2017-06

過保護的支配 vol.2.5  ちょっと「過保護と排泄の自立」へ寄り道 - 2016.04.14 Thu

”支配的”過保護の話とはちょっとそれてしまいますが、前回のコメントでのこの↓事例についてです。
これはむしろ「過保護」より「過干渉」の問題かもしれませんが、関連と言うことで。

 










今日寝る前に3歳半の息子が「トイレはない」というのにオムツで寝てる間によく漏れることがあるので「ないかもしれないけどビチャビチャになったら困るからトイレ行っておいて」と言いましたらかたくなに「ない!」というのにいきなさい、いかないで小一時間揉めました。
何故行かないと行けないか説明したんですが結局、息子はいきなくない!だってないから!
で最後は「あるかないか行ってみてみよう」でトイレに行ったのですがこういうのも尊重して信じたほうがいいのでしょうか






子育てには「正解」があるわけではないから、こうだからこうと言えるわけではないのですが、

基本的には(繰り返しますが”いつでも””どんなケースにも”ではなくて、”基本的”にですよ)、僕はこの排泄のシーンでの子供の意思を受け止めることはとても重要なことだと思っています。

これはこのブログの排泄のカテゴリーにも、著作の中でもはっきりと述べられています。

読み返してもらえれば詳しく書かれているとは思いますが、排泄は「心の成長」と言いました。
子供を「幼いもの」として干渉を重ねてしまうタイプの過保護は、むしろかえって心を幼いままにしてしまったり、子供の上限を引き下げてしまうことがあります。

「ボクが何度も”デナイ”と言っているのに、なんで信じてくれないんだ」

と子供が感じれば、ここで蓄積された感情、例えば「イライラ」はどうなるでしょうか?

どこかで、それをイライラとして出したり、些細なことで泣きわめいたり、親を困らせること、わがままをぶつけることなどで解消させる”心の動き”に転化されるかもしれません。
または、今度は「本当は出そうなとき」に”デナイ”と言い張ることで解消しようとするかもしれないのです。

そうなってしまうと、排泄の自立は迷走をはじめてしまいます。
その場面において「自我を通すこと」が主になってしまい、排泄の自立が進むどころではなくなってしまいかねないわけです。


だから過保護や過干渉をする人はかえって排泄の自立を遅くさせてしまうケースがあります。




た・だ・し!

このコメントにあったシーンは、例外にあてはまるかもしれません。


もし、これが家庭で過ごしているケースで、日中室内で遊んでいる時間だったり、これから戸外に遊びに行こうかなというときに、

「これからお外に遊びにいきますけど、トイレにいっておきますか?」と大人が聞いて、子供が「デナイ!」と主張しているのだったら、「いや~、それはちょっと無理じゃないかな~」と大人が思ったとしても、「あ~、そうなんだじゃあトイレにいかなくていいね」と子供の主張を笑顔で受け止めて子供の言葉を信頼します。(このケースをAとします)


また別の場面。例えばこんなとき、
これから電車にのって出かけなければならないときだったり、これから飲食店に行くというときや、長時間トイレにいけないような場合だったとしたら、

「これから電車に乗らなければならないので、いまトイレに行っておきましょう」
などとメリハリを持ってきっぱりと伝えて、行ってもらいます。
(こういったケースをBとします)




Aのケースを、心から気持ちよく受け止めて子供の言葉を信頼することで、実は子供の心の成長に大きな寄与をすることができます。

例えば、それで失敗しておしっこを漏らしてしまうかもしれません。

それが家の中でならば、そのまま気持ちよく後始末をして「はい、きれいになったね」とまた遊びに戻してあげます。
(このときに「それ見たことか、やっぱり言わんこっちゃない」などと小言をいったりしたら、せっかく子供の言葉を信じたことも水の泡になってしまいますからね)


もし、散歩の途中や、外出した先の公園で漏らしてしまったのならば、そういった事態を見越して持ってきておいた着替えの服に替えてあげます。

こんなとき、イヤミや小言を言う必要は全くないのです。
なぜなら、子供自身が一番その「原因と結果」を理解しているからです。

比較的多くの子が、このパターンの失敗の経験を自分ですれば、次からその同じシーンで「(出そうなのに)デナイ!」の自己主張をせず、自分から行くようになります。

これはつまり、失敗により自分で学んだということです。


「出るんだから行きなさい」を大人からされて素直に従っている”だけ”の子では、この自分で本当の意味で学んで身につけるという成長になかなかたどり着かないのですが、

「自分の言葉を信じてもらった。しかし失敗をした」
というのは、全部がその子自身の学びになるわけです。それは本当の意味での成長です。




Bのケースは、いきなりこれと同じことをしてできるかというと、できないかもしれません。
でも、Aのケースを経験して、「大人は自分の言葉をきちんと信じて受け入れてくれている」という実感を積み重ねている子であれば、
Bの「必要なときなのだから行って欲しい」という大人の主張をはるかに聞き入れやすくなります。

だから、A(やそれに類似した経験の蓄積)があるからBの関わりが可能になるわけです。



子供に限らず、人間は「信頼には信頼で返す」だけなのです。


ですから、僕がここで述べたことは(まあいつもそうなのですが)、「こういうときこうすればいいですよ」という「コントロールのテクニック」ではないということを念頭に置いといてください。

「信頼してもらった人は、その人に対して信頼を持って返してくれる」という人間の関わりの基本原則を、子供に対してもそのまましたわけです。



逆を言えば、今回の過保護の話の焦点になっている「信じてもらえない」という実感を子供に抱かせることは、今度は子供から「(大人を)信じない」という行動になって返ってくるわけですね。

だから、過保護が慢性的になってしまうと、子供からの関わりが大変さを増してしまうことがよくあります。また、子供も普段からいつもイライラしているので、大人の方も子供に関わるのがしんどくなり、大人もイライラを終始募らせることになりかねません。




さて、もう一度最初の事例についてに戻ります。

この事例のシーンは、”就寝前”ということなのですよね。
これはどちらかというと、Bのケースに近いわけです。

なので、状況により、また相手(発達段階)により、A的な対応か、B的な対応か悩ましいところではありますね。


さらにここは、「生活習慣の形成」という視点も僕は加えたいと思うのです。

A的対応もB的対応も踏まえつつ(臨機応変に使い分けつつ)、生活習慣を伝えていく場面かと考えます。



実は、うちの子供にも同様のシーンがありました。
自己主張の強くなった成長期(イヤイヤ期)の一時ではあるのですが。

そのときどうしたかというと・・・。

基本はAの対応を普段においてはしていきます。これは前提です。
それなしに、Bはそうそう通じないからです。

ですが、Bをそのままするのではなく、Bの文脈で

「(いや、あなたはそういう主張をしたいのかもしれないけれど)寝る前はトイレに行くものなんですよ。お父さんもお母さんもいつもそうしていますよ。だからあなたも行きましょう」

と、「生活習慣」のルーティンとしての行動を伝えました。

うまく文章で伝えられないかもしれないけれども、

「あなたはそこで自己主張をしたいのかもしれないけれども、いやいやここは行くとか行かないとか押し問答するところじゃなくて、”寝る前にトイレはみんないくものなんですよ”」といった感じで、なんというか次元の違うところで伝えたというわけです。


”大人と子供の感情の応酬”にしてしまわないで、
「そういうものなんだから、はいはい、いってらっしゃい」
と、カラッと”いなして”しまうという感じでしょうか。
(ケースバイケースなので、「こうしなさい」「これが正解」というわけではなく、これはあくまで対応のヒントのひとつということでご理解ください)



そういうわけですが、それが通じるのもやはりAの関わり方があってこそのことです。
このAの対応は、排泄のやりとりに限りません。
多くの局面で、Aの対応を積み重ねるわけです。


例えばご飯の場面で、お腹いっぱいと言われたときに、
(この対応が”悪い”と言っているわけではありませんが、)「まだ残っているんだから、せめてあと一口食べなさい」などとスプーンを押しつけるのではなく、

「ああ、そうなんだ。じゃあもう終わりでいいね」と子供の言葉をそのまま受け入れて信じてあげるといった経験です。


そういった経験の蓄積があるから、メリハリを持って「ここは大人の要求にしたがってもらいます」というBの関わり方が通じるのです。

なので!
Aの対応というのは、子供の”いいなりになりなさい”、”要求はなんでもかなえましょう”という意味合いでつかっているわけではないのです。許容できる範囲のことならば、大人側の「こうしたい」「こうあるべき」というハードルを少し下げて対応してしまうといったことです。
人によっては混同しやすいので注意ですね。


このあたりのことは、感情の機微というか、ニュアンスというか、とても伝えるのが難しい点です。
実際にそういう対応をしているところを見せることができれば一番伝えられるのですが、なんとなくでもおわかりいただけたでしょうか。
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● COMMENT ●

ありがとうごさまいます。

コメントを取り上げて頂きありがとうごさまいます。
二人目育児に追われてなかなか全部読み切れず質問してしまい申し訳ありません、、
とても参考になります。
どうも最近上の子との関係が良くなく私がバタバタしてるため子供への信頼不足があったと思います。
正直、やはり子供がどこまでわかってるのか、また失敗から学ぶのもどれくらいかかるのかという気持ちもあり、失敗したあとも念押ししてしまったり、先回りして手間をふせぎたかったり、、信頼不足から素直にBの行動が受け入れられないんだなと思いました。
大切な時期なのにゆっくり勉強する暇もないまま、すれ違ったまま過ぎ去りそうで不安です。
大切な子供です。なるべく可愛くのびのび育って欲しいです。
こちらでまだまだ勉強させて頂きたいです。
でも、うまく育てられるようになるころにはもうおばあちゃんかななってそうな気がします(笑)
今回は貴重なアドバイス頂きとても嬉しかったです。
参考にさせていただき、今後に活かしたいです!

子供を信じる事

いつも、子供の事に疑問を思ったり、こういう時の対応はどうすれば良いのだろうと思った時にはこちらのブログを読ませていただいています。
そして、とても参考になり、わたしの悩み事も少なくなってきています。ありがとうございます!
娘も2歳になり、本当に可愛いのですが、最近、周りの子への意地悪な行動が出てきていて、特に特定の子にだけ、物をとったりする事が増えてきました。
なぜそういった行動をしてしまうのかが理解できず悩んでおります。
くすぐりや、手遊び、その他スキンシップは非常に多くしているのですが、それでもどこか私の育て方や、対応に問題があったのかと頭を抱えている状況です。
他の子への接し方は、子供の個性が非常に出るものだとは思いますが、見守るだけではやはり2歳児の時点ではまだ難しいのかなと感じております。
年齢を重ねていけば無くなるものなのでしょうか?

No title

今日3歳の息子は夕方お昼寝して、夕食直前に目を覚ましました。寝起きの機嫌が悪く「ご飯いら~ん」と。
「要らんのならええよ。寝とき」と、下の娘と晩御飯を食べ始めると食べたくなったのか食卓に附きました。
ところが頂きますをしてからも一向に食べる気配はなく、「えーん、いら~ん、ごちそうさまでした」と席を立ちました。
何も食べないままにさせることと食事を無駄にすることの罪悪感に苛まれながらも、ここは意地を通させてやろうと、食べろと言ったり、食事に向かえるように誘導してやったりはしませんでしたが、本当にこれでよかったのかな?

フランソワーズ・ドルトー女史によると、男の子は女性と自己同一化しないために、女性には反抗しなければならないそうですが、だとすれぱ過保護でなくてもどんな対応をしても、自我ができあがってくるまでは反対のことを言い続けるような気がします。
おとーちゃんさん、経験的にドルトー女史の主張は現実に当てはまると思われますか?
そういえば、心理学者のスティーヴ・ビダルフ氏は、女の子は10代後半になると、母親から離れるために母親とは別の役割モデルを必要としているとし、「母親が何をしようと反対のことを欲している」と話す母親の事例を挙げています。
そんな本を読むと、結局子供は親離れするために親の言うことと反対のことをせざるを得ないのかなと思えてきます。

具体的なお話分かりやすいです!

久しぶりに具体的なお悩みに対する対応の記事で、すごく分かりやすかったです!
うちは2歳2ヶ月でまだトイトレしていないので関係ないのですが…(下が産まれたら絶対赤ちゃん返りとかあるだろうから、落ち着くまでトイトレはいいかなと思っています汗)トイレを始めて悩んだ時にまた見たいなと思いました。忘れてそうだけど(^_^;)

今はお悩み相談は休止中ですが、こういった皆さんの具体的なお悩みへのお返事がやっぱりおとーちゃんさんの真骨頂だなぁと思いました。
もちろん、モラハラやお悩み相談以外の記事も興味深く楽しく読ませて頂いています!
子育てで悩んだら、過去記事のお悩み相談を探したりしようと思います(^。^)

No title

排泄に関しては、寝る前の習慣は大事ですがそれ以外はあまり口うるさく言わないで欲しいですね。

私のように出掛ける前になると出ないのにトイレに何回も行きたくなる病気になちゃうかもしれないし。

我が子6歳によると、声掛けした時は出ないけどその五分後には行きたくなったと、身体が言ってるようなので私は自分がトイレに行くふりをして、お母さんが行くついでにボクも行こうかな作戦です。

公園で漏らしたこと(着替えがないから遊ばず帰る)、急行電車内で漏らしたこと(幸い大きいタオルと着替えがあって、急いで床を拭き駅のトイレに駆け込んだ)色々ありますが日中はもう漏らさないですがいまだに夜はオムツです。いつとれるかな。寝る前はトイレに行ってるけど。

たぶん私が過干渉気味なんだと思し、このブログを読まなくてもいい日が来たらいいなと思います。
文字で自分の思いを伝えるって素晴らしいですね、私は苦手なので感心します。
いつも、更新楽しみにしています。

わかりやすいです!

2歳半の男児の母です。ブログを少しずつ読ませて頂いています。著書も読みました。
が。母歴2年半かかって、やっと書いてあることがわかってきたというか、何をすべきかすべきでないか、何がやり過ぎでやらな過ぎか、受容が何を差しているのかさっぱりわからず、読めば読むほどどうしていいかわからなくなっていました。いや今も多分よくわかっていません。
息子は年4回療育センターに行く程度で発達障害というほどではないけど、じっとしていられなかったり、妙に固執したり、激しく抵抗したり、日常の家事がまともにできない状態です。
私の育て方が悪いからそういう「難しい姿」を見せるのか、そういう個性なのかもさっぱりわからない状態です。

周りを巻き込んで歌わせたり、人なつっこく愛嬌があったりとかわいい面白い子でもあります。
どちらにしても怒ったり言うことを聞かせようとすればするほど逆効果なのははっきりしているので、ブログを見ながら、具体的にどうすることが受容になるのか、を悩んでいます。

それに対し、この記事はとてもわかりやすいです。
漏らされることを前提に対策を取る、というような段取りが苦手だったんだ、ということがよくわかりました。

こういった記事をもっと読みたいです。
A保育士がどんな風に子供に接したのかなど、エピソードをもっと聞きたいです。
ほんとに育児マニュアル欲しいです。
これからも楽しみにしています。


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