2017-11

隠れた貧困 vol.3 - 2015.03.04 Wed

経済的な困窮から扶助してくれるシステムとして「生活保護」があります。

しかし、これがこれまでの日本ではそれがなかなか適切に機能していないことがあり、「生活保護を申請したのに受理されず、餓死した」「生活が立ちゆかなくなり自ら命を絶った」「年老いた親の介護が限界になり、泣く泣く殺めた」といった事件すらあります。









そういったものに対して同情の声もあがる一方で、不正受給のニュースがあったり、ギャンブルで浪費する人の問題が取り上げられたりすると、「生活保護そのもの」へのパッシングも起こります。

「不正受給や浪費」と「生活保護自体」の議論は全くの別物のはずなのだけれど、どうも感情的に一括にされて「生活保護」をやり玉に挙げるような意見の流れとなることしばしばです。

こういった流れが、例えば自身の生活に不満を抱えている人がそのはけ口として感情的に言っているのかというと、それがそうとだけでもないようです。

持てる人たち、豊かな人たちからも、「自己責任論」などを理由として同様の意見がでてきます。
そしてそれは、政治的な現実へと影響していっています。



実際にいま現在、生活保護に関する予算は着々と削減されつつあります。
最近の物としては「住宅扶助基準」の引き下げがあります。
これはその理由からして事実にそぐわないものとして、日弁連(日本弁護士連合会)が反対声明を掲げています。

『生活保護の住宅扶助基準、冬季加算の引下げに改めて強く反対する会長声明』



世間が、生活保護など社会保障に関するものを否定的に見ていくと、そのときの政治は社会保障に掛ける予算を削減しやすくなります。

日本は、生活保護費の負担額が、国は75%、自治体が25%となっています。(ちなみにイギリスでは国が100%負担)

地方議会や、自治体は保護費への負担が大きくなれば、暗黙の内に現場にプレッシャーを与え、実際の窓口はその受理を渋るようになります。
結果として、困っている人を助ける制度であるにも関わらず、驚くべき事態が起こっています。

孫引きで申し訳ありませんが、わかりやすいのでこちらを紹介。

『市民の相談窓口を封鎖した鎌倉市~生活保護相談窓口封鎖事件を考える~』

『生活保護申請の女性に「ソープで働け!」という対応 大阪市だけでなく「氷山の一角」』


こういったことを「水際作戦」というのだそうです。
「制度としてはあるけれども、実際には活用させないように、受理窓口で申請させる前に拒む」ということです。
(受理をすると記録にも残り、審査をしなければならない。そして要件を満たしていれば受給しなければならない。受理を拒否することは本来、違法行為)

これらの明るみに出た事例では、当事者がNPO法人や弁護士に相談したので明らかになっていますが、こういったことはこれらの報道では影になっている部分にこそ問題の根深さがあります。

それは、困窮している人、社会的弱者はこのような扱いを受けても、そうそうNOと言うことができない現実です。



上の鎌倉市のケースでは、この男性の訴えで発覚するまでの2年間もの間、生活保護相談窓口を棚でふさいでいるという事態を続けています。

その間、それらを必要とする人たちが門前払いされてきているわけです。

そのようなありえないようなことが、2年間も続けていられたことにも驚きます。
普通だったら、相談窓口が棚でふさがれていて誰も相手にしてくれないなどということがあったらば、とっくに大問題になっているはずです。



今回、生活保護の話を切り口にはしましたが、本当の問題はここにあります。

つまり、社会的弱者、教育や知識の不足、困難・困窮に置かれた人にとっては、普通には当たり前と考えられるようなことが当たり前に行えなくなってしまうことです。

つづく。
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