2017-06

ニュースが安心して見れない  Vol.2   ―コメントを受けて―  その1 - 2013.11.09 Sat

先の記事にたくさんのコメントありがとうございました。

やはり、ニュース映像などの子供への影響、またそれらが過激になりつつあることを感じている方は少なくないのですね。

しかし、そういう人がいる一方で、そういうものに慣れてしまって気にならなくなってしまっている大人や、いつのまにか慣らされてしまっている子供も少なくないのだろうという気もまたします。




これまで日本の社会というのは、総じてモラルや倫理というものを高くもっていたので、そのようなマスコミにしても、企業にしても、行政にしても、多少の不合理はあるにしてもおおむね「悪いようにはしない」という水準は維持されてきたように思いますが、近年はそれがそうでもなくなって、個々が自衛するなり情報や知識、意識を高く持っていないとまんまと飲み込まれてしまうというような事態が増えているように感じます。


いただいた多くのコメントのなかでひとつの焦点になっていたのが、「暴力的な表現をどこまで子供に伝えていいか」という部分でした。

「無制限にそれらを与えてしまっていいものでもないし、かといって大人が何でもかんでもシャットアウトしてしまうのも良くないのではなかろうか」という疑問がでてきています。


これに関しては、「こっからこっちはOKでこっからこっちはNO」と誰にでも適応できるような基準という答えが明確にでるものではないと思います。
それは大人の感覚によっても、子供の成長によっても違うかもしれません。

結局のところ現代では、子を持つ大人が常に意識を持って対峙していく問題なのでしょう。


参考になるかどうかわかりませんが、僕のそれらに対する考え方や、コメントの中でいくつか疑問として挙げられていたことに関して少し書いてみようと思います。



まず、「童話の中で本来おどろおどろしい表現があったりするので、そういうものは子供にとっても必要なのではないか」というけっこう多くの人が持っている疑問にはいくつか知っていることがあります。

これらはそもそも「子供向けなだけではなかった」という歴史的経緯があるのです。

昔話というものは、それを編纂することを「再話」と言います。
各地に残っているおはなしを聞き取って、文章にし本となります。なのでまれに「採話」という字を使うこともあるようです。

それを編纂した人の名をとって「○○童話」などといまに残っています。
なかにはその人が創作した話があることもありますが、それもお話の核になるものは、伝承されたものをふくらませたということもあります。

さて、そうやって「童話」というものが形成されてきたのですが、もともと各地に残っていたそれらのお話は、子供向けだけだったわけでなく、大人や大人に近い年齢の人達に対する「社会教育」的側面もあるものだったのです。

なぜなら、近代よりも前の時代は一般庶民の教育水準というのは、とても低いものでした。
(日本は近世から高かったむしろ例外的な国)

「読み書きそろばん」といった基礎的な学問を身につけることも、そうする場も発達してはいなかったのです。
現代では、とくに意識せずとも身につくような知識も、そういった状態においてはなかなか吸収することができません。

そこで、「寓話」としてそれらの社会教訓を伝える必要があったのです。


例えば有名でわかりやすいところでは、「赤ずきん」というものがあります。

ここで出てくる「赤ずきん」というのは「初潮の来た女性」という暗喩であり、「狼」というのが女性を性的に見る男性という暗喩となっています。

このような「寓意」というものをお話にのせて、人々に伝え知識とするという社会教育的な側面がこれらにはありました。

「本当は怖い昔話」といったものは、子供を脅すためではなくて、これらの時代には世の現実を伝えるための手段として必要だったわけです。

なので、このような「昔話は本当は怖いものなのだから子供に怖いものを与えることは必要なのだ」ということには直ちにはあたらないだろうと思います。


こういう社会教育としての昔話としてもっともその色がいまでも残っているのは、シャルルペローの編纂した童話です。
これには、ひとつひとつのお話の末尾に、「教訓」としてそのお話の意図することがまとめられて書かれています。

日本では子供向けにしたのではなく、それらの社会教育的な側面を残したまま澁澤龍彦が訳したものが河出書房新社よりでています。
のちのち流行った童話の残酷な部分などをアピールして出版されたものよりも、適切にもともとの意図が現れている名訳だと思います。

ちょっと長くなったので分割します。
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● COMMENT ●

はじめまして。

只今、育児休暇中のもこもこと申します。子ども関係の仕事を6年していました。子育てのブログを覗いているうちに、こちらへたどり着きました。曖昧な部分もわかりやすく言葉にしてくださっていて、読んでいてとてもおもしろいです!(このような表現なってしまい、申し訳ありませんが、勉強になるという意味を含めたおもしろさです)わたしのような経験が浅い者でも、なるほど!、そうそうと次々に読んでしまいます。自分の子ができ、今までの教諭としての行いを反省しながら、自分の子育てを作っている最中です。更新、楽しみにさせていただいております。長々と失礼致しました。

興味深いお話ありがとうございます

前回、疑問に思ったことへのお考えを書いて下さりありがとうございます!
なるほど、童話にはそういった経緯があるのですね。確かに、日本の昔話なんかも元々は子供に聞かせることを想定して作られたものではないですよね。
それがなぜ、子供のためのお話になっていったのか気になります。

実は、夫がヒーロー番組が大好きなもので、息子と一緒に番組を見たり、ヒーローごっこをしたりして楽しみたいと思っているようなんです。その気持ちは分かりますし、男の子は大抵ヒーロー番組を見ているが心配するようなことはないという周囲の状況を聞かされると、やはり悩んでしまいます。
子供から暴力表現を何でもかんでもシャットアウトする気はないですし、成長に合わせてそういったものの規制を緩和していくつもりですが、やはり自分でいろいろ考えて納得した上でそうしたいのです。
もちろん、子育てに大らかさや自分と違う意見は大事ですが、周りの人の言う「そのくらい大丈夫」「子供はそういうもんだ」ということに少し立ち止まっていけたらと思います。

がらがらどん

小さい頃、「がらがらどん」怖かったなぁ~~~~!
と言うのをしみじみ思い出しました。子供の時分には十分刺激が強かった・・・。しかも一番大きいヤギが「悪いもの」とされる・・・(怪物?)を返りうちにしてしまうのさえ怖かったでそす・・・。暴力ON暴力っていうのが子供の私にもちゃんと嫌なものとして感じられたんだなぁ、と思います。子供は分かっている・・・ってこういうことかも・・・。と改めて思います。

学校の教科書に載っている「ゴンぎつね」、の感想文で「ゴンの恩返しのやり方は自分本位で良くない。それでは打たれてしまっても仕方ない」と書いて先生を驚かせた子がいるそうですが、でも感想文は自分の感じたことを書くのでそれで正解というか自由なのに・・・。(書きなおさせたりする先生居そうですよね。個人的意見です・・・)それを大人が感じて欲しい、意図していたことじゃなくても受け止める側の大人が狼狽えてはいけないですよね。

なんだか締まりが悪くなりましけど・・・。

絵本はやっぱり、楽しいもの、暖かいもの、意識して選べるといいですね。さらには親が子供一人一人の個性にあったものが選べるといいですね。世間で良いとされているから、上の子が好きだったから下の子にも・・・とかではなく、性質、性格、もろもろ、個性を認めていく、という点で絵本選びも大人側に「気づき」を与えるチャンスかもしれませんね。

ごめんなさい、補足です。

「がらがらどん」が悪いわけではないんですよ。

感受性の問題、個性の問題、適齢期、等々・・・。
教科書に載っている、「ゴンぎつね」でさえ意図しないとらえ方になりますよね。と言う意図で書きました。(意図、意図・・・大事ですね。)

伝わらり辛いかな、と思いましたので・・・。

それこそ、しっかり伝えたいものですね。(反省)

「昔話」の選び方

こんにちは。

「昔話はもともと子供向けではなかった」というお話、
なるほどと思いました。

長女が3歳半を過ぎて、そろそろ絵本のバリエーションに
昔話のような、少し長い話を増やしていこうと考えていたのですが、
その選び方について、迷っています。
お時間のあるときにご意見いただけると嬉しいです。

記事にもあるように西洋・東洋問わず昔話には
ある種の「残酷」表現がよく見られると思います。

例えば今我が家には「三匹の子ぶた」の本が2冊あるのですが

一つは(ディズニー的というのでしょうか)
上の二匹のお兄さんは狼に襲われるものの
レンガの家に逃げてきて助かり、狼も煙突から
入ろうとして鍋に落ちて大やけどするけれど、
命は落とさず、その後は反省して過ごす というものです。

もう一つは、原作に近いものらしいですが、
二匹のお兄さんはあっさり狼に食べられてしまい、
狼も鍋に落ちてそのまま茹でられて
一番下の弟ブタに食べられて終わる、というものです。

私はこちらの方が、繰り返しのリズムがあって読みやすく、
狼と末の子ブタとの知恵比べ的要素が多くてワクワクするので好きです。

娘も最初は「お兄さんブタは?狼のお腹から出てくるの?」
(「赤ずきん」辺りからの連想のようです)
と不思議そうでしたが、特に怖がることもなく楽しんでいるようです。

なので、「三匹の子ぶた」に関しては、原作に近いものを
買ってよかったなと思うのですが、
それ以外の昔話について、あえて残酷表現が含まれるかも
しれない原作に忠実なものを選ぶか、
その辺りの表現がマイルドになっている最近のものを選ぶのか・・・

娘が怖がらなければどちらでも良いことではあるのですが
保育園では(あるいはおとーちゃん個人のポリシーとして)その辺り何か基準のようなものはあるのでしょうか。





さやさん

僕がうかがった児童文学を研究している方のお話では、必ずそうすべしということではないが、長く語り継がれてきたものにはそれだけの意味があるのだから、再話されたものに忠実なものが好ましいということでした。


前述のように残酷な表現があったとしても映像で入ってくるものと違って、お話は子供のイメージの範囲で再構成されますから、その子に合わせて大人が選ぶのであれば問題のない範囲でおさまるのでしょう。

やはり昔話は「昔」だからこそいいのでしょう。
現代的なアレンジをしてしまうのならば、そもそも現代に作られたお話を子供にしてあげればいいのですから、昔話としてのあり方を尊重するというのもいいと僕は思います。

ありがとうございます

お返事ありがとうございました。

>長く語り継がれてきたものにはそれだけの意味がある
そうですね、「教訓」というだけでなく
読むときのリズムもいいような気がします。
(作者・訳者によるのかもしれませんが・・・)

そのため、私の読みやすさで選んでしまって
残酷表現が娘の負担になっていないかとちょっと心配だったのですが
やはり、できるだけ元の話に忠実なものを
選んでいきたいと思います。

>お話は子供のイメージの範囲で再構成されます
娘に聞き取りをしてみたところ、赤ずきんの狼の
「お腹を切って〜」というところは
ファスナーの開け閉めのイメージで捉えているようです(笑)

言葉として伝える分には、自分の知識の範囲を超えた
恐ろしいものとしてインパクトを与えることは
ないのでしょうね。


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