2017-04

「子供の感情は子供のもの」  vol.2 - 2016.04.23 Sat

昨日の続き。







そのように見てあげられるようになると、子供の泣きを怖れる必要はなくなっていきます。

子供がぐずっていると大人はそこにイライラを感じます。
なぜイライラするかというと、大人がいくら頑張っても思い通りの状態(この場合、泣き止ませる・ぐずりをやめさせる)にならないからです。

だから、大人は子供の”泣き”や”ぐずり”にストレスを感じます。


「泣き止ませなければならない」
しかし、
「泣き止んでくれない」

↑このような姿勢で子供に関わっていると、とてもストレスが大きいのです。
子供の泣きやぐずりをまるで「大人への脅迫」のように感じてしまうこともありますね。


でも、

「泣き止ませなければならない」 ← この部分をもっとおおらかに見てみます。

”子供の感情は子供のものであり、大人が一から十まで始末をつける必要はないのです。むしろそれはかえって子供の心の育ちを奪ってしまうことにもなりかねません”

そう思うことで、大人自身も「泣き止ませなければならないのに泣き止んでくれない」と過剰なストレスを抱え込むこともなくなりますし、子供の方も、自分の感情を自分で乗り越える経験を積んでいくことができます。




ここで注意して欲しいのは、「子供の感情のサポートを大人がすることが”悪い”」と言っているわけではないことです。また、必要に応じて子供の気持ちを他に振り向けて気分を紛らわせたりすることなどをしてはいけないわけでもありません。

子供の心の発達段階が幼い内は、たしかに子供の感情に手を貸してサポートしてあげる場面はあります。
例えば、1歳の子が転んでちょっとしたケガをしたときなど、子供によっては自分で立ち直れないくらい感情的になってしまうことなどあるでしょう。
そういったとき、大人が”よしよし”としてあげますね。

でも、それが過剰だったり、年齢や発達段階が上がっても幼いときと同じように対応していたら、それは心の成長を押しとどめることになりかねません。

ここで大事なのは、以前お伝えした「一のことには一の援助。十のことには十の援助」の精神ですね。


サポートは必要な分だけすればいいのです。

大人の不安・心配が大きいと、「この子にはこの課題が乗り越えられないのではないか」と子供の力を低く見積もりがちになります。
すると、サポート・援助が過剰になってしまいます。
そうなるとかえって子供は、その課題が乗り越えられなくなってしまいかねないのです。


もうひとつ補足ですが、ここで「(大人が)泣き止ませなくてもいい」と言うのは、”困った状態”を放置してもいいという意味でもありません。あくまで、大人が子供の感情を”作り出すこと”をしなくていいと言う意味です。

例えば、子供がなにかを買って欲しくてお店で泣いてごねていたとします。

このとき、子供の感情に大人が手を貸して気持ちを整えてあげようとする必要はありませんが(したら悪いというわけでもないですが)、「ここでそんな風に泣いていたら困るから、泣き止みなさい!」ときっぱり言えばいいのです。

大人が子供の感情を整えるのではなく、必要なことを伝えて子供自身にそれの方向へ歩ませるのです。
成長の途中ですから、それを伝えたとしてもすぐにできるわけでも、習得するわけでもないかもしれません。
でも、子供の姿を大人が作るのではなく、子供に投げかけ自分で考えさせ自分で達成する方へ向かわせるのです。そのために大人は必要なことは伝えます。

子供が泣いていて、大人である私がそれが困るならば、「困る」と言っていいのです。
子供が長泣きしていて、ある程度はそれに付き合ったけれどもそれでも泣き止まなければ、

「あなたの気持ちはわかるけど、そんなにずっと泣いていたら僕もイライラしちゃうから、もう自分で気持ちを落ち着けて泣き止んでください!」そう要求してしまいます。

必要なことを伝えて求めるけど、その状態を作り出すのは子供本人なのです。


昔の子育ての”当たり前”だと、
「そんなに泣いていると鬼が来る」などと脅す(子供だまし)ことやお菓子をあげることなどで、子供の状態を大人が作り出そうとしていました。

僕らの親の世代はこれが当たり前でしたので、いま子育てしている世代もこういったことを”当たり前”だと思ってやっています。

それゆえに心にまで過保護をし、子供自身を成長させない方向に子育てが向かってしまっています。
それが多くのところで子育てを迷走させる一因ともなっています。





実を言うと、この4月から小学校に通い出したうちの娘も学校に行く前、しばしばメソメソしています。

だからといって、「あら、つらいのね。かわいそう」とも「ぐずったりして、しょうがない子ね」とも思いません。

「否定も肯定もしない」といった態度でおおらかに見守っています。


「否定も肯定もしない」というのは、「冷淡に放置する」という意味ではありません。
新しい環境や生活に不安があって気弱になってしまうことは、誰しもあることです。それを泣いたりすることで出さない子もいるでしょうけれども、出したから”悪い”わけではありません。 

子供「行きたくない」
大人「行かせなきゃ」

↑”(子供の心情への)否定の見方”


かといって、「つらいのね。かわいそうね。じゃあ行かなくていいわよ」と言ったり、そう思うわけでもありません。「行かせない方がいいのかしら」と不安になることもありません。 

子供「行きたくない」
大人「行かなくていい」

↑”(子供の心情への)肯定の見方”



「ああ、そうなんだ」といった心持ちでおおらかに受け止めつつも、それを「いい」とも「悪い」とも言わず、過剰に心配・手助けをせずに自分で乗り越えさせます。
ここで、大人が不安・心配を大きくすれば、子供はその大人の気弱な心に「依存」してしまって、前向きになれなくなってしまいます。

また上で述べたように、「なんとか泣かないで行けるようにしなければ(大人がしむけなければ)」とも僕は考えません。


なぜ、そのようにおおらかに見守っていられるかというと、子供はそういったことに直面して乗り越えていける力を持っていると知っているから、信じられるわけです。
なぜそう思えるかというと、これまでの乳幼児期にたくさん受容してきた関わりの蓄積がそれの源泉になっているからです。

ただ、それが「いつになるか」は誰にもわかりません。子供には個性もあるからね。
来週には笑って元気に登校するようになるかもしれないし、そうなるのに1年かかるかもしれません。
でも、いつかはそうなるでしょう。
それだけの蓄積が、子供誰しもが持つ成長の力と、これまでの家庭・その他での関わりから娘の中にはあるはずだからです。


それを僕は「信じて待つ」だけです。
大人が信じて待つことができずに焦ってしまえば、大人が手を出すことでその結果を急いで作ろうとしてしまいます。つまり過干渉ですね。

それをすれば、たしかに成果はあがるかもしれません。
でも、そうやって作為的に作り出せば、その幾分かは大人が自分の焦りを納得させるために作り出したものであって自己満足になりかねません。そして、その分は子供が自分で乗り越えて獲得した成長ではありません。

「成長の果実を味合うのは、大人ではなく丸々子供」であったほうがいいだろうと僕は思うのです。



子供の持つ「不安」を大人がそのまま「心配」に変換してしまったら、それは依存を生んだりして成長の足かせともなってしまいます。
でも、「あなたはいずれできる」と信じてあげることは、子供にとって前に進もうとする力となります。

だから、子供の泣きやぐずりを否定する必要を感じません。
一方で、あまりにメソメソが強かったりするときは、「はい、もう自分で泣き止んで準備しなさい」などと、きっぱり強くいうこともできます。それができるのも子供の持つ力を信じているからです。
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● COMMENT ●

ブログの背景色、文字色について

いつもとても楽しみにしています!

非常に申し訳ありませんが、ブログの背景と文字色を変えていただけませんか?
リニューアルされたばかりなのにすみません。。

緑背景に白の文字だと目が痛くてとても読みにくいのです。(PCで見ています)

薄い色の背景に濃い灰色の文字などが読みやすい気がします。

あえてこの配色にされていましたら、大変申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。

そうですね

おとうちゃんさん、こんにちは
そうですね、子どもも大人も自分の感情に責任を持てるようになれるといいですね。
この春から幼稚園に行き始めた娘。朝はスムーズに行くのですが、帰ってきてからが、、これまた夕方癇癪起こしてます。。疲れるんでしょうね。
毎日毎日自分のペースを上回る速度で、新しい価値観に出会ってくるんですもんね。
親も引きずられている場合ではありませんね。
あなたは大丈夫、そう送り出し迎えたいと思います。

むーちゃんのことも、応援してますよー!

おとーちゃんさん こんにちは

おかげさまで我が子も小4、小2になりました
上の子は少し難しいお年頃を迎えています
新学期の緊張は毎年のことだと理解出来ているのか、ちょっとした感情の揺れはあるものの割とすんなり乗り越えられています
ただ、この位の年齢になると、達成のための欲求が高まる様ですね
自分で目標を立てては登りきれずイライラし、再度挑戦し達成したもつかのま、今度は周りと競争が始まり、せわしないです

昨日もサッカーの試合で自分のミスから失点したと試合中ベソをかき、コーチに切り替えろ!自分のミスは自分でとり返せ!と喝を入れられ散々でしたが
夕方には夜練しに行く!と奮起し、そして今日も張り切って練習に行きました

そんな時、母が彼の感情を何とかしようとするもんなら、入ってくんな!と怒り爆発
ただただ聞いて欲しいだけ…
見ていて欲しいだけ…
だったりするのですね

自分1人で片付けることの出来ない事柄が世の中には有って、そういう時は、大人の出番だという事は伝えて
基本、見守りの日々は続きます

これからも、おとーちゃんさんのご活躍応援しております

「子供の感情は子供のもの」。その通りだと思います。
4月から幼稚園に行き始めた3歳の息子も、モモさんのところ同様、帰ってきたらグズグズ行っていますが、「眠たかったら寝ていいよ~」とだけ言って、晩御飯の支度をしています。
こういうのはいいんですが、ふざける方向に気持ちがエスカレートした時に困っています。
ふざけてしてはいけないことをしたときは、「それはしてはいけないこと」ということを伝えないといけませんが、まずは気持ちを落ち着けてくれないと話をすることができません。
おとーちゃんさんの「ここでそんな風に泣いていたら困るから、泣き止みなさい!」のように「ふざけんと落ち着きなさい」と言っても、返ってエキサイトしてしまいます。
「信じて待つ」時間が短いのかな? 「自分で落ち着きなさい」とだけ言ってじっと待っていたら落ち着いて話ができるようになる?
そもそも「落ち着く」がどうなることのかわかっているのかな?
いろいろ悩みます。ふざけた時の接し方についても教えてください。
どこかに書いてあるかなと思ってもういちど最初からブログを読んでいますが、前にあった「前の記事」「次の記事」がなくなっているので順に読みにくいです。お手すきの時に復活させて下されば嬉しいです。

感動してしまいました。

子供の成長する力と、これまでの受容の蓄積を信じるって本当にすこいです!

なかなか出来ることじゃないと思います。

つい私の今までの関わりに何か落ち度があったのかな?とかついオロオロしてしまいます(T_T)私だったら。
でも本当に子供を受容するってそういう事ですね。否定でも肯定でもなくありのままにそうなんだぁって受け入れてるってことですね。

入園したむーちゃんの記事を読んでから、しばらく間がありましたが、小学生なんですね!時の経つのは早いですね。

本当ですね!

うちの子も小学生に入り恥ずかしながら心配で心配で過干渉の関わり方をしてしまっていました。
そうですよね。
信じるってとても難しいことですね。
でも私も信じてみようと思います。
いつも色々な事を考えさせて頂いています。
ありがとうございます。

気持ちが楽になりました。

もうすぐ四歳になる息子。この4月から幼稚園に行き始めましたが、夜眠るときや、朝出かける前は、いやだ、休みたいなどを連発しています。

そのうち自分で乗り越えてくれると信じて待たなければ!
帰宅後も癇癪三昧、甘え放題、自己主張し放題ですが(^-^;)。
先生から連絡帳などで伝わる感じでは、向こうでは頑張っている様子、それも仕方ないのかな。

また、勉強させていただきたいと思います。
いつもありがとうございます。

目からウロコでした。

初めてコメントします。
このブログを読めて本当に良かったです。
今春幼稚園の年少に入園してからというもの、夜朝行きたくないと泣き通し。
2週間そんな状態が続き、不安になりました。
娘が先生がそばにいてくれないから寂しい。先生が泣くとママが来ないと言ったと言い、マンモス幼稚園だから、先生の目が行き届いていないんじゃないかと先生に不信感を持ったり、幼稚園が合ってないんじゃないかと思ったり。
どうしたらいいか悩んでいた時、ちょうどこのブログに書いてあった言葉にハッとさせられました。
自分の力で乗り越えるのを信じて待つ。
私は子どものことを信じてなかったと気づかされました。
もう少し長い目で見よう。
その後今も泣き続けていますが、気をそらすために思ってもみないことを言うのは止めたので、私が少し気が楽になりました。
ありがとうございました。

3,4歳

こんばんは。
治療がしんどくて、あまり続けてブログが読めずすみません。
治療でお話を聞きました。
3、4歳の時期が感情をコントロールを学ぶ時期だと聞きました。
私は子どもの頃のこの時期に、母から気持ちに寄り添ってもらえませんでした。(泣いても、怒っても放置されていました)
なので、子どもの気持ちにどうしても寄り添えないのです。寄り添うどころか、泣き声を聞くと怒りがこみ上げて来ます。、、まさにこれが私の今の病気の症状なのです。
幸い、息子は気持ちに寄り添うってもらうカウンターの方がいるお陰で、園の様々な出来事も自力で乗り越えています。私もカウンセリングに行っているからと落ち着いて対応出来ています。
自分の気持ちを親によってごまかされ、痛いのに痛くないと無かったことにされて育つと、気持ちに寄り添うことが出来なくなってしまうのです。自分悪くないのに、、まだまだ日々辛いです。

息子も幼稚園生活が始まり、反動も出て来て、「子育て日記」の過去記事も検索していたところだったので、とても参考になりました。
ポジティブ・ネガティブという概念もまだ無い時期に、ただ感じることそのものが、子供にとってものすごく大きな大事な経験になるのだろうなと考えさせられます。
「幼稚園楽しかった?」とかつい聞いてしまうけれど、気をつけていないと、知らず知らずのうちに子供の感情への過干渉になってしまうかもしれないと思いました。
反動にあまり動揺しないように気をつけて、向き合っていきたいです。

泣いてスッキリ他人へも寛容

、、、
どんなに泣いても、泣き止みなさいは言いたくありません。
言われなくても、自分で泣き止む力を我が子は持っていると信じている。
ただそばに居て話を聞くだけ。一人にはしません。簡単です。でも時間がかかる時もあるので
親に余裕がないと難しい。できない時があってもいい、でも
泣き止みなさいにはリスクもあるよと知っていることは大事。
思い切り泣かせてもらった子供は、大人(親)になった時、我が子や他人の泣きに寛容になれそうです。泣きを充分受け止めてもらってきた子供は泣いたらすっきりすると知っているので強そうです。
大人(親)になっても他人の泣きに恐怖は感じないかも。
泣きたい時に泣いてすっきりして、ストレスをためない大人でいられるかも。


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