2017-10

相談 「叱る子育て」を変えていくには Vol.2  - 2012.11.08 Thu

前回からの続きです。

およそ4歳未満くらいまでの子供のネガティブ行動の多くは、子供の満たされなさからくることがあります。


「満たされなさ」というのは、別に愛情不足とかそういう精神的・抽象的なことではありません。







それは言い換えれば、親からの「良い関わりが自分が欲するだけもらえるのだ」と親子関係において自信を持てているかということです。

親が忙しかったり、子供に関心が低かったり、たくさん関わっていたとしてもそれが制止や禁止ばかり、小言ばかり、というのでは子供はその関係に安心感を見いだせません。

以前書いたような、「子供を甘やかしてはならない」と受容することも避けていたりすれば、そういうことは覿面に出てきます。

または、一生懸命関わっているつもりでも、親の態度の中に「うんざり」とか「いやいや」というのが感じられているとしたら、それもその関係に自信をもてなくすることになります。



子供がそういった状況に置かれると、子供は大人の眼鏡にかなうような好ましい行動をとるのではなく(本当はそうしたいのだろうけれど、その余裕もないので)、大人から見てネガティブな形で出さざるを得なくなります。

このことが乳児期のネガティブ行動の大きな原因のひとつです。

このネガティブ行動を抑えようと、いくら注意や禁止、叱る・怒る、いいきかせるということをしてもあまり改善に向かいません。

それよりもむしろ、その満たされなさは余計にそれらの行動によりつのってしまうので、かえって増えてしまいます。

なので、そのようなネガティブ行動が起こってからの対応をいくら変えたところで、根本的にはかわりません。

それよりも、そのもとの原因である、親子関係にある不安を解消し、それに自信を持てるように子供に関わっていかなければならないのです。


ですから、前回のところで「叱らないこと」を目指すことはないと書きました。

そういったネガティブ行動が出たときに、叱ったりしていても、一方でもとの原因にアプローチすることができていれば、しかり続けるのと叱るのをやめるのとに大した差はないのです。




そのアプローチとは、いつも書いている「先回りした良い関わり」です。
これに関しては別の機会に、そのテーマで一つ記事を書きます。


「先回りした関わり」の代表的なものとしていつもあげるのは「くすぐり」です。

ネガティブ行動がでる前の機嫌のいい時に、親から子へくすぐり遊びををすることで、子供は親から自分へ良い関わりの視線がもらえていることを実感できます。

精神的にも身体的にも、笑い合いながらくすぐりをされることで、はっきりと伝わります。

これにより、子から親への信頼感というものを大きく修復・向上させていくことができます。

これを続けることで、ネガティブ行動の原因であった、親からの良い関わりをもらえる自信のなさが解消されるので、ネガティブ行動そのものが減っていきます。

結果的に親が子供を叱ることは、だんだんと減るはずです。

「くすぐる」ことは、時間も、スキルも、親の性格の適性も、子育ての大きな経験も、遊びの技術もほとんど問いません。

ちょっと意識するだけで誰でもどんな時でもすることができます。

絵本『だっこして』のタコが言うように 「とてもべんりです」


この、普段の関わりの中で「良い関わり」を入れていいくことが、「肯定」のひとつです。

もうひとつ、まさに「肯定」そのものである「全面肯定」というものがあります。

次回それについて述べていきます。




余談ですが、「くすぐり」というのはくすぐったいから笑うのではありません。

変な話、くすぐりそのものは実はそんなにくすぐったくも、面白いものでもないんです。


例えば、自分で自分をくすぐってみても笑うことはあんまりないし、面白くもないですよね。
または嫌いな人に体を触られたとしても、不快感しか感じないですよね。


くすぐりが楽しい・おもしろい・くすぐったいためには、相手(つまりくすぐってくれる人)からの関わりを受け入れること、
そのために自分の心を開くというプロセスが、必ず必要なのです。


これはまさに心がつながるということに他なりません。


それゆえに、たかがくすぐりですが、とても大きな力をもっています。


中にはくすぐっても笑わない子というのもいます。
性格的にそういう子もいますが、人間関係・親子関係そのものに信頼感を形成できていない、もしくは不信感をもってしまっているために、そうなっている子もあります。

このような子はネガティブ行動が、束になって出てきます。

いくつか事例を持っていますので、いつか紹介できるかもしれません。
ちょっと対応が専門的になるので、どちらかというと保育士向けの内容になってしまうかな。
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● COMMENT ●

くすぐり

くすぐりの所。

くすぐりが楽しい・おもしろい・くすぐったいためには、相手(つまりくすぐってくれる人)からの関わりを受け入れること、
そのために自分の心を開くというプロセスが、必ず必要なのです。

ここ、よく実感できます。
近所のお姉ちゃんが下の子供(1歳半前ですが) 可愛いと言って、くすぐったりほっぺを突いて可愛がってくれるのですが、うちの子は人見知りもあり警戒心丸出し(汗)
笑う事をしませんでしたよ。

おとーちゃんの言うくすぐりは本当に大事なのだなと思う一件でした。

No title

はじめまして。
今年で5年目になる現役の保育士です。このブログは前からよく読ませていただいているのですが、コメントを書くのは今回が初めてです。興味深い記事やお話を色々聞けるのでとても勉強になっています。


「叱ることが中心でない関わり」…私も心がけていますが、その難しさを常々実感している毎日です。
今は4歳児クラスの担任をしているのですが、30人近くいるクラスの子一人ひとりが落ち着きがなく、衝動的で日々他児とのトラブルや衝突が絶えません。担任は2人ですが他のクラスにヘルプに入ることも多いため一人で見ることがほとんどであり、こちらもゆとりをもって関われないからか、つい「叱る」ことを選択してしまいます。前の記事にもあったように「叱らないようにしよう」と意識するあまり、余計に出来なくなってしまうこともしばしばです。自分の本来の保育、したいと思う関わりとは違うことをやっていると感じているだけに、思い返しては落ち込んでしまったりしています。


先回りした良い関わりというのは、確かにと思いました。いつも何かが起こった後でその対応に追われているので、その前に子どもと良い関わりを持つということをあまりしていなかった(というよりあまり意識していなかった)ように思えます。
今は行事前で練習などで忙しくストレスや不満もたまってしまいがちな子ども達なので、こういう時こそ大切なことなのかもしれませんね。


今回も良いお話をありがとうございました。
明日からまた頑張ります。

No title

はじめまして。
子供の爪噛み癖について検索するうちにこちらにたどりつきました。

爪を噛むようになったのは、夏頃からです。
噛む爪がなくなると、指の皮をむいているようで、指先がボロボロです。

諸説あるようですが、ストレスが関わってる面もあるようで、
とても気になっています。

子供(年長・女子)は、大人しいタイプです。
積極的なタイプではなく、皆の様子をみてから行動するような慎重派。
お友達から押されただの、叩かれただのという話はしょちゅうで、
先生から「今日は、ここをぶっつけてしまって…引っかかれて…」と
報告される度に落ち込みます。
幼稚園なので「いじめ」という次元ではないでしょうが、
大人しいからか、ターゲットにされやすいのかもしれません。

先生も注意してくださってはいますが、ずっと監視してるわけではないので、
その間に起きてしまうようです。

何よりも、本人がどうして「イヤ」と強く言えないのか、もどかしい日々です。

今まで娘の性格として捉えて、それを何とかしなきゃ!と口出ししてきましたが、
おとーちゃんさんのブログを読ませていただき、
私自身 反省することが多々あり、気づかされました。

もしかしたら、娘の性格というより、私がそのようにさせてしまったのではないか、
とさえ思っています。

「今日は何をしたの?どうだった?」という具合で質問責めにしたり、
お友達との出来事について「どうして嫌、止めてって言えないの!」って
責めてしまったり…
娘は、嫌な出来事を再び私から聞かれて、共感どころか逆に怒られるなんて、
本当に悲しかったと思います。

私に色々言われるのが嫌で、自分からは話してくれない子になって
しまっていたかもしれません。

もし、ストレスの現れ(発散)として、爪噛みがはじまってしまったなら、
爪噛みについても、あまり触れないほうが良いかなと…

衛生的にも良くないでしょうし、何より指の状態が非常に悪いので
本当に止めて欲しいのですが、うるさく注意することよりも
女の子だし、見た目で自分が気になれば「そのうちやめる」くらいの気持ちで
待つほうが良いのかな…と思っています。

徐々に出来ることから。
まずは、園での過ごし方について、あれこれ聞き出すことは止める。
娘から話してくれたことについて、受容の言葉を使う努力を意識してみます。
そして、くすぐり…

これからも、ちょくちょく訪問させていただき、
自分の接し方を振り変える機会にしたいと思っています。
よろしくお願いします。

↑るぅさんへ

・・・ウチの三歳半になる息子も爪かじりがすごかったんです。
・・・が、母子家庭になった今は不思議となくなりました。
本人曰く?手も足の爪も無意識にかじってたようです。
ある日、「ねぇママの爪もかじって~〇〇の爪かわいそうだからママの食べて~」とかじらせたら「かたっ」って・・・美味しくはないって自覚してるようでした。
だから「かじっちゃダメ!」じゃなく「〇〇の爪かわいそうだからママのかじって~」「〇〇爪美味しい?ママもかじらせてぇ~」と言うようにしてるうち
かじらなくなり、爪切ってぇ~と甘えてくれるようになりました♪
と、爪がないと大好きなミカンを剥けないよ。とか、シール貼りするときちょっと爪があると楽なのになぁ~・・などとアノ手コノ手を(苦笑
今でもふてくされたとき指が口にいきます。
そんなときは「あら♪美味しそう~ママも食べたいなぁ~」と言うと意地でも?かまないです。(コノ関わり方が良いか悪いかはわかりません)
元ダンナさんと暮らしていたとき・・・私たちはしょっちゅう息子の前で喧嘩していました・・・。
ストレスだったんだろうなと反省しています。

ふたばさん

アドバイス、ありがとうございます。

うちの子供も無意識っぽいです。
テレビをみてる時とか、ぼーっとしてる時に
指が口の中みたいな…

で、それに気がついた私は「あーっ!また噛んでる!」って
声を掛けてしまっていました。
これじゃ、追いつめてるだけで、何の進展もないんですよね。

先生に「爪に意識がいかないように、何か気をそらせては…?」と
アドバイスいただいたんですが、それって無理がありますよね。
四六時中、一緒に遊んでるわけにいかないので…
むしろ、相談して損した…とさえ思ってしまったわけです。

ふたばさんのアドバイス、よっぽど心に響きました。
あと、夫婦の関係も子供の心の安定には不可欠ですね。
喧嘩じゃなくても、つい主人にキツイ口調になちゃって、
子供が「喧嘩しないで~」って言う時があるんです。
子供は親の一言・口調や表情に恐ろしいくらい敏感なんですね。

子供との関わりだけじゃなく、夫婦間…家族の関わりも考える機会に
なります。
ありがとうございました。

leo2さん

4歳児クラスってとても難しいですよね。

僕も初めて担任したクラスが4歳児28名で、いろいろ悩んだのを覚えています。


自分でできることが増えて大人に依存することから離れていくので、保育する側からすると手のかかる状態になってしまうことも少なくありません。

本当に4歳児クラスをいい意味で保育していくためには、3歳児クラスでどのような保育をしてきたかという見通しをもった対応が大事になってくるのですが、持ち上がりでなければそれもかなわないことなので、なおさら4歳児クラスになってからの対応は難しいです。


実際、30人近くの4歳児をひとりで見なければならない状況というのは、なかなか個々にまで目が行き届く状態ではなくなってしまいます。
ましてや個々に手をかけるというのは、なおさら難しいです。


ですが、じゃあ全体としてまとめていく方向で関われるのかというと、そのような年長でできるような関わりのところまでの発達は行っていない子も多いので、難しくなってしまいます。


そんなときは、個人個人を直接のばしたり、全体としてまとめようとするよりも、できるところから伸ばすという対応が有効だったと思います。


どういうことかといいますと。

一罰百戒の逆をします。

出来る子をきちんと褒めることで、それ以外の子に対しても良い行動のモチベーションとしていくわけです。

そして、そこから生まれてくる子供たちの前向きな行動をちょっとずつでも認めていくことで、やがてクラス全体にそれが行き渡っていきます。

状況にもよりますが、けっこう効果的ですよ。



るぅさん

爪噛み・指しゃぶりなどは単なる癖になってしまっているのでなければ、その多くはなんらかの精神的なものからの無意識の行動です。

るぅさん自身が理解しているように、娘さんの性格的な要素から来ている部分もあるのでしょう。


世間でよく「個性を尊重する」というような言葉が使われていて、その多くが美点や特性を伸ばすことという文脈であるのですが、僕は本当の意味で人の個性を尊重するというのは、その人の欠点すらも認めることだと考えています。

そして欠点というのはほとんどが実はその人の美点にもなるところです。
ただ、それには周りがそこを欠点としか見ていなければ、その人にとってもずっと欠点なままです。


泣き虫な子は優しい心をもっているからだし、自分を主張するのが苦手な子は内的な世界を広くもっているのだし、認めてあげさえすればそこを美点として昇華していくことは難しいことではありません。


娘さんの場合は、今回書いている記事にあるようにその一見欠点に見えるところも含めて「全面肯定」してあげることで、娘さん自身が前にすすめるのではないかとおもいます。



次のコメントにあったように、夫婦間の様子というものも繊細な子供にとっては影響することが大きいこともあります。

もし、直せる部分ならばそこを意識することも必要かもしれません。


また、娘さんとは爪噛み以外の部分で共感したり、認めたり、褒めたりすることで関わっていくといいでしょう。

その自信がいまの様子を超える力になります。


とりあえずまずは、「○○できる姿」「○○しない」を求めるのではなく、「今ある姿を認める」ところから出発することが大事です。


あとはくすぐりなどでもいいし、笑いあったり共感したりを積み重ねていくといいでしょう。


それを続けていても一向に変わらない、悪化していくというのであれば、指しゃぶりなどに専門性の高い小児専門医というのもあります。
そういったところへの相談もできますよ。








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