2017-10

『子供』と『子育て』の価値を高めたい Vol.2 現代の子育てを難しくしているものの正体 - 2014.06.22 Sun

子育てが今の人にとっては軒並み難しくなっています。
なぜでしょう?

それの原因の一部ですが、多くの親子を見ていて僕には心当たりがあります。







それは「不安」と「心配」です。

子育てする人は、「不安」と「心配」が大きいがために子育てをかえって難しく考え、子育ての迷走を生んでしまっています。


もともと子育てにはそういう側面が昔からあります。
ほんの些細な情報などにも、子育てする人は「不安」と「心配」ゆえに重く受け止めてしまいます。


子育てにはさまざまな噂話程度のような流行なども出ては消えしています。

昔こんな話がありました。
ベビーカーに子供を乗せるとき、子供が進行方向と逆向きだと、子供から見て流れる景色が人が普通に歩くときの風景と逆になるのでそれが脳の発達によくない というようなものです。

つまりこの話では、進行方向に向かって乗せなければならないというわけですね。

そうかと思うと、赤ちゃんはただ景色だけ見させられることは不安になるからよろしくない、ベビーカーは押す人と向き合う形で乗せるべきだ  というような話もありました。



実のところ、このようなことはさして気にしてもしなくてもいいような話です。

脳がどうたらにしても、それがどこまで検証されたデータなのか、それとも単なる一研究者が述べている仮説なのかそういうところもこういった情報ではあいまいです。
よしんば、そのようなことがあったとしても実際には誤差程度というようなことも多いものです。
検証されたたデータであったとしても、データの取り方、データの採用の仕方によっていかようにも印象を誘導することは簡単です。
(健康食品などでもこの手のことはたくさんありますね。)


本当は大して意味のないことなのだけど、それの受け手が「不安」や「心配」を抱えているとそれはあたかもとても大変なことのように感じられて、「なんだか怪しいなぁ」とか「そういうこともあるかもしれないけど、そのくらいはこだわらなくても平気でしょ」などとは受け流せずに真に受けてしまいます。



「子供にたくさん卵を食べさせすぎると知能が低下する」という話を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

これはなんと1950年代頃に当時のソ連で、ウサギを使った実験が話の発端となっています。
そもそも草食性であるウサギに動物性の卵を与えているのですから、前提としてかなりそのデータは怪しいものであるのは素人にもわかるでしょう。

しかし、その後この話は独り歩きしました。
子供に不利益があるという話は「不安」と「心配」を刺激するので、過剰に受け止められがちです。
なのでそれがまことしやかに現代まで伝わってきてしまっています。


この「不安」と「心配」をうまいこと刺激していけば子育てする人を対象にしたお金儲けもたやすくなせるでしょう。
子育てでなくとも、「先祖の霊が苦しんでいるからこの壺を買いなさい」といった霊感商法のようなものもこの「不安」と「心配」を巧妙に刺激しています。



以前行われた「ゆとり教育」が一般からも否定され崩壊したのは、ひとつの学習塾の宣伝がきっかけになりました。

それはこういうものです。

「ゆとり教育では円周率を 3でいい と教えている。これでは子供の学力は落ちるばかりです。しっかり塾に通わせて勉強させましょう」という意味合いのものでした。



実際にはこれは必ずしも事実ではありませんでした。
しかし、「不安」と「心配」を刺激されたこの情報はとどまるところを知らず、とうとう世論にまでなり「ゆとり教育」を破綻させるまでにいたりました。

(実際はこの「3でいい」というのは、小数点を教える前の段階の子供に対して伝える際には「3でいい」と言っているだけです。円周率を習う段階の子供に対してはもちろん、3.14・・・・で教えているわけですが、宣伝する側がその事実をあえて伏せたままセンセーショナルに言い表したにすぎません)



「不安」と「心配」というのはとても大きな原動力となってしまいます。

それが根拠のあるものであって、なおかつ意味のある対応をとるのであれば悪いことでもありませんが、それによってさして意味のないことに振り回されていったとしたらどうでしょう。
簡単に子育ての迷走にはまってしまいます。


子供相手にこれを過剰に煽って商売しているものがたくさんあります。
このブログが消されても困るので、何とは言いませんが落ち着いて考えればみなさんにも多岐にわたって、それがたくさん見えることと思います。



ではなぜ「不安」と「心配」がそれほどまでに大きいのでしょう。
ここを見ていくことが子育てを楽しいものとしていけるきっかけとなるでしょう。

つづく。
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● COMMENT ●

確かに…

知育やしつけをうたっているものに、弱いです…
子どもの能力を伸ばすため、というよりは、親が安心したいための転ばぬ先の杖として、与えているものもあります。
ゆとり教育で塾に通わせる、まさにその心境に似ていると思いました。
お返事は不要です。

100点を目指す強迫観念

こんにちは。

おとーちゃん(さん)のブログ、いつも楽しみにしております。
子育てや教育は、健康食品と同じで成果がはっきりしない中での
営利目的なので、悪貨が良貨を駆逐するということになりがち
ですね。

家庭の子供の数が少なくなり、社会全体の子育て経験やその
交流も少なくなる中で、パーフェクトチャイルドを目指して
そこまでの距離を測る子育てが幅をきかせるのもしょうがない
のかな、とも思います。

何事でもそうですが、経験のほとんどない人は始めるに当たって
壮大な計画、大それた野望を設定しがちです。でもおとーちゃんが
おっしゃる、子供をかわいいと思える子育て、好きだと思える子育て
で必要十分なんですよね。でも教育産業からはそういう話は
でないのは、営利企業なので仕方ないでしょうか。

No title

教育産業(フランチャイズ)の現場にいる者です。 ...そういう話はタブーですよ。心でうすうすわかっていながら、職場ではおおきな声で語られません。

でもね、語られなければならない時は迫ってきていると感じています。

私はいま3~4歳児を相手にしていますが、もう、なんと申しますか、レッスンにはなっていませんから。

年齢や経験年数でラフに輪切りされたグループ構成。しかも、人数上限が現場の都合を一切無視して一律に何人と決められていて、発達や情緒に問題のある子がいようが、グループ内の理解力におおきなばらつきがあろうが何だろうが、教室経営者側は営業活動して生徒をふやすか/継続させるかにしか関心がなく、後の事は現場の講師に全責任丸投げです。

レヴェルごとに決められたレッスンプランが有り、講師はそれを一時間近くにわたって厳密に再現しないといけない事になっているのですが、一人一人多様な育ちをみせている子供達に対し、今時そんな、やたら理想的で、一面的な子ども観にもとづく古典的な手法なんて、もう通用しません。 

というわけで私の現場は一時間のあいだ無法地帯です。親が迎えに来る時間になると、突然良い子達に豹変するんですが。やれやれ。
教室は儲けまくっていますが、現場講師はひたすら辞め時を伺っています。
そして、子ども達は体を張って不満を表明しています。

No title

こんにちは。
いつもとても楽しみに読んでいます。

4歳3か月の息子、6か月の娘がいます。特に息子を育てるうえではやはり不安、心配は毎日ありました。
でも基本的に、彼のことが大好き、大切という気持ちに支えられて、日々を過ごせています。

が、ずっと気になっていることがあるので質問したいです。
寝るときの癖についてです。
息子は添い寝で寝かしつけています。0歳児期は添い寝授乳していました。
1歳で保育園に預けて復職し、自然に卒乳しました。私は、夜だけ授乳を続けてもいいし、彼に合わせて・・と思っていたら、あっさりと卒乳されてしまいました(笑)

しかしそれに代わってか、添い寝の時に私の耳を触るようになりました。これが痛くて・・。
基本は、「痛いから触られると困るの」「ギュー抱っこで(またはお手てつないで)寝よう」と伝えるスタンスで伝えてきましたが、一向に変わりません。
3歳半の時、しっかり向き合って「もうやめてほしいんだ。お母さんは○○ちゃんとギュー抱っこで痛くないねんねがしたい」のように伝えたら、数日はがまんしてくれました。でも徐々に再開しました。
私も眠くなってくると、手を振り払ってしまったり、やめて!と声がきつくなってしまったり・・。
彼は、触るとお母さんは嫌なんだということは、きっと分かってくれています。
でも眠くなるとなんとしても触りたくて、まるで柔道の襟の取り合いのようなバトルになることもあります。
息子とは多分かなり穏やかな毎日です。いわゆる育てやすい子かもしれません。保育園でもイキイキ過ごせているようです。
寝る前もくっついて絵本を読んで、楽しいなあと思っています。
なのにその後、バトルになり、お互いに悲しんだり怒ったりして一日を終えるのはつらいです。

どうするのがよいのでしょうか?我慢するのはちょっとしんどい痛さなのです。
また、これは一つのサインなのでしょうか。実は満たされていない、とか・・。
そして悲しい気持ちで眠りにつくことは、子どもの気持ちにどう影響するのでしょう?

長くてすみません。お時間ある時に、ご意見を聞かせていただけたら、と思います。



虎の子の英語教室で教えていますさん

やはり、現場からみると今の子供たちの問題というのは見過ごせないところまで来ていますよね。
講師の方からこのような言いにくいことを教えてくださって本当にありがとうございます。
早期教育が即悪いというものでもないけれども、やはりそれ以前に必要なことをしないままやらせてもなかなかプラスになりにくいとは思います。
いまの子育てしている人の視点が少しでもそういうところに向いてくれればいいのですが。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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