2017-06

保育 信頼関係構築の具体的な出発点 - 2015.02.17 Tue

保育士の方から、保育実践についての質問を受けましたので。

(ときどき保育関連のことも書いているのですが、分類がいい加減なので申し訳ありません、このカテゴリーや、「心の育て方」その他にもちらばっています。興味のある方は探してみてね)







園全体が、子供に言うことを聞かせようという支配傾向の保育になってしまっているところがあります。

こういった施設では、経験の少ない若い保育士は、違和感を感じながらも適切なモデルを見ることが出来ないので、おかしいと思ってもそこで周りの職員がしている支配的だったり威圧的な関わり方の保育をせざるを得なくなってしまいます。


子供の大変な姿がでたら、そこを大人の強さで抑えつけたり、正論を展開して叱ったり、怒ったり、それで問題なく安定化していけるのならばいいですが、そうでなければいたちごっこになってしまいます。

子供の問題行動が出る、大人がそれを抑える、また別のところで問題行動がでる、抑える、しばらくするとまた同じ問題行動がでる、さらに強く抑える・・・。

これを繰り返しても、なかなか子供自身が伸びていくわけではありません。
その保育士自身、はっきりとではなくともそれを感じることでしょう。そのような保育の仕事は、徒労感ばかり多いものです。日々大きなストレスを感じもします。
そのストレスをそれをなんとか処理して、また次の日も頑張ります。でも、また同じことの繰り返しです。

子供を優しく受け止めたい、子供と楽しく過ごしたいと思って保育士になったものが、そのうちそういった気持ちよりも、イライラや大変さばかりが心の前面にでてくることになってしまいます。
でも、それ以外の解決のしようがわからなければ、そういうものなのだと自分を納得させて、結局はそこでの「効率的」とされている、「支配の強化」という保育を続けることに・・・。

家庭に養育力がふんだんにあれば、日中そのような保育でも、家庭で受け止めてもらうことで、それなりに年齢とともに落ち着きを得て、安定した姿になっていくということもあるでしょう。
でも、そういうケースばかりではありません。


保育の中で、しなければならない役割があるわけですね。


では、具体的にどのようにしていけばいいのでしょうか。
ここが問題ですよね。


正確に言うと、
「子供と保育士の間に、大人の力で抑えつけて支配しなくてもよいだけの信頼関係を築くためにはどうしていけばいいか?具体的になにから始めたらいいのか?」
という問いです。


難しいことはとっぱらって、本当に具体的なことを挙げましょう。

保育士がその気になりさえすれば、必ず出来ることを二つ。



1.スキンシップ

・毎日必ずクラスの子全員に触れること
大仰なことでなくていいのです。
頭をなでる、手をつなぐ、ほっぺをむにゅっとする、背中に触れる、くすぐる などなど。
大人の意識さえあれば、時間がなくともできることです。

しかし実際のところ、簡単なようで実は簡単ではありません。
例えば、定数30人の年長クラスでそれをやろうと思ったら、大人がよっぽど意識しなければできません。
まあ、そういう場合は朝の挨拶で握手をするとかにしてしまってもいいのですが、できればそのような決めたところでするよりも、なにもない普段の生活の中で触れる方がより望ましいです。
なぜなら、「大人が自発的に積極的に自分に関わってくれている」という実感が子供に大切だからです。
保育士がくすぐり魔になってしまうなんていうのもいいかもしれませんね。

乳児クラスであれば、着替えなど生活の中で触れることは当たり前に出来ていることですから、それをさらに一歩進めて密度を濃くしてみるといいでしょう。

0歳児 おむつ替えできれいにしたら、服を着せる前におへその周りをコチョコチョしてみる
1歳児 室内遊びの時間、ひとりひとりに顔遊び、手遊びをしてみる
2歳児 食事を終えたら「ご飯おいしかったね」とおなかをなでてあげる

などなど。



2.笑う

必要があるのならば、怒ってもいいです、叱ってもいいです。
でも、笑わない保育士になったら、子供と信頼関係を結ぶことは極端に難しくなります。

子供は大人が自分を見て微笑んでくれていたら、「自分が肯定されている」と実感します。
自分がなにかしているところを大人が見て微笑んでくれていたら、「その行為が肯定されている」と感じています。
大人がその空間で、声を出して笑っていたら、「ここは安全なんだ、自分は心配なくここで過ごしいていいのだ」と安心感を得られます。


保育は相手のあることですから、「こうすればこうなる」という決まったものがあるわけではありませんが、このふたつを「きちんと意識を持って」(←ここ重要)できていれば、それを一週間、二週間、一ヶ月、二ヶ月と続けていれば、きっとなんらかのいとぐちがつかめてくることでしょう。


それが、「大変さ」を抑えるだけの保育から抜け出す具体的な突破口になるのではないかと思いますよ。





◆保育のステップアップのために

もし、ただ子供を預かって時間を過ごして家に帰すだけの子守り的な保育から、個々の子供の健全な育成を援助するという保育にしようと思ったら、日々の仕事の中でしていることのなかにその大きな助けになることがあります。
それの仕事量は同じでも、意識を持つだけでそれが自分の糧になります。

それはなにかというと、毎日の「保育日誌」です。


保育日誌は、その日何があったかという、こと細かな「日記」である必要はありません。

ひとつのビジョンを持った研究記録にしてしまうのです。


例えば、
「いつも問題行動の多い〇〇君を安定させたい」
「集団での遊ぶ力を伸ばしたい」

そのようなねらいを、週案でも月案でも、個人カリにでも入れてしまって、それとリンクさせて日誌に記録をつけていくのです。

そこで優れた結果を出すことを目指さなくていいのです。
「〇〇君にスキンシップを意図して増やしてみた。でも、いつものようにトラブルが多かった。」
”うまくいかなかった”という経験も実はとても大切なことです。
たくさんの”うまくいかない”を積み重ねた上に見えてくるものもあります。
それを記録していきましょう。

「〇〇君の受容のために手遊びを一緒にした。他児もそれをみてしてもらいたがった。」
ビジョンを持って保育に取り組むことで、それまで日々大変さばかりだった保育が意味のあるものとなっていけます。

”うまくいかない”を積み重ねていく内に、なかにはこれは効果が出てきたのかなということも見えてくることでしょう。
それが見え出すと、保育士のモチベーションも上がってきます。


「室内での遊びを向上させたい」
というねらいのもとに、その週の計画を立てれば、そのために「なにをやってみよう」というアクションを作りやすいです。

遊びのコーナーの配置を変えてみよう
遊具の入れ替えをしてみよう
じっくり遊べない子向けに乳児クラスから、対象年齢が低めの遊具を借りてこよう
ままごと遊具がたりないから、新たに用意しよう

などなど。

”うまくいかない” → 反省 〇〇〇〇 → 新たなアクション(遊具を入れ替えてみるなど)

それも、日誌に書いていきます。

「男児数人が積み木でタワーを作っていると、〇〇君がわざとそれを壊す。ここ数日〇〇君にそういう姿が続いている。」
→「明日は朝の遊びの時間から〇〇君に、彼の遊べる遊具を提供しよい遊びでスタートさせることで、〇〇君の安定化を目指してみる」

次の日それをやってみて、
「〇〇君に机上でできるパズルを提供した。保育士が〇〇君の近くで見守るようにしできたものをそのたびごとに認めていった。その後、男児のしていた積み木遊びに自分から入り、短時間だが他児とトラブルなく積み木遊びができていた」



そんなふうに、日誌に意味を持たせることで有機的な保育を展開していく習慣を持つことで、保育の向上に生かすことができます。
なので保育日誌は、日記ではなく事例研究として活用するといいです。
日記として書いても、事例研究として書いても仕事中に使う時間はそう変わりません。なのでどうせなら自分の保育の力量のステップアップに使った方がいいよね。

ポイントは、
ねらい → 姿 → 考察 → 反省 → リアクション  です。




保育関連の本は、定番と言えば定番ですが、

佐々木正美先生や、汐見稔幸先生、諏訪きぬ先生、大日向雅美先生など、これらの諸先生方が書いてらっしゃるもので一般向けのでもいいのですが、出来れば保育士向けの本がよいでしょう。

また汐見先生が編集している
『エデュカーレ』もおすすめです。
http://ikuji-hoiku.net/educare/

セミナーや研修の情報などもありますので、出来る機会に参加してみるのもいいかもしれませんね。
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名無しさん

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毎日疲れます

どんなコメントだったのでしょう。既に削除されていて見ることができませんでした。


園全体が、子供に言うことを聞かせようという支配傾向の保育になってしまっているところがあります。
子供の問題行動が出る、大人がそれを抑える、また別のところで問題行動がでる、抑える、しばらくするとまた同じ問題行動がでる、さらに強く抑える・・・。
これを繰り返しても、なかなか子供自身が伸びていくわけではありません。
そのような保育の仕事は、徒労感ばかり多いものです。日々大きなストレスを感じもします。そのストレスをそれをなんとか処理して、また次の日も頑張ります。でも、また同じことの繰り返しです。

まさにそうです。おとなしい子どもがいい子。騒ぐと「うるさい!!」と怒鳴る。外れる子は外に出す、小さいクラスに連れて行く。これをしても一向によくなりません。しかも園の仲では厳しくない保育士のクラスでこれです。
いつも同僚に気を使いビクビクし子どもを支配してコントロールすることばかりで毎日疲れます。
今年度で職場を離れるので残りわずかですがスキンシップと笑いを意識して実行してみます。
とても参考になりました。ありがとうございます。

いつも愚痴になってしまいすみません。

ありがとうございます!!

まさかこんなに早く記事にしていただけるなんて思ってもいませんでした。
本当にありがとうございます!
笑顔、スキンシップですね!
これは出来ていたはず…と思うので、少し安心しました…良かったです。
復帰後はますます意識して行なっていきたいと思います。
ガッチリ子どもたちと信頼関係作っていきたいです。
保育日誌の書き方も凄く勉強になりました。
ねらい→姿→考察→反省→アクション、これを紙に書いて壁に貼っておこうと思います(笑)
書籍の紹介もありがとうございます!
読めるだけ読んで勉強したいと思います!
怒ってもいい、叱ってもいいというおとーちゃんさんの言葉に少しホッとしました。
あまりダメだダメだと自分を責めてもいけないですよね。
反省はしても後ろ向きにならないように、がんばっていきたいと思います!
たくさんアドバイスしてくださって、本当にありがとうございました!
良かったら、これからもおとーちゃんさんの保育実践をちょこちょこ記事にしていただけたら嬉しいです。
話を聞いて欲しい時、暴れ回らないで座って欲しい時、静かにして欲しい時…とにかく集団をまとめるのが至難の技です(^_^;)
コメントのきららさんがおっしゃっていること良く分かります…
怒鳴る、追い出す、とかしなくていいようになりたいです(;_;)
おとーちゃんさんの小技(?)を知りたいです…!
今回は本当に本当にありがとうございました!
これからも勉強させていただきます!

いち母親にも参考になります

今回の記事もなるほどと思いました。
私は時間があるときに、育児日記というか記録として
○○(場所)に△△(子どもの友だち)ちゃんと出かけた、
××(絵本)を読んだ、子どもが◇◇した、ということをノートに書き留めているのですが、〜たのしかった(終わり)と子どもの絵日記みたいな幼稚な文章になってしまい(恥)物足りなさ?を感じてました。

ねらい → 姿 → 考察 → 反省 → リアクション

こんな書き方思いつきませんでした!頭の中整理しやすそう。
保育士さんじゃなくても、普通のおかあさんたちが日誌をつけるのにも役立ちそうです、早速取り入れてみます!!

エデュカーレの編集員です

はじめまして!
ネットからエデュカーレの購読を希望してくださる方の情報を管理しています。
ここ数日、「保育士おとうちゃんの子育て日記」を見て、エデュカーレに興味を持ったと言う方が何人も購読の希望をしてくださってます。そのみなさんと、このブログにもお礼を申し上げたく、参上いたしました(エデュカーレは書店での扱いがなく、ほぼ汐見稔幸学長の営業と口コミのみで広げているので、知らない方がたくさんいるんですよ)。
ブログ、まだ一部ですが拝見して、要点がしっかりまとめられており、「これはお役立ち感が高いなあ」と関心しきりです。多くのみなさんが、楽しみにされているのも納得です。
紙ベースの書籍も買いました(これから読みます)。編集員のMLでも、情報シェアしました。
また、勉強しに参りますね!

No title

とっても参考になりました!
保育日誌何にも意識していなかったなぁ!そういう付け方頑張ってみたいと思います!


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