2017-10

行政が強くなることへの懸念 - 2013.10.03 Thu

岐阜県可児市での給食コバエ混入事件には大変驚かされました。

もちろん食品の衛生管理上ありえないような事態であり、こういうことが起こるにあたっては普段からそうとうずさんな管理があったのだろうと思います。

ですがやはりそれ以上に問題なのは学校・当局側の姿勢です。







僕はこの事件の概要を聞いたときに、「上が強い」ところなのだなというのを感じました。


可児市というのが、普段から食品に虫が混じったのを食べているような衛生事情の地域だというのならば無理もありませんが、この現在の日本でそんなわけはないと思われます。


であるならば、学校側が下した、「虫を取り除けば問題ない、食べなさい」という判断は異常なことです。


その異常な判断を現場の教職員は鵜呑みにしてしまっています。

おそらくおかしいと思った人達はそこにもたくさんいたはずです。

にもかかわらずおかしいと言えず関係当局の指示に従っています。




行政にもいろいろな体質を持ったところがあります。

市民に対してとても温情的で市民の側に寄り添った立場での様々な対応を行っているところ。逆にとても高圧的で市民の事情など少しも汲んでくれないというようなところもあります。


そういった行政ごとのもつ体質というのは、末端のいろいろなところまで現れてきます。
公立保育園といった本当に行政の末端である組織にまで、そのような影響というのはでてきます。
(そういう点についても以前から記事にしようとは思っていたのですが、かけないまま延び延びになっています。できたらいづれ書きます)


そこで先の事件ですが。
これは現場に対して締めつけが厳しく、当局が力を持ってしまっているタイプの体質なのだと感じたわけです。


こうなってしまうと、組織は硬直化してしまい、さまざまな状況に対してきめ細やかな対応というのはできなくなってしまいます。


学校というのはどちらかというと、閉鎖的になりがちな組織ですから、そのようになってしまったときの弊害というのは大きなものになりやすいのではないかと思われます。


しかし、行政当局というのは締めつけを厳しくする方向に持っていこうとするものです。
つまり統制的になろうという志向を持っているといっていいでしょう。

近年、さまざまなところでそういう傾向が強まっているのを感じます。



先般の大津のいじめ事件の余波は、文科省という中央官庁の直接的な現場への介入の口実を結果的にはもたらし、それが現場の教職員たちの自由な裁量を損なうのではないかと懸念する声も上がっています。


前記事で少し出ましたが、都が区立の保育園に対して「水道水を子供に飲ませなさい」という指導を出すというのもかなり異常なことです。


上水設備など個々の施設によって、老朽化などの事情だってあるはずです。
それを一切斟酌することなく、上意下達の命令で従わせようとするというのはかなり統制的な方へと行政が動いているという傾向が感じられます。

安全上など重要な案件ならばわかりますが、普段何を飲ませるかなどという生活のごくごく末端のことにまで、はるかに上にある組織から指示がくるなどというのはかなり異様なことです。



これにたいして区は、各区の体質に従ってさまざまな対応をとりました。

ある区では、そのような通達など歯牙にもかけず、子供たちの安全を第一にとこれまで通りに煮沸した水分を用意し続けたところもあります。

また、一方で先ほどでてきた「上が強い」タイプの区では、仰せごもっともとすぐに子供に水道水を与え始めたところもあります。




このまえ記事にした「武道・ダンス必修化」だってかなり強権的・統制的な施策であると思います。
武道に関してはそのはるか数十年も前から学校のカリキュラムの中で取り入れているところはありますので、まだ「必修化」という指示がでたところでわからなくはありません。

ですが、「ダンス」に関しては、まったくの馴染みのないところからいきなりの「必修化」です。
おそらく現場の学校には少なくない混乱を引き起こしたことと思われます。

「ダンスというカリキュラムを入れてはどうか」程度の教育要綱の変更ならばわかりますが、いきなりの「必修化」というのはかなり、上部の組織(この場合は文科省)が現場の学校に対して幅を利かせようとしている、つまり統制的になっているということの表れだということになるでしょう。




当局の統制が強くなり現場の意見が重んじられなくなるということは、一部の人間の判断で多くの物事が進まざるを得ないという状態をうみます。


上に立つ人間が非常に優秀で間違った判断をくださないというのならば、それは専制君主政治が能力の高い君主を戴いたときにはもっとも効果的な国家運営となったように、それはたいへんよい状況をうむことでしょう。



しかし、人間は完璧にはなりえません。

今回の可児市の事件をみても、上の判断は明らかに間違っているのです。

その人たちはそれが妥当な対応だとそのときは思ったのでしょうけれども、次の日にはマスコミに叩かれるような事件になってしまっています。

安全弁としての現場の判断がそれなりにでも考慮されていたならば、子供に食べさせてしまうという事態は水際で食い止められたはずです。


今の時代に虫が入っていても食べなさいというような指導を学校でしたら、問題にならないわけがないのです。
しかし、その程度の判断力も持っていない人が組織の上部にいるということになります。


これは統制が強い組織における失敗例・大きな欠点ということが言えます。

このような事例はこういう視点にたって見てみれば、ほかにもたくさんあります。



自分のように末端の現場で仕事をしてきた人間にとっては、政治や行政が統制を厳しくし始めているという事態が恐ろしく感じられます。
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● COMMENT ●

No title

私も今回の事件、写真を見て驚きました。
そしてコバエの数にも!

給食のパンを作っている工場はいったいどういう衛生管理になっているのかを、まず問題にすべきなのに、虫を除いて食べるよう指導だなんてあきれました。

マニュアルに従う以外に意思決定できない大人だらけの現代を象徴する事件ですね。


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