2017-10

過保護的支配 vol.3 - 2016.04.15 Fri

「過保護的支配」としてそれが顕著になるものは、vol.2の箇条書きにしたところではあげていないですが「親の願望の投影」です。





まず、親の方に「子供を〇〇にしたい」という願望があって、それに邁進させるため一方では支配的になり、一方では過保護になります。


最近多いところでは、例えば”お受験”などです。
(全部が全部そうとは言っていませんよ、誤解しないでね)

親がまず、子供を「名門私立小学校に入れたい」といった願望があるとします。
そのために、勉強などたくさんの要求を子供には課していくことになります。

その人自身の考えは、「子供のために」「子供が大事だから」という強い意識です。
ですから、その受験勉強をさせるのと同じ感情のベクトルで、「子供が大事だから」ということで、様々な「過保護的行為」がたくさんなされてしまいます。

「過保護的行為」とは、本当はその子ができることであってもやって”あげて”しまったりという「直接的過保護」。
「うちの子はできなのだ」と決めつけて先回りして手を出したり、その物事に取り組ませなかったりといった「精神的過保護」など。




こういった傾向は、実際に多く見られるようになってきています。

お受験の勉強や、幼児教室に通わせたりして、そういった子は特にそのような早期教育をされていない子に比べて、先取りした能力を身につけています。

例えば、ハサミ使いや絵描きの上手さだとか、字が読める書けるなどなど・・・・・・。
言葉なんかも、その子の年齢にしてはボキャブラリーが多かったり。使わないような言葉を使ったり。

つまり、ある面では進んでいるわけです。
(発達が進んだり、頭がよくなったというわけではなく、訓練の結果「できる」を持たされた状態になったということですが)

しかし、そういう子たちの中には、生活面の能力がその年齢にしては伸びていないというケースがあることを感じます。

例:着替えができない。できないだけでなく、自分でしようとする意欲自体がない。
  :5~6歳といった幼児なのに、指示待ち。ルーティンから外れたことが起こるとどうしたらいいかわからず、ボーッとなっている、など。


これは、早期教育がそうさせているというよりも、親の姿勢としての”過保護”が、生活力の幼さを助長してしまっているようです。


これだと、”ある面では進んでいるのに、それよりももっと基礎的な部分では幼い”という、アンバランスな成長をさせられてしまっています。




このように、片方で親の願望に子供を沿わせるための要求(過剰になれば支配・束縛)、片や「”幼い・できない”ものとされての過剰な保護」=「自分を信じてもらえない」という扱われ方。

こういうパターンが、「過保護的支配」として影響が大きくなるもののようです。
それでなにごともなくいくケースもありますが、問題を生むことも少なくありません。



実はこの形の子育ては、すでに親の世代が同じ子育てをされてきているのです。

その頃は、その対象年齢がいまのように乳幼児からと言うほど低くはなく、主に中高生もしくは小学生の頃からされていました。


親から「こうなりなさい」というレールをしかれて、子供は「親の期待に応えたい」と思うのでそのために努力し、一方で過保護をされながらなにか親によって自分の頭の上にフタをされているような閉塞感を感じながら人生を歩んできているのでした。

この同じ構造が、現代では顕著に、より低年齢にされるようになっています。
「小1プロブレム」といった問題が出ている背景には、この子育ての構造が無関係ではないのではないかと僕は感じます。



この過保護的支配の特徴は、「期待をかけられること(=願望を投影されること)」も、「過保護に扱われること」も、基本的には親からすると「子供のため」であり、子供からしても「大事さゆえに」と捉えられることです。

それはよくもあり、悪くもあります。


気が強かったり、自分をはっきりと持てている子であれば、適度に親に反発を出したりして、自分で過剰な親からの支配・束縛から距離を置くことができる子もいます。
その子は、ある程度自分でバランスをとることができるわけですね。

しかし、気持ちが優しかったり、親の気持ちに敏感だったり、強い自己を出すことが苦手な子供(ケースによっては大人になっても引きずっていますから子供に限りませんが)の場合、自分の中にその影響を蓄積・抑圧していくことになりかねません。


その影響は多岐にわたります。
精神科医や精神分析医、心理カウンセラーといった人たちは、もうずいぶん前からこのことに警鐘を鳴らしていましたが、あまり子育ての側からその実際とからめて伝えようとする人は多くありませんでした。
しかし、現実に多くの苦しんでいる人がいる時代になっています。

親の持つ「あなたのためだから」が、ときに子供を不幸にしてしまうことが起こっているのですね。

僕は乳幼児の子育てが専門なのでこういった精神分析の方面に詳しいというわけではないのですが、しばしばこの問題は現実に見ているので、多くの人にお伝えすることで子供と子育てする人が不幸になってしまうことを未然に防いでもらえればと思います。


リンク:子供に成功して欲しければ、これだけはするな スタンフォード大の元学部長が語ったこと

↓これらの本。レビューだけでも一見の価値があります。

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● COMMENT ●

私も、そうです

グサッと来てしまうくらい私の事でした。

母親は、冷たい態度。頼みの綱の祖母は優しいけれど、私に過剰な願望をかけて、何をするにもいつも祖母のレールを歩かされていました。そして、何でもやりたいと言ったことには、危ないとかそれはまだ無理だとか(^_^;)あなたのため。よく言われました(^_^;)
今でも祖母は、元気なので、私の息子をみてくれたりするのですが、ジャングルジムや公園の遊具でこんなに上手に遊んだと話すと、公園の遊具は危ないからまだ早い。と言われます。

母親にもすがれないし、祖母の側に居ると自由がない。

私は母親として息子にどうしてるだろうか。


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