2017-08

相談 友達ができない(年中) 自己肯定感と自信 - 2014.07.10 Thu

6月26日 みかかーさんさんの相談コメントへの返信








幼稚園の年中の娘についてなのですが
新しいクラスになってから、お友達が出来ません。
ものすごく恥ずかしがりやで、自分からなかなか声がかけられないのと
既に他の子は仲良しのお友達が出来ており
ますます入るのに躊躇してしまい、いつも一人で遊んでいるようです。
意地っ張りな面もあり、先生が他の子のところに
連れていってくれても「いい」と断り、一人でふらふらと
園庭を歩いていたり…。
家で話を聞くと「一人で遊ぶのが好きなの」と答えたりしますが
寝る前などに「本当は一人でいるのは嫌なの」と本音を話してくれたりします。
参観日に様子を見ていても、いつもつまらなそうにしているので
早く園生活を楽しんで欲しいと思っています。
先生のお話しだと、みんなで何かをする時間に
急に輪から外れて「やりたくない」などと言うそうで
こんな状態でこの先大丈夫だろうかと心配です。

何か親に手助け出来る事はありますでしょうか。



子供にもいろいろなタイプがあるので一概には言えませんが、人間関係というのは自分で経験し乗り越え学んでいくしかないことです。
なので、基本的には「ああしなさい、こうしなさい」と大人が言ってみたり、友達関係が身につけられるようにとなにかセッティングして「友達をつくってあげよう」というようなことをしたとしてもなかなかそれがその子の本当の身になるようになるのは難しいです。

状況に応じてそのような働きかけが功を奏すこともないわけでもないですが、そればかりをしてしまえば子供は自力で人間関係を構築する力が身につかないまま年齢を重ねてしまうので、長期的に見るとプラスとばかりも言えません。


>何か親に手助け出来る事はありますでしょうか。

そういうわけなので、僕からは能動的な働きかけとして「これこれこうすればお友達ができますよ」ということは言えません。
その代わり大人の方の基本姿勢について述べていきます。


まず、人間関係や友達を作ることの苦手な子に「友達を作りなさい」「お友達できるといいわね」というような働きかけをすることは、それが好意からのものであってもその子にとってプレッシャーとなることがあります。


もし、そういうプレッシャーが最初からまったくなかったとしたら、その子は一人でいることを少しも苦に思わず、しかるべき年齢や発達、それのしやすい状況になるまで一人で過ごすことを満喫して、その後自然に友達関係が作れたかもしれません。
しかし、親の方から「友達がいなければならない」というような情報を与えてしまったり、親の友達を作って欲しいという願望を見せてしまったら、その子は苦手なことに立ち向かわなければならないというプレッシャーをそこから作り出されてしまうし、一人でいることがいけないこと、みじめなことと感じてしまうかもしれません。
また、友達が作れない自分というものを強く意識することでそれが自己否定感につながってしまうかもしれません。

人間というのは苦手なことがあってもいいわけです。
「友達を百人つくる」必要も、小さいうちに一生つきあう友達を決めなければならないわけでもありません。

まずはあるがままの子供を認めてあげるということが大人の基本姿勢として必要だと僕は考えています。
このブログで書かれている「全面肯定」ということです。

そのことが子供のプレッシャーを取り去って、いまではないかもしれないけれどもこれから先にそこに生まれた気持ちの余裕が友達関係を作っていく糧になっていけることもあるでしょう。

小説家の村上春樹が昔のエッセーのなかでこのようなことを言っていました。
「子供の頃、周囲から友達を作れという圧力がたくさんあった。けど自分はひとりでいることを苦痛に思っていたわけではないし、子供のうちからどうしても友達をたくさん作らなければならない理由もいまだによくわからない。どうして大人たちはそうすることを子供に強要するのだろう」

20年以上前に読んだので出展も正確な記述もわすれてしまいましたが、そういった内容でした。
友達を作ることが苦手な子供に、「友達をつくりなさい」と要望することは、その子のあるがままの姿を認めないということです。
友達ができないことがどうこうというよりも、この自分の自然な姿を認めてもらえないというのは子供にとって心苦しいことです。

そうしてまで子供に大人は自分の望む「子供像」を押し付けてはならないと僕は思うのです。
なので、友達ができないことの良い悪いは置いておいて、まずは「そういうところがあなたなのだね」「○○ができなかったしても、あなたのことが大好きですよ」というポジションに大人が立たなければ、子供は前向きに自分のことを肯定してそれをモチベーションとして成長していくことができなくなってしまいます。

自分のコンプレックスを見つめながら成長していくことになるのは辛い経験です。
今の段階でなにができなくとも将来どうなるかというのは、そこできまるわけではないのですからとにかくあるがままの状態、それがたとえ大人の目からマイナスに映ることであっても、むしろそう感じてしまうことだからこそそれを認めてあげるという姿勢が必要です。

その上で「ひとりでいるのが嫌なの」と自分で思うのであれば、いずれ自分に力がついてきた時にそこから前へ進もうというリアクションをとることもできるでしょう。


子供集団というのは、その中にいろいろな子がいます。
わがままで自分勝手な子もいれば、意地悪な子もいるでしょう。しかし、その一方で困っている子を助けてあげようとしたり、気にかけてくれたりする子もいます。
また、友達関係が苦手な子というのもそういうなかには必ずいます。
すると、友達関係が苦手な子は苦手な子同士で自然とひかれ合って、そこで友達関係ができたりします。

これは周りの人的環境によるものですから、必ずしもそういう子がいるかどうかというのは他力本願になってしまいますが、状況というのは変わっていくものですから、いまはなくともこの先そういう状況にめぐり合うこともあるでしょう。

砂浜の貝は周りに水がないときは蓋をしめてじっとしていますが、水が満ちてくれば自然と蓋を開けて活動を始めます。
まずは今の状況が全てではないという視点に立って大きく子供を見守ってあげられるといいでしょう。


親が何か出来ることがあるか?と言えば、僕は最初に述べた理由から結果的にプレッシャーになりかねない、友達関係についてのアプローチはしません。
その代わり、それとは全く別のところで、子供を認めたり、共感したりすることで自分に自信をつけるという関わりを勧めます。

なにかすごいことをしなさいということではなくて、なんでもいいのだけど例えば。

スーパーでゼリーの素を買ってきてそこに切った果物をいれて子供と一緒に作る。それを親子で食べて「おいしいねー」と笑顔で言い合う。
このようなたったこれだけのことが、子供に自己肯定感を持たせ、自分を好きにして、自信をつけることになります。

それをお父さんにも「○○ちゃんがつくったんだよ」と出したのをお父さんが喜んでくれたらそれも自信になるし、そこで「おいしいよ上手にできたね」と褒められたらそれもまた自信になります。

こういった積み重ねが、子供に不得意なことも自然と乗り越えさせてしまう力になります。

また、それまでの子供の「受容」の経験というのもこの自信をもたせることにもつながります。
過保護・過干渉は多いのに「受容」の経験の少ない子は自分に自信が持てなくなっていたりもします。
そういうケースだと、大人の方は「こんなにも子供に手をかけてきたのに、どうしてこう思うように育たないのだろう」という気持ちになることもしばしばです。その気持ちが余計に子供の姿をネガティブにとらえさせ、結果的に子供の自信を奪うほうにいきかねません。 


>みんなで何かをする時間に急に輪から外れて「やりたくない」などと言うそうで

こういう行動は、「うまくできる自信がない」「失敗した時にそれを自分に認めることが大きな苦痛としてやる前から感じられてしまう」そういう気持ちから来ていることがあります。
大人からすると「最初からやらないのはできないのと同じじゃないか」と感じてしまい不可解な行動に見えてしまいますが、当事者にとってはそうではありません。


幼稚園というのは、ルールのある社会や、友達や大人との関わりといった人間関係、それまで自分ひとりではできなかった・しなかったことに取り組んだりという様々な経験を練習しに行くところです。
そこは過程であって、必ずしもそこで結果を出す必要はないわけです。だから点数をつける通信簿はありませんね。

子供の苦手部分にばかり注目して心配を重ねてしまうのではなく、あせらずゆっくり見守ってあげることが大切だと僕は思います。
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● COMMENT ●

いつもありがとうございます

いつもブログ読ませて頂いています。
書籍化も大変楽しみにしています。
そして、実験的に?はじめられた
相談への回答という形式のブログ更新、
興味深く読ませて頂いています。

今回の相談内容は、
今の私にとって非常に響く内容でした。
相談者さんとは具体的な状況は
異なりますが似た想いでしたので。
・子どもが何かを乗り越えられない
・親の子ども像から状況を
ネガティブにとらえてしまっている
・どう働きかけたらいいか悩む

おとーちゃんさんの語られた内容に
なるほどと思いました。
子どもの気持ちに寄り添うつもりが
ついついこうあってほしいという
親の側の想いを重ねてしまっている
ことに気づかされました。
あと押しのつもりが
子どもを追い詰めたりしないよう、
今のままの姿を丸ごと受け止められる
強さや心意気を親の方こそ
持たなければならないなぁと
つくづく考えさせられました。

相談者さんのお子さん
うちの子ども
何かのハードルの前で
力をためている子どもたちみんなが
機が熟して
よいきっかけに巡り合って
自分から一歩踏み出し
乗り越えていくことができるよう
心から願っています。

No title

はじめまして。いつも参考にさせていただいています。本当に助かっています。

横から失礼します・・・
>相談者さんのお子さん
うちの子ども
何かのハードルの前で
力をためている子どもたちみんなが
機が熟して
よいきっかけに巡り合って
自分から一歩踏み出し
乗り越えていくことができるよう
心から願っています。

記事と合わせてこちらのコメントの一節が響きました。
相談者さんと同じ思いで数年前の私がいました。
家は長男がそうでした。
なかなか輪に入れず、決まった友達もいない。
同じ保育園のメンバーがほとんどそのまま小学校へ行くような田舎でした。小学校に上がっても、関係性はそのまま。いつもなにか心に塊を持ってすごしているようで苦しそうでした。
ただ、生活のすべてがそれではないので、楽しいこともあったと思いますが。

今、小学校3年生になりました。転勤で転校し、環境も変わりましたが、親が驚くほどたくましく、のびのびとしています。あの苦しそうな長男はどこへ!学校が早く終わる日はほぼ友達と公園や児童館へ走ります。
そりゃ嫌なことも苦しいこともあるでしょう。でもものの見事に乗り越えていきます。
こどもにはその子のタイミングというものがあるのかな?と思いました。

そしてこの記事をみて、親も少しはフォローできてたのかな、とうれしくなりました。とくに「友達できないの?」とかは言わず、楽しいことを探したり、一緒に何か作ったりして過ごしてました。
それは親にとっても楽しい時間でした。

大切ですね

自己肯定感、本当に大切ですね。
それさえあれば、人生どうにかやって行かれるのでは…と思うくらい、大切ですね。
読んでいて、「私も、こんなふうに受け入れてもらえたら、嬉しいだろうな…」と涙が出そうでした。
1歳5ヵ月の娘に対して、肯定的に接したいです。同時に、夫に対しても、肯定的に接したいと思いました。
一緒にゼリーを作るとか、想像しやすい具体例をあげて下さって、ありがとうございました。

励まされます

4月からの入園、未だ友だちとの関わりがほとんどない、一人遊びもせずごろごろしています、同時期に入園したお子さんは友だちと遊んでいますよ、との先生の言葉に、敏感なところがあるこの子の個性と受け止めていたはずなのに、うぐぐーっと帰宅後に涙止まらず、おとーちゃんの記事、皆さんのコメントを読みなおしています。本人は特に嫌がることはなく登園し園での話もしてくれるのですが、たまに寂しいようなことを口にすることもあったところに先生のお話ぶり、ショックを受けてしまいました。
4歳まで、その子自身の時期がくれば自分の力で成長していく様子を見てきたはずなのに、先生の言葉に動揺するとは修行がまだまだです。ただごろごろしてるんちゃうよ、先生、もっと良いところにも目を向けて!という悲しさはありますが、私と夫はありのままの姿を受け止めて、ちょっとの後押しを必要とするときがくればそうする、そんな親でいたいと思います。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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