わり方であれば、”どう関わってもそれなりに育っていける子”にしたとしてもより効果的だからです。



本当に子供を伸ばそうと思ったら、「否定の積み重ね」は役に立たないのです。
むしろ、マイナスにしかなりません。

「否定」は、「意欲」「信頼」「自信」を損なっていくからです。


「やる気がないならやめろ」的な否定のアプローチは、この「意欲」(もしくは”やらなければならない切羽詰まった状況”といった「モチベーション」)が十分にあるときにだけ使える関わり方です。

子育てにおいて、それはほとんど当てにできないことです。

だから、本当の意味で人を伸ばそうというする指導者が持っている手札には、たくさんの「肯定」と、少しの”現状の否定”といった「部分否定」のカードしかないのです。

関連記事

● COMMENT ●

否定も肯定も同じなのでは?

肯定されると、うれしいもんです。
もっと肯定されたいと、思ってしまいます。

否定されると、いやなもんです。
できれば否定されたくないと、思ってしまいます。

これらによって、枠が決められる。
その枠に縛られて、身動きがとれない。

かくれて枠から飛び出ればいいけど…
出れないと、自分を見失ってしまう。


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/tb.php/894-e470c9d7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

”our side”と”other side” vol.1 «  | BLOG TOP |  » 女性蔑視の流れは止めないとダメ! vol.2

ごあいさつ

ただいまコメント欄での子育て相談は休止中です。 お悩みのコメント下さっても回答を差し上げることができません。 申し訳ありませんが、過去記事、すでにある返信コメントなどを参考になさってください。 多くの相談への返信がすでにあります。関連するカテゴリーから探す、検索を使って探すなど利用してみてください。 多忙になってしまい、コメントへの返信ができなくなってしまいましたが、お寄せいただいたコメントにはすべて目を通し更新の励みになっております。ありがとうございます。

最新刊

よければレヴューも書いてね!

前作!

最新記事

最新コメント

プロフィール

保育士おとーちゃん

Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

講演等のご依頼

講演・ワークショップ等のご依頼はFacebookのメッセージ または『保育士おとーちゃんホームページ』 http://hoikushioto-chan.jimdo.com/ よりどうぞ。

カテゴリ

はじめにお読みください (1)
【まとめ】記事 (2)
子育てノウハウ? (75)
子育て日記 (13)
保育園・幼稚園 (88)
日本の子育て文化 (165)
おもちゃ (27)
叱らなくていい子育て (9)
排泄の自立 (11)
『魔の2歳児』 (5)
子育てまめ知識特集 (4)
あそび (41)
おすすめグッズ (8)
おすすめ絵本 (23)
食事について (15)
過保護と過干渉 (44)
満たされた子供 (7)
早期教育 (19)
我が家の子育て日記 (88)
心の育て方 (91)
相談 (83)
子供の人権と保育の質 (56)
その他 (56)
未分類 (21)
講座・ワークショップ (72)
父親の子育て参加について (3)
雑誌・メディア (17)
子育てに苦しむ人へ (6)

保育ひろば

保育ひろば

楽天

FC2カウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

おしらせ♪

当ブログはリンクフリーです。トラックバック・リンクはご自由にどうぞ。 しかし、本文・コメント・その他を含めて著作権は私にありますので、引用・転載する場合は連絡をお願いします。また引用元の記載も併せてお願いします。 なお写真の転載はお断りいたします。

ランキングに参加しています

検索フォーム

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

アクセス解析