2017-10

子供への期待 - 2013.03.14 Thu

『おもちゃでいっぱいの部屋』の記事の流れで、テレビゲームについてを考えているのだけど、なかなかうまく文章にまとまらないので、もうちょっと寝かせておくことにして、ちょっとあいだにいくつか記事をはさみます。

今回は以前に書き溜めたものがあったので、そちらをUP。



なぜ、いまの家庭は、親は、子供にともすれば大きすぎるほどの期待をかけてしまうのだろう?
思いつくままに考えてみた。

様々な要因があるだろうが、それについての一考察である。

たんなる思いつきの垂れ流しなので、直接子育てにプラスになることでもない。
よほどお時間のある人以外はスルーしてもらったほうがいいかもしれない。






いまの日本では、「給与所得者」が80%を超えているそうだ。

つまり、ほとんどの人が会社員・サラリーマン・勤め人というわけだ。

都市化により戦前からジワジワと増えてきたこの数値は、戦後高度な工業化・商業化によってさらに急速に高まってくる。

それまでは、農業や漁業といった一次産業や、二次産業である製造業などにおいても、家内制手工業やそれの拡張した形の家族が中心として営むような町工場といった形態も多くを占めていた。


いまでも、町工場でありながら高度な技術を持っているところがメディアで紹介されたり、下町に今も残る町工場などとノスタルジーをもって語られたりしている。


僕が生まれ育ったところや、今住んでいる地域はまさにそのようなところであるが、さすがにそのほとんどが廃業してしまっている。

とはいえ、ほんのひと世代前までそれらは普通にあったことなのだ。


僕の子供時代には、普通の一軒家でありながら業務用のミシンがあってワイシャツの縫製をしていたり、プレス機や印刷機の動く音がしていたり、鉄の焼ける匂いとバーナーの火花を散らしている小さな鉄工所などもたくさんあった。





なぜ子供への期待の高まりが、このようなことから語り始めるのか、これからの説明する。


それらのいわゆる「家業」というものは、家族が中心となって営まれてきた。

親子で行ったり、親から子へ受け継がれていくものも多かったはずだ。


そういった、労働の形態が社会のかなりの部分を占めていたはずなのだが、現在では冒頭にあげた数字が示すように、多くの人は勤め人として「家業」などとは無縁なところで働くようになっている。
それがもはや当たり前の社会状況である。


そこでの、親から子への働きかけというのは、当然ながらそういう形に合わせたものとならざるを得ない。


つまり、強く意識している・意識していないは別としても、親は子供にゆくゆくは勤め人として子供を社会に出すことを視野に入れていると言える。

そのことは、まだ何ともわかっていないところへ向けて、子供を0からスタートさせなければならないということになる。

そのためには、学力も必要になるだろうし、それなりの学歴というものもあったほうがよいだろうし、どうせならば経済的に優れた方向や、社会的な地位の高い方へ向かわせたいなどとも考えるかもしれない。


対して、家業を引き継いでいくという社会形態・労働形態においては、子供は0からのスタートではない。

親は子供自身に、学歴などの付加価値をつけさせようとせずとも、親自身の存在・親自身の経験というものがそのまま子供の基盤ともなりえるのだ。

このことは、子供への過剰な要求を課さなくてもよいという余裕を持たせていたことだろう。
そして、それは親自身が子供への「あせり」ということを、今のようには持たせずに済んでいただろう。

持つにしてもそれらの多くは、親自身も把握・予測のつく、いわば手の内にある・実態のある心配というものだったはずだ。


そしてなにしろ、子供自身によりよい将来を持たせようと思うならば、親である自分がさらに努力すること・研鑽することが、そのまま子供のアドバンテージともなったのだから。




しかし、いまは違う。

子供自身に、社会での評価に耐えうるだけの多くのものを、社会に出るまでに持たせなければならないと暗黙のうちに親は感じさせられているのではないだろうか。

そしてそれらの「持たせなけれならない」ものに明確な実態がないので、やたらと親の焦りや不安ばかりが大きくなる。



僕はよく過去のことを引き合いに出して、現代と対比させることをするが、「昔はよかった今は悪い」と言いたいのではない。

否応なしにどっぷり浸かってしまっている自分のいる現代の状況を、過去と比べることやその経緯をみていくことで浮き彫りにし、自分たちのいる今の状況を少しでも客観的に考えていきたいと思っている。


今回述べたようなことは、まあ思いつきに毛が生えた程度のことにすぎないのだが、これが一面の事実であるならば、この構造を知ることは、子供に対する「過剰な要求」をかけてしまう前に、少し冷静にいま置かれている状況を見れるようにしてはくれないだろうか。



ある意味、いまの子供への過剰な要求・期待をかけるのは、現在の社会のありかたのなかで生まれた「勝ち組志向」の産物であると言える。

子供によりよい人生を送らせるために、「少しでもよいもの、たくさんのものを持たせなければ」という一種の強迫観念めいたものが大人を支配している。



幼児に対して異常とも思われるような「頑張り」を要求するカリキュラムの保育園や幼稚園の台頭。
親の要求・期待に押しつぶされて、家庭内暴力やひきこもり、不登校、ニートへとなっていく若者。
医者や弁護士になれという親からの押しつけに反抗して、家に火をつけたり、他者を殺傷したりする事件。


親は子供への期待・要求に対して、あまりにエゴを押し付けていたり、加熱していたりすると、子供はわりと簡単に潰されてしまう。

子供が社会的・経済的に成功することと、子供が幸せになることは、重なり合う部分はあるにしても、決してイコールではない。



アジアの小国であるブータン王国が、GNPやGDPという経済的・物質的な指標に対して、GNH(国民総幸福量 Gross National Happiness)ということを提唱して一躍世界的に有名になった。


子供に対しても、少なくとも小さいうちくらいは、社会的・経済的成功を希求するのではなく、豊かな人間性や心を形成することで、お金や地位や学歴ぬきでの幸せを求める道筋を持たせるのではいけないのだろうかということを、加熱する子供への期待を目の当たりにするたびに感じてしまう。 
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● COMMENT ●

負け組の親を煽ってお金を使わせる教育

子供の早期教育の中身、確かに中身を良く見てみると世間の勝ち組になるためと親を煽るものが多い様な気がします。

例えば幼児への英語教育ですが、英語が使えないため文字通り鎖国の様な仕事をしている親の敗北感を埋めるがためとしか私には思えません。

発音記号をきちんと教えたり英語に触れる絶対量を増やすとか教育内容の改善は必要だと思いますけど、 私は英語は中学からで充分だと思っています。ビジネスのためなら発音だってネイティブばりになんてする必要ないし、通訳のように自在に使いこなせる必要もありません。インド人は英語でビジネスができるイメージがあると思いますが、彼らはしゃべれるけどとても訛っているし、文法もアバウトな人が多いです。でも伝わってるからそれでいいんです。

小さいうちは良い日本語に充分触れ、まず自分の言語で論理を立てる勉強をするべきです。

母国語で充分な論理を立てられない人がリスニングと発音の練習をしてペラペラになっても、仕事の役には立たないと思うんですけどね。

何のためにそれを身に付けるか、充分イメージせずただあせりから早期教育商法に飲み込まれてしまう人が多いのではないでしょうか。

偉そうにしゃべりましたが、今一歳の子供に何を習わせるか悩んでいます(^-^;

おとーちゃんさんは子供さんにいつか習わせたいものがありますか?

No title

とても勉強になりました。
たしかに、親の過剰な期待は、逆に子供の心に負担をかけそうですね。

全くその通りだとおもうんです。勝たないと生き辛そうだから、より良いものを、と思うのは私も自覚がありますね


自信の無さなんだろうな。

お母さん達と話をしても、ブログのコメントを読んでも思うんですけど、みんな認めて欲しいんだよねって。こんなにいい育児をしてますっていうお母さんも、至らなくて…っていうお母さんも、みんなそれぞれを認めて欲しいんだと思います。


大人がそうなら、子どもはもっとそうでしょうね。


子どもも大人も、いつからこんなに認められる事が難しくなったんでしょう。


心が認められないと、満たされなくて、形を追うようになったのかな。形が作られれば、勝ったように、見えるから。


田舎のデグーさん

英語に関して僕もそう思います。

ある大学で英語の講師をしている人が、最近の大学生は文章を書かせたら英語以前に「て、に、を、は」ができていなくて英語を教えるどころでないと嘆いていました。

グローバル化のために外国語が必要ということはでてきますが、本当の意味でグローバル化をするならば自国の文化への理解や他国の文化の尊重なども同時に大切なことだと思います。
ただ、外国語さえできればいいというのは近視眼的な考え方になってしまうでしょう。

まあ、そういったものは大きな商売になっているので、そういう方向への宣伝が広く浸透してしまっているのでしょうね。


子供にさせたい習い事というご質問は、僕はなにかひとつ楽器はある程度、基礎だけでもいいので子供のうちに習得させたいと思います。

このアドバンテージだけは、そうそう大人になってからやろうとしても埋まるものではないですからね。
まれに大人になってから始めてプロになった音楽家・演奏家という人もいますが、ほんとにレアな事例ですよね。

まあ、プロにさせるわけではないですが、子供時代に一度触れておくだけで音楽に関してはそうとうの違いがあると思います。

あと、子供が望むなら絵画もでしょうか。
これも触れておくかそうでないかで、随分と違うもののようです。

それらに対して勉強関係はいつからでも学べることですからね。

運動について

こんにちは。娘が1歳のころからのぞかせていただいています。
こちらのおかげで、すごく助かっています。

娘は現在2歳9カ月です。普段はおもちゃでよく遊べますし、食欲も旺盛で
す。
好き嫌いもなく、最後まで食べてくれるのはすごくすごくうれしいのですが、
あまりの食欲で体重は平均体重を超えて少し太り気味です。

私もインドアであまり運動は好きではありませんが、以前は二人で毎日いつも買い物には歩いて行ったり、散歩に行ったり、公園で遊んだりしていました。
以前は、娘より小さい子が多かったせいもあって、遊び方や運動について何も思っていなかったのですが、最近引っ越してたくさんの子が集まる公園に通うようになって、びっくりしています。
多分娘より大きい子も多いのですが滑り台などの遊具をすいすい登ったり降りたりしています。

娘は2歳くらいのときは、怖がらずに何でも上る時期があったのですが、現在は、怖いといって登らなくなってしまいました。

家での遊びは問題ないのですが、外遊びの仕方について悩んでいます。
食欲が旺盛な子なので、運動もたくさんさせたほうがいいし、体力づくりの面でもどうしたらいいかなと思っています。

向き不向きがあるので、多分遊具なども苦手だと思うのですが、外で遊ぶときは、本人に任せておいたほうがいいのか、こちらが働きかけたほうがいいのか。
娘は大勢の子がいると、じーっと観察して自分が動くのをやめてしまうのです。
今の公園はあまりに子供が多すぎて、じっくり遊具の登り方を練習するような余裕はないようですし、娘もたくさんの子にびっくりして固まっているようです。

また、ジャンプなども苦手なようです。

運動が苦手なのも個性だと思いますが、自分がそれで苦労したし、健康面の上でも何かできないかなと思います。
運動も家の中と同じ「遊べる力」の関係でしょうか。

機会を与えるためや体力づくりのためにスポーツ教室に入れようかなと思いましたが、ふと、これは早期教育の考え方と同じになってしまうのかなと思いました。
できないところをやらせようとするより、苦手は苦手で認めたほうがいいのかなとも思います。

そこでおとーちゃんさんに御意見をおききしたいのですが、運動が苦手な子への働きかけなどがありますか。
むーちゃんは、普段どんな外遊びをしているのか、体力づくりのためには
どんなことをされているのか、教えていただけたらうれしいです。

お忙しいところ、たくさんのコメントもある中、御意見を聞かせていただけたらとてもうれしいです。
よろしくお願いいたします。

音楽

音楽はいいですね。

本人が意識せずとも、いずれ癒しになると思いますもの。

心に残ったメロディを鍵盤で叩いてみたり。

プロにならなくても、一生の財産になりますね。



あやめさん

この時期、2~3歳前後で「怖い」という気持ちが出てくるのは、むしろ自然な成長と考えられます。

1歳のころなどは「怖い」ということを知らず、大人がハラハラするようなことを笑いながらしてしまいますが、成長に伴ってそういうことがわかってくるものですから、それはそれで今の自然な姿でしょう。


これがまた、身体が発達してくるにつれてそれらを乗り越える能力がついてきますので、いま出来ないことも成長が自然とできるようにさせてくれます。
ですので、それを今すぐ大人がどうこうしようと考えなくてもいいかと思われますよ。

なにしろまだ3歳にもなっていないのですからね。



運動が苦手な子への働きかけということについても、やはりまだこの年齢なので焦らなくてもいい段階だと思われます。


スポーツ教室など、そういうのを得意な子がいくぶんにはいいでしょうけれども、「苦手を克服するため」を課していい年齢ではまだないと僕自身は思います。


楽しいこととしてできる範囲で体をつかうことを増やすのはいろいろ考えられると思います。

別に滑り台などが苦手ならそれはそれで、その分お母さんと追いかけっこをしたり、よーいドンとかけっこをしてみたり、やらせられてするのでなく遊びとしてできることからしていけばいいでしょう。

また、歩くところを増やすだけでも、この年齢の身体づくりとしてはそれなりのものです。

散歩をたくさんしたり、いつもは自転車に乗っていってしまう買い物に歩いていくとか。



子供の様子は変わります。

今後幼稚園に通ったりするのであれば、そういうところで体をたくさん動かしたり、もしかするとそういうことが好きな子にさえなるかもしれません。

ですので、焦らず心配しすぎず見ていきましょう。


もし、肥満についての心配があるようでしたら保健所などで栄養相談などもあるかと思いますので、そういう方面の対応もとれます。


そうそう、運動機能に関してまだ心配しなくて良いと先ほど述べましたが、3歳未満の子供はまだ関節部分など体の機能が大人と同じようには発達していないので、高いところからジャンプしたり、激しい運動をさせてはいけないということを僕は教わりましたよ。

だからほんとにそちらの方については、まだ焦る段階ではないと思います。

ありがとうございました

お忙しい中、丁寧にお返事いただいてありがとうございました。
おとーちゃんさんが言われるとおりで、2歳になったころは高いところに一人でたたーっと登ってしまってハラハラさせられていましたが、やっぱり怖い感情が出てきたんでしょうね。

運動=体力づくりと考えてしまって、なんとか運動させなくてはと思ってしまいますが、ほかのことと同じように時期が来ればなんとかなるものなんですね。安心しました。

それから、ジャンプの件は知りませんでした。まだできなくても問題はないんですね。

御相談した後公園に行ってみたら、1日でいろいろなことができるようになっていました。やはり子供の成長はすごいですね。
ただ慎重な性格のためじっくり見極めてから取り組むタイプのようです。滑り台に上がっても上からじーっと下を見てばかりいるのですが、別にこわいのではなくて、観察するのが好きみたいです。
あまり人が多い時は避けてじっくり取り組ませてあげようと思います。

いつもいつもこちらを頼りにしていて、子育ての指針となっています。
本当にありがとうございます。



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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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