2017-10

支配しなくても子供はまっすぐ育つ vol.4 - 2015.02.01 Sun

街中で、または保育園の降園時、こんな親子の姿を見かけます。








・子供が親を置いて走って先に行ってしまっている親子

・大人が先を歩いて、子供がその少し距離の開いた後ろをとぼとぼとついていっている親子


これらの背景として多いものが、

前者の子供が先に行ってしまうタイプは、
親が子供をコントロールしきれずに、本当は先に行って欲しくないと思ってはいるのだが、それを子供にさせることができずに半ばあきらめてしまっているというもの。
これは「弱い大人」に多いです。


後者の子供が後ろからとぼとぼついて行っているものは、
子供を親の行動に従うようにと、子供の自ままな行動になってしまう前に先手を打って強い態度を示すことで、子供の本質的な怖れである「置いていかれてしまう」という心を刺激し、それによって大人の困る子供の勝手な行動をさせずについてこさせようとするものです。
これは、「疎外」を利用して子供を思い通りに動かしているということです。
傾向としては「強い大人」に多いでしょう。ですが、こういう対応は多くの人がわりと何気なく使ってしまっているかと思います。



前者は、子供の方が大人に寄り添う姿勢がなくなってしまっています。

後者は、大人の方の子供に寄り添う姿勢が減少してしまっています。
また、子供にとっても大人が取り付く島を与えていないということから、寄り添おうとする気持ちが大人によってふさがれてしまっている状態になっています。


ときには、子供がその日なにかに興奮してしまっていて、先に走って行ってしまったり、子供の方になにか気持ちがつまづくようなことがあったりして、とぼとぼとついていく姿になってしまうようなことはあるでしょう。

しかし、これがいつもの様子であるとすると、そのどちらもが子育てを難しくしてしまうだろうし、子供の育ちそのものにも問題を作っていくことになりかねないと思われます。

このことは、その子供の年齢が小さいならばなおさらです。




今回は「支配」ということをテーマにしていますから、後者について見ていきたいと思います。


この姿を、特に保育園の遅い時間帯にお迎えに来る親子で多く見かけます。

遅い時間の迎えということは、つまり保育時間が長い子供ということです。
保育時間が長い子というのは、その分疲れてもいますし、頑張っていた時間も長いわけです。
素直な甘えが自然に出せる子ならばよいですが、それが出来ない子も多いです。
そうなっていると、ぐずりやゴネでそういった感情を表したり、勝手な行動、親が注意するような行動をとって親の注目を惹こうとする姿が多くなりがちです。

一方で親の方も、仕事を終えて疲れていますし、これから急いで帰って食事の支度をしたり家事をしなければならないといった焦りもあります。
そんなときに、子供が大人の気持ちを逆なでするようなゴネを出したり、ネガティブな行動をとられるのはとてもイライラさせられることです。

ですので、その大人ができるもっとも効率的な支配の方法で子供に対処することになってしまっています。

それが人によっては、「いいなり」だったり、「モノで釣る」だったり、「無視する」や「ガミガミ怒る」、「疎外をする」だったりになっています。



僕はこのようになってしまっている親を責めようというわけではありません。

こういう状況は、「子供を支配すること」が「子育て」であり「しつけ」であると考えてきたこれまでの子育ての「常識」や、「受容」というプロセスが明確に存在していなかったこれまでの子育て観が招いてしまった、一種の「ボタンの掛け違え」なのだと思います。


小さい内から保育園で過ごしている子供たちにとっては、このボタンの掛け違えがずいぶん長いこと積み重ねられてしまいます。

本当は「ママーさみしかったよーだっこしてー」とでも素直に言うことが出来ればなんでもなかったものなのです。
しかし、その道が閉ざされてしまっているがゆえに、ゴネやネガティブ行動にならざるを得ず、それを力で抑えつけられ、結果親の後ろをとぼとぼとついていくしかない状況になっているのです。

まだ小さな2~3歳の子供がこのような状況になっているのを見るのはとても胸が苦しくなるような思いがします。


「満たされなさ」で子供をいっぱいにしてしまう前に、「受容」ということを知っていれば、そしてそれが少しでも出来ていれば、十分にはできずとも親の方にその姿勢が少しでもあれば、そのようにことさら子供を抑えつけるような関わりにならずに済んだことでしょう。

しかし、現実には小さい頃の些細なボタンの掛け違えが、年齢を重ねるにつれてどんどん大きな難しさへと発展してしまっています。




このような、「置いていくぞ」という無言の圧力を掛けられていたり、親が不機嫌さや憮然とした態度を終始示すことで「言うことを聞かされてしまっている子」がどのような姿になっているかというと、気になる姿がまったくない子はほとんどいないと言ってもいいのではないかと思います。

子供の個性により様々ですが多かれ少なかれ、こういった姿がでてしまうことが比較的多くなっているでしょう。


・他児と一緒になって遊ぶよりも、遊びを壊したり、ちょっかいを出すことで関わろうとする。(適切な関わり方ができない or わからなくなっている)

・場面の切り替えのときにすんなりいかない
例えば遊びから生活に切り替えるとき。着替えや食事、片づけになるときなど。
(自分の感情をコントロールしきれないことに加えて、無意識に大人の注目を惹きたがっている)

・集団での行動に消極的

・遊びや生活面にもモチベーションが低い

・絵を描いたり、歌を歌うなどの自己表現に消極的
(自己肯定感が低いゆえに、自分を出すことに恐れがある)

・人が嫌がるようなことを言う、する
(注目をネガティブな行動で求めてしまう)

・他児に手が出る

・意地悪をする

・可愛がることが出来ない(年下の子、生き物、人形など)


これらは一部ではありますし、必ずこのような姿がでるとも限りませんが、子供の受け止めて欲しいという気持ちを、疎外や威圧で常習的に抑えつけられている子では、こういった何らかの子供の姿の難しさがでる可能性は高くなります。

最後の「可愛がることが出来ない」という状況で、もし下に弟妹が生まれた場合、そこからさらに子供のネガティブな行動は増えることでしょうし、親にとっては子育てそのものがさらに難しいものへとなってしまうでしょう。


このボタンの掛け違えは、子育てを「支配のレール」に載せることで引き起こされてしまったことだと思います。

特に保育園のように、長い時間親元から離れるという状況は、「受容不足」になりやすいです。
「受容」のプロセスなしに、「支配」で子育てを組み立ててしまえば、あっという間に「子供は面倒なもの」「子供はムカつくもの」「子育ては大変」ということになりかねません。
どうか多くの人にそのことを知っておいて欲しいと思います。
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● COMMENT ●

犯罪者か独裁者か

初めまして、まると申します。
年長の男児の母です。
おとーちゃんのブログを子育ての指針として毎日奮闘しております。

まさにこの記事の様な関係になってしまっています。弱い大人でもあり、強い大人でもあります。
おとーちゃんの子育て論は、論理的で分かりやすく、本当に為になると思っていましたが、いざ自分がだめな大人に当てはまると、途端に言葉の重みがのしかかってきます。
「効率的な支配」まさしく私がしている事なのですが、そのように言われてしまうとまるで犯罪者か独裁者にでもなったかのようにひどく落ち込みます。
このブログを見に来る母親達が、そのような言葉をみたらどのような衝撃を受けるのか、おとーちゃんならお分かりなのではないですか。

頑張っているのにどうしてこうなるのでしょう。

まるさんへ

横レス失礼します。まるさん初めまして、一歳八ヶ月の男児を育てているこまゆかと申します。
おとーちゃんさんは記事によってはきつい表現を使われることがありますよね。しばしばそれらの言葉に反発されることもありますね。
こういう表現は、おとーちゃんさんから悩める母親たちへのメッセージというよりは、社会への問題提起だと私は思ってます。
今子どもの姿で悩んでいるお母さんたちを「あなたがこんなことするから子どもがダメになるんだ」なんて言ってるわけじゃなく、
なんの疑問も持たずに、安易に支配的な子育てをして「あー子どもって大変だわー」なんて思っている人たちに対して、それをよしとしている社会に対して、ちょっと待ってと警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。

自分の子育てに余裕がないと、こういう厳しい表現が心に刺さったりしちゃいますよね。私もありました。
おとーちゃんさんの言う通りやったら理想だろうけど、そんなことできないよ!とか、おとーちゃんさんのいう◯◯な親に当てはまってる!私がダメな親だから辛い思いさせてるんだとか、おとーちゃんさんの言葉をマイナスに受け止めるばかりでした。
上手くいってたら、「おとーちゃんさんの言う通りだ♪感謝感謝♪」なんて思うんですけどね...勝手なものです(^_^;)

強い大人、弱い大人、どちらがいいとか悪いとかではないようです。育児にはどっちも必要な側面があり、バランスが大事だと。
支配的になってしまってるのをなんとかやめなければと自分を責めて苦しむよりも、
笑顔で関わって親子で楽しむ時間を増やすことで信頼関係を作り、ゆっくりゆっくり子育てを好転させていきましょう
というのが、おとーちゃんさんのブログの全体的なメッセージだと私は解釈しています。
自分を責める方向に言葉を捉えないでほしいというようなことも仰ってたと思います。

まるさんはなんの疑問もなく~という方ではないですから(そんな人はおとーちゃんさんのブログ読まないですよね(^^))きっと大丈夫ですよ。
自分が支配的かどうか、気づくか気づかないかというのはとても大きな一歩だと思うので。
子どもも大人も、いきなりは変われません。でも自分が変われば周りも変わっていけるはずです。子育てに期限はないですから、ゆっくりゆったり、いきましょう。
おとーちゃんさんの受け売りたくさん(^-^ゞ長文失礼しました。

以前にもコメントしたものです。

まさに、私も、おーちゃんさんが書いている悪い大人に当てはまっております。

うちの子どもは一体どんな娘に育つのやら、恐ろしくなります。
でも、悩むとこちらのブログを拝見してしまうのですよね。

私は、最近特に、PMSの症状がひどくて、PMSの時期は子どもに辛く当たってしまって後悔の連続です。
子育ては本当に大変ですね。私にとっては。

自分との戦いです。
もう少しかんばらなくては。

はじめまして

初めてコメントさせていただきます。
以前から、参考にさせていただいてました!が、実際にやるとなると難しく何をどうすればいいのかわからなくなっているのが現状です。
この記事の様に、母子関係が支配のようになってしまっており
・遊びを壊したり、ちょっかいを出すことで関わろうとする
・場面の切り替えの時に わざとゆっくり動いたり無視をしたりごねたりする
・何かあっても母に泣きついてこない
(抱こうとしても逃げられる)
上記の様な子供の様子に、具体的にどう反応してあげたらいいのかわからず、自分を責め嫌になってしまいます。
日常的にもネガティブ行動満載で「本人が納得するまで続く」のだとは思いますが、どうやって受け止めてあげたら良いのかがわかりません。
ネガティブ行動に対する対応は、叱るではダメとありましたが、受け止めるという事がわからないんです。
上記の様な行動に対して、恥ずかしながら叱る注意する以外の方法が思い浮かびません。
具体的にどうしたら良いのか、何かヒントをいただけないでしょうか?

光を見出だしたかのような記事

おとーちゃんさん、いつも読ませて頂いてます。
お礼を伝えたく初めてコメントします。
いつも記事をありがとうございます。
娘が1歳3ヶ月になり、ぼちぼちしつけをと考えても私自身の生育歴の背景からどこで注意したらいいか、どのようにしつけたらいいか途方に暮れ、しつけを意識した途端、子育てが辛いものに感じてしまいました。
おとーちゃんさんの記事で、私は娘に無理して自分の気持ちを隠して付き合ってたんだなとハッとさせられました。
そして、それが実は娘も自分も尊重してないことに気付かされました。
これから自分の気持ちを素直に伝えることで今の支配被支配に陥ってた私達の親子関係を見直したいと思います。
今回も良質な記事、ありがとうございました。
返信不要です。

初めまして

時々寄せてもらっていますが、いつもすごく勉強になってます。
現場を知っている保育士おとーちゃんの記事は説得力がありますね。

頭では分かっていても、やりきれない気持ちの行き場がなくてぶつけてしまいました。
おとーちゃんの考え方には大いに勉強させていただいているのに…。
すみませんでした。
これからも悩みつつ進んでいきます。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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