2017-05

文部科学大臣の体罰謝罪からいろいろ考えてみた - 2015.10.15 Thu

馳浩 文部科学大臣が教員時代に生徒に体罰を振るっていたことを謝罪しました。








しかし、これは大臣になったことを契機に体罰を無くすため『隗より始めよ』とばかりに、自発的に口火をきったわけではありません。

ネットのこちらのサイトの記事(『生徒を4時間監禁、竹刀が折れるまで…新文科相の馳浩と副大臣の義家弘介が教師時代の体罰自慢対談』

で、文科省副大臣である義家弘介 参議院議員との対談で体罰肯定論をぶち上げていたのを指摘されたことが発端で、ネットメディアであるIWJ(Independent Web Journal)の記者から会見でそれを質問され、結果として謝罪がなされたものです。(最近、既存の大メディアは仕事しないね・・・)

馳大臣は謝罪のなかで
「体罰は絶対反対です。(『正論』の)記事全体を読めばお分かりいただけると思うが自戒・反省・謝罪を込めて発言した」
と述べていますが、該当の対談の元記事を見ても、反省・謝罪の意図はあまり感じられません。

元記事の該当部分です。↓

『では殴ったことがなかったかと言えば、必ずしもそういうわけでもない。 私は高校のレスリング部の監督を務め、石川県で強化委員長をやってましたけど、私の高校はそう強いチームではなかったのです。 ですから一週間に一本くらいは竹刀が折れてましたよ。 これは理由はハッキリしている。 短期間でチームをまとめ、強くするには基礎体力をつける以外にない。 私は、できるのに、できないふりをする生徒には一貫して厳しく臨んだのです。 周囲からはまずいんじゃないかという声も聞こえてきましたが、生徒の親にも積極的に自分の考えを分かってもらうよう努めましたね。』

元記事はこちら。『正論』2008 6 
”熱血対談 いまどき古くさいとは言わせない【教師の奮起こそ 教育再生の原動力だ】萎縮するな。恐れず胸を張って子供と向きあおう”
参議院議員 義家 弘介  衆議院議員 馳 浩

どこにも、自戒・反省・謝罪は入っていませんよね。
むしろ、

「(周囲からたしなめられているのに、体罰が必要であることを)生徒の親にも積極的に自分の考えを分かってもらうよう努めましたね。」

と読めるのですが、違いますかね?
つまり、謝罪と言いつつ、さらっと嘘ついていますよね・・・・・・・。
嘘つきながらの謝罪には、反省の色は見られないと思われます。

長くなるので、義家議員の体罰をしていた、またそれを肯定する部分は引用しませんが、さらにあけすけに述べています。興味ある方は、元の対談の記事でご覧下さい。(その際は、もしかすると消されてしまうかもしれませんので、早めの方がいいかもしれません)





テレビなど大手マスメディアのなかでは、「謝罪したことを評価したい」という風潮になっているようですが、ここまでごまかしきれないほど明らかに体罰を振るっていたことを自分たちの口から述べている以上、謝罪をしなければ就任直後にもかかわらず大臣、副大臣ともに辞任しなければならない事態になっていたからではないかと感じられます。
現状でも十分、大臣、副大臣ともに辞任すべきではないかと僕は思いますが。


さすがに現役の教師を引退して大臣になっているのですから、これから学校の生徒に体罰を振るうことはないでしょうけれども、施策のなかに二人の大臣の思想は投影されていくでしょう。

「いじめ」などには厳罰化、「国立大学の教育学部をなくせ」発言など、すでに両者には威圧的、統制的な思惑が明らかになっています。



まさにこの対談の記事のなかにもありますが、「いじめ」をする生徒に体罰を振るってやめさせたところで、それは本当の問題解決にはなりません。
表面上の問題を押さえつけただけで、その「なぜその生徒がいじめをするのか」という根本の所を解決してはいないからです。

それは「教育」ではなく、むしろ「調教」に近いものです。



体罰を容認する教師、体罰を肯定する人たちに共通する点は、「主観的」にしか相手をとらえようとはしないことです。

自身が体格・体力に優れていたり、精神的に強いものを持っていたり、頭脳明晰であったり、または社会的な成功者であったりする人は、しばしば自身の成功例や経験を重視して他者へ同じ価値観を求めます。

「自分は体罰を受けても立派に育った。他者も同様だろう」

「私が使うのは暴力ではなく”愛の鞭”だ。だからこの生徒のためになるだろう。いまはわからなくてもきっと感謝するようになるだろう」

自分が「絶対に正しい」と考えられなければ、不可逆的な行為である暴力を使ったりすることはそうそうできません。
こういうことは別の言葉で言うと「独善的」と呼ばれるものです。

しかし、「絶対」なんてことはないわけです。



以前、高校のバスケットボール部で顧問教師から体罰を振るわれていたことが原因でキャプテンである生徒が自殺した事件がありました。


その教師は、体罰を振るうことによって、子供をそこまで追い詰めるかもしれないという予測や想像力が欠如していたのでしょう。
「その暴力が教育的に必要である!」と揺るぎなく考えていた、もしくは思考停止して考え以前に身体に染みついたものとなっていたのではないでしょうか。



体罰を振るう人の立ち位置は、つねに上からです。
そういう人たちも言葉ではなんとでも言えるでしょうけれども、子供を真に伸ばしていこうと考えられる人は、上からの視点だけでなく。”当事者性”、相手の立場になって考えるという視点を持ちます。
僕はこれを「援助の視点」と呼んでいます。

体罰を振るって教育になると考えられる人は、「私の主張は絶対正しい。だからその子供が、それを”ごもっともです”と言うまで痛い目をみせればいい」という思考をしてしまっています。

こんなのは教育ではありません。


例えば、「いじめをなくすために体罰を振るう」というのは、どう考えても論理矛盾があります。でも、それを矛盾だと感じさせない、なんらかの先入観をいまだに多くの人が持っているようです。




”「いじめ」に対して厳罰化”というのも、”上から”押さえつける対応になっています。根本のところで、”いじめをする子に体罰を振るってさせないようにする”こととあまり変わらないとも言えます。
「いじめ」問題の難しいところは、いじめをする側も生徒であり、教育の対象であるところです。
大人の犯罪のように「罪だから罰」と考えるのは、短絡的にすぎるというものです。

”厳罰があるから「いじめ」をしない”というのは、大人の意図する結果だけをつくり出すアプローチです。
なかにはそれですむケースもあるかもしれませんが、根深いものは表面的に見えなくはなってもなくなりはしないでしょう。
いまは、ラインやネットを使った見えない、見えにくいいじめが、すでに大きな問題となっています。

本当に教育的な視点でいじめを考えるならば、「いじめをする側」も救わなくてはならないのです。
それをしなければ、いじめはずっと連鎖していってしまいます。


”上から”しか子供を見ることができない人には、そのことがわからないようです。
その視点で教育を考えると、必ず「おちこぼれ」を作り出していきます。

いじめをする側の子も、家庭での養育が適切でなかったりといった理由があるものです。そういった意味では、あたたかな援助の手を必要としているのはいじめの被害を受ける子と同様に、いじめをする側の子でもあるのです。

もし、本当に「教育」で考えているのであれば、罰することでその問題解決がまっとうされるとは思わないのではないでしょうか。

つづく
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● COMMENT ●

No title

私も学生時代、部活の時に記事のような体罰で指導された一人です。
学生も様々です。
家庭でのしつけをたたいてされた者もいれば、そうでないもの。
私は、叩かれたことはほとんどなく育ったので、体罰をする指導者と信頼関係はきづけませんでした。
なので、その指導者の前では自分の力を出し切れることはありませんでした。
家庭での子育ても、学校生活での教育も信頼関係があって、尊敬できてはじめて、その人の言葉や気持ちが自分にはいってくるんだろうと思います。
じゃないと、ほんと調教ですね。。
大臣が、いじめを暴力で解決するということを、正しいと思っていることが本当に恐ろしいです。

全記事を読むと‥

最初に、上の記事を読むと、ひどいなぁと思うんですけど、下の元記事を読むと、体罰をやっているとは書いてないと思います。
私も高校教師ですが、高校というのは専門的な指導を行う場であり、人として基本的なところを教える時間はほぼ皆無です。高校生くらいで、それぞれの個性がでてくるのは確かですが、それはやはりそれ以前に培われた、お父ちゃん先生のいう幼少期のものは大きいと思います。勉強ができるできないではなく、例えば部活動が続かなかったり、万引きなどの問題行動など、何かしらで現れてくると思います。高校生というのは、生徒しては長く生活してるので、高校で修正というのは難しいと実感しています。体罰についてはもちろんしてはいけないと私も思います。今はまだうるさく言われるようになったのではないかと思います。

いじめのこと

おとーちゃん、はじめまして。いつもこのブログで自分の子育てをふりかえり、参考にしたり反省したりしています。今回初めてコメントします。
いじめのことで、コメントしたくなったのです。いじめをなくすためには、厳罰化などではダメだと思います。いじめている子も救わないと、というおとーちゃんの意見、私もずっと思っていました。幸せな子は人をいじめたりしない。いじめをなくすには、いじめる子をなくすしかない。そういう、いじめる子を生み出してしまう前に、保育園や小学校で、ケア出来ないものかと、ずっと思っていました。もちろん、いじめられた子の事を考えると、いじめる子を擁護する発言はしにくいのでしょうが、もっと、いじめる子も救うべきだという意見が出て欲しいです。それが、いじめをなくすことだと思うのです。

No title

記事を元記事含めて読ませていただきましました。
ヤンキー先生が立ち直ったのは、女の担任の先生の暴力無しの辛抱強い信頼とと愛情だったようなのに、ヤンキー先生が自分の受け持ち児童を立ち直らせるのは暴力と恐怖…というのが、何とも皮肉というか、哀しくも複雑ですね。
この人は真剣に自分が立ち直れた理由を分析したのでしょうか…。

いたずらな厳罰化は私も反対ですが、昨今、刑法犯になるようないじめの態様もあって、そういうのはもはや教師では面倒が見きれず、警察等の出番にならざるを得ないのかなと、少し思ったりします。

気になったこと

おとーちゃんさん、こんばんは。

今回は一部、不快な思いをさせてしまうかもしれません。
おとーちゃんさんのご判断で、適宜処置ください。

---
冒頭に引用されているネット記事(リテラ)について、
記者の他記事も含めて、思想が偏っていると感じました。
これはIWJも、ホームページの内容から同様に感じました。

元記事(正論)もすべて読んだ上での比較ですが、
「体罰自慢」はしていないかと思います。
リテラ記事は、各所で曲解したような言葉が見受けられます。
結局、安倍政権を批判したいだけのように感じます。

私はネトウヨで、安倍政権を信頼し、基本応援しています。
上記のように感じるのも、当然かもしれませんが・・。

おとーちゃんさんと政治に関する志向は違うかもしれませんが、
私が育児でおとーちゃんさんに救われた事実は変わりません。
これまで教わったたくさんの心がけも、大切にしています。

---
その後の本編については、考えさせてもらっています。
最近話題になった鎌倉市図書館のツイートがありましたが、
学校外での駆け込み寺的なところを増やして援助できれば、
援助の連続性につながるのではと思いました。
シリーズの続編を、お待ちしています。

これからも、多方面でのご活躍を楽しみにしています。


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