2017-07

人はなにで動くか Vol.1 - 2013.10.31 Thu

人の動く理由というのは、大きく考えて3つしかありません。

1 自発的なモチベーション 
2 対価
3 威圧、恐怖、脅し








1は「好きこそものの上手なれ」などといいますが、その本人が「やりたい」と思うことは、誰に言われずとも自分からします。「やる気」などとも言われるものです。

2は大人であれば賃金などがそうですが、子供でも、「○○したらおこづかいがもらえる」だとか「○○できたら、あれを買ってあげる」とか「お菓子をあげる」などとして使われます。
いわゆる「モノで釣る」というのもこれにあたります。

3は強制力を持ってさせられる類のことになるでしょう。
「○○しなければ叱られる」と思えば人は嫌でも、渋々でもしようとします。
極端なところでは、体罰などを振るわれると思えば、人はそれを避けるために必死にやります。


人がなにによって動くか、その理由を考えたときまず大抵のことはこの3つに大別されることとなるでしょう。


もし、これの好ましいものから順番をつけるとしたら、多くの人が1>2>3の順であると考えるのではないでしょうか。

もし、そうだとするならば、

自発的なモチベーションを持ってものごとに自分から率先して取り組むのが上策で、対価を求めて行動するのが中策、威圧でもってさせるのは下策ということになります。

おそらく、多くの方がこのことには同意なさることと思われます。


しかしながら、日本人はとても1のかたちで人を動かすことが下手です。

むしろ3をもっぱら好んでいるような節すらあります。


自発的なモチベーションを持たせる方法としても、「○○はすべきことなのだから、あなたもやるべきだ」「周りはやっているのだから、あなたもやるべきだ」というような、どうも精神論的な理屈で、上から「やるべき」というものをモチベーションにさせたりと、どうも自発的なモチベーションというにはその人の内から自然とでるような形でのモチベーションを持たせるようにはなっていないように感じます。


しかも、その「○○すべき」という理屈は、それでその人のモチベーションにならないとなると、すぐさま「しないのは悪い」ということになり、3をためらいなく行うことの理由ともなりかねません。


保育の場でも教育の場でも、この構造が少なからずあるように感じます。


この前、ある保育園で働いている人とこんな話をしました。

その園では1歳児であっても、断固として片付けをさせるという方針なのだそうです。

室内遊びが終わると、外遊びにいく流れなのだけど、片付けが出来ていない子は外から何度でも呼び戻して片付けをさせるそうです。それを1歳の子にもさせているとのこと。

なるほど、たしかにそのようにして必ずやらねばならないということを習慣として身につけさせていけば、だんだんと片付けをする子に育つこともあるでしょう。

ですので、それが間違っているとも言いませんが、1歳児に対するアプローチとしてそれがベストとも思いません。



この方法は「やらされるから」渋々やっているだけという状態を作り出す可能性も多分にふくんでいます。

もしそうであれば、「やりなさい」という強制力があるところではやる子にはなるけれど、それがないところでは少しもやる必要を感じない子にさせてしまうこともあります。

もし、その子をそう育てた場合、そのやり方は最大限うまくいったとしても「大人の意思に適応的な子供」を作っているにすぎません。

子供が自分からする必要性を理解したり、自分からしようというその子の心そのものを育てているわけではないからです。

大人がいう「すべき」をする子になっただけで、子供そのものを伸ばしているわけではありません。


このようなことが日本の子育ての場面ではとてもおおく、むしろそれが当たり前となっているように感じます。



「しつけ」を中心として考える子育ての方法論も、やはりこの「すべき」たくさん課していくことで、子供の姿を大人主導で作ろうとする面が顕著なので、やはりなかなか自発的なモチベーション、子供そのものの内面から伸ばすというところまでいたりません。


たくさんの子供たちを育ててきて実感として感じるのは、子供たちが本当に子供らしい輝きや喜びを発して日々を過ごすようになるのは、まぎれもなく1を伸ばしていったときということです。

しかし、日本の多くの子育てが2と3を多用して子育てしているようにみえます。


つづく。
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● COMMENT ●

実際の生活では・・・

1~3全て使ってしまいます(息子2才2か月)

自分でやりたい!と言ってくれる時にはできる限り尊重したり
私がやってしまった前の形に戻して自分でやらせてみます。
結局できずに「おてつだいして?」と言われることも多いです。
この「おてつだいして?」は非常にかわいいです(親バカ・笑)

ですが、時間や自分の気持ちに余裕がなければ2も使ってしまいます。

そして、危険なことには3?脅し?になってしまっているかも?しれませんが、必ず叱るようにしています。
ただ、その場合は「大事で大好きなあなたが痛くなったらママはとても悲しいんだよ」と伝えるようにしてます。

例えば、他の方もたくさんいる駐輪場で走り回ろうとしたり、
他の自転車を触ろうとする、など。
その後に、本当に自分で考えて駐輪場で大人しくしてるのか
私に怒られるのが嫌でしているのか・・・

もっと1が増えると良いのですが・・・
つづき、楽しみにしています(*^_^*)

No title

いつも拝見しております。

私も成長期にさしかかった息子を見るにつけ、同じ事を考えていました。
今の日本が抱える、ニートや引きこもり、生活保護や、過労、うつ病…歪んだモチベーションがひとつの原因になっているのではないでしょうか?

子どもって本当はすごくモチベーションが高いですよね。だからこそイヤイヤする笑
子どものモチベーションを下げたり歪めたりする大人だって、かつてはモチベーション満々の子どもだったはずなんですよね。実は傷付いたモチベーションを癒すべきは大人なの方かもしれないと思いました。

続き、楽しみにしています。

モチベーション

内発的動機づけと外発的動機づけを習った時、うんうんとすごく納得してました。
内発的動機づけの方が、はるかに持続力と質が高いのは明確ですよね。

遊びはもちろんですが、生活のこと、勉強、習い事等等、いろんなことを子どもたちが楽しんでくれれば良いなぁと思ってます。

No title

おとーちゃんさん、こんにちは。
今回の記事もとっても勉強になります。
続きも楽しみにしています。

忙しいところ大変申し訳ないのですが、どうしてもおとーちゃんの意見を伺いたいことがありますので、相談させてください。
以前は双子の噛み付きの件(BがAを噛む)で相談し、娘たちは1歳半になりました。
 
前にも少し触れましたが、BはAのやることを何でも阻止したがり、
Aの持ってるものは何でも取りたいようです。世話好きで、Aの世話も色々したがるのですが、決まって自分が先に好きなほうを取ってから、残りのほうをAに渡します(というより、押し付ける)。

この状況で、私はAを擁護しBを叱ってしまうことが多くなっています。
同じように対応してあげたいし、Bにももっとよい関わりをしていきたいんです。でも、Aのほうばかりによい関わりが偏っている気がして、それがBに伝わって悪循環を生んだりしていないか心配です。
一体どのように接したらいいのでしょう。
普段は私一人で育児しているため2人を離すことはなかなかできませんし(試しに離してみてもお互い寂しそうで一緒にいたがります)、子供同士のことだと思って仲裁しないほうがいいのでしょうか、何かよい方法があれば教えていただきたいです。

噛み付きの件に関しては、Bはほとんど噛んでないようですが、
私のみていないところでAがBを噛んでいるみたいです(夫から聞きました)。

素直な子に育ってくれると嬉しいのですが、このままでは何だか2人ともひねくれてしまいそうで心配です。

Bには機会を見つけてよくくすぐりしています。喜怒哀楽が激しい子で、くすぐりのときはすごくよく笑いいます。
踊ったり変な言葉を発したりして、よくAもBを見て笑っています。

まとまりのない文ですみません。
2人への接し方についてご意見いただけたら有難いです。
よろしくお願いいたいます。

ママスケさん

2にしても3にしても、ときに応じてこれを使うことは、長くそしていろいろなことのある子育ての中ではあると思います。

でもそれを使うにしても、それを理解して使っているのと、無自覚に多用してしまっているのとでは子供に与える影響というのもおのずと違ったものになると僕は思います。

なので、これをしてしまったからよくないと自分の子育てを責めることではなく、まずこういうことがあるというのを知っておくことが大事なのだと思いおますよ。

ありがとうございます

おとーちゃんのサイトを参考にしてから
息子が私の話をよく聞いて、理解してくれるようになりました。
もちろん2才特有のイヤイヤはあります(笑)

昨日も保育士さんに「自分からお手手を出すことは、ほぼなくなりました。きちんとお口で説明してくれていますよ」と、嬉しいお言葉も頂きました。
私の子にしては、少し出来過ぎで怖いくらいです。

おしゃべりが上手な分、同じぐらいのお友達は説明できず泣いたり手を出したりしてしまうのに、自分は口で説明するように母に求められて、少し無理をさせているかなとも思います。先日悔し涙を流しながら「●●くん、押したらいやだよ」と言う姿に胸が締め付けられました。

意識的に2と3を使う機会を少し減らして
母子共に(主に母の)気力が充電してから生活の細かいルールを追加していこうかと思います。

はっくんさん

> 今の日本が抱える、ニートや引きこもり、生活保護や、過労、うつ病…歪んだモチベーションがひとつの原因になっているのではないでしょうか?

こういうことは少なからずあると思います。

親の期待に応えて難関校に入ったはいいけど、燃え尽きてしまって不登校になってしまったり、するようなのは誰にも悪気がないだけに悲劇です。

こういうモチベーションというものについても、子育てする人は知っておくことでそういう事態は避けられるといいのだけど。

森さん

基本的にはできるだけ仲裁しないほうかいいかと思います。

それで噛みつきや遊びが継続できないほどの激しいトラブルとなってしまうのであればまた別ですが、いいほうを選んで残ったものを押し付けたとしても、それで両者とも遊びになるのであったらなにも、それを咎めることはないでしょう。


僕が保育士になって一年目のときに先輩に教わったことでよく覚えているのは、「大人がお奉行様になって、あなたが正しい、あなたはよくない」をしなくていいということでした。

もし、双子のなかでも力関係がはっきりしている場合、そのようなことは起こります。


子供はその力のバランスで自分のポジションというのを、だんだんと決めていきます。


一方が力が強く支配的にしていると見えても、それが必ずしも悪いことではありません。

大きくなってから力のある方がもう一方を守ってあげたり、ひっぱって行ってあげたりという力になることもよくあることです。


一方が負けているからとそちらの肩ばかり持っていたら、そちらは大人への依存が強まってしまいますし、責められる方は自己肯定感が持てません。


どうしても大人が入らなければならないとき以外は、子供同士でしていることをまずは見守ることが大切だと思います。

No title

おとーちゃんさん、お忙しい中、お時間を割いて丁寧なお返事をありがとうございました。
早速実践してみたら、たった数日なのに驚くほど2人に変化が見られました。

いつも取られては私に泣きつくばかりだったAが、私が仲裁しなくなってからは取られないように踏ん張り、逆にBが泣く場面もありました。黙って見ていましたが「やればできるのね」と内心笑えてしまいました。
(他の方にアドバイスされてた「返して」という方法はお互いに教えました。)

それと、私に叱られてグレ気味だったBが、素直に甘えてくれるようになった気がします。私の対応が変わったからだと思います。

いつも干渉ばかりして私も疲れ気味だったので、急に気が楽になり、その分子供たちへも余裕を持って接せられる気がします。
他の方の質問と似てるケースだと思ったので躊躇しましたが、思い切って相談してみてよかったです。的確なアドバイスを本当にありがとうございました。
これからも更新を楽しみにしています。

ママスケさん

成長のなかで子供は、「頑張って」自分を抑えて他者を優先させてあげたり、我慢をしてしまうということがありますが、こういうのは情緒の形成の上にでてきた自発的なものです。

なので、強制されて出てきたり、追い詰められてしている「無理」とは違います。

前者であれば、子供は家庭で甘えを出したりすることで自然とバランスをとっていけるものだと思いますよ。

ありがとうございます(再)

おとーちゃんのブログに出会うまでに、叱ったり言いなりなったり、対応がぶれたり、自分の育児に自信もなく、私が母じゃなければ・・・と負の思考のスパイラルに陥ることもしばしばありました。

いつも背中を押してもらえて、心強いです。
本当にありがとうございます。

旦那の難色を振り切って、クリスマスプレゼントはネフスピールを買いました。(まだ届いていませんが)
一緒に遊ぶのが楽しみで仕方ありません♪

※返信いりません(*^_^*)

No title

おとーちゃん、こんにちは。
いつもためになる記事をありがとうございます。

以前、このページのコメント欄で相談させていただいた森です。
あれから半年が経ち、状況が悪くなってきたような気がするので、お忙しい中恐縮ですが、また相談させてください。

おとーちゃんのアドバイスを受けて、なるべく2人の仲裁はしないようにしてきました。

ですが、最近Bの攻撃がエスカレートしてきて、目に余るものがあります。AがBの意に沿わないと、叩いたり、噛んだりして力ずくでも自分に従わせようとします。BはAのものが何でもほしいようで、Aが譲っても、また次のものを欲しがり暴れます。Aは黙って譲ることが多いですが、私としては何だか釈然としません。ただの意地悪や嫌がらせのように見えます。

おとーちゃんさんがアドバイス下さった

>一方が負けているからとそちらの肩ばかり持っていたら、そちらは大
>人への依存が強まってしまいますし、責められる方は自己肯定感が
>持てません。

というのはとても納得いきますので、なるべくは黙視するようにしていますが、エスカレートしてきた今でも同じ対応でよいでしょうか。

本来なら自分で考えるべきことなのだとは思うのですが、
自分の判断に自信がないもので、再度アドバイスいただけたらと思います。
(実は近親者に注意を受けて堪えているのもあります。Aはいつも耐えてばかりでかわいそうだ。私はBばかりをかわいがり甘やかしすぎてると。私としてはプラスの関わりをすることで改善してくれたらいいと願ってしていることなのですが…。ただ、私のその関わり方では改善してないので、軌道修正が必要な時期ではないかと思っています。)
よろしくお願いいたします。

森さん

>最近Bの攻撃がエスカレートしてきて、目に余るものがあります。

「目に余る」というのは、そのままには看過できないということですよね。
であるならば、そこは大人が止めるのももちろんしていいことです。

目に余るようなときにまで見守っていなくてもいいのです。それは以前の返信で書いたとおりです。

普段の受容などを心がけているのであれば、目に余るような行為を否定したところで子供はそれを消化できるでしょう。

これまで可愛がってきたことに自信をもって毅然と子供に向き合えるといいでしょう。


ただの推測だから間違っているかもしれないけれど、これまでのコメントから感じるに森さんのケースは親が自信をもって関われていないので、イニシアチブを大人が持てずに子供がアウトオブコントロールになっているというタイプのものではないかと思うのです。

なので、もしそういうケースであるならば、「自信をもって毅然と」というのを特に意識するといいかと思われます。


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