2017-10

相談 「叩く子供の姿」 Vol.3 - 2012.10.28 Sun

「親を叩く子供の姿 の 大人との関わりからくるもの」について見ていきます。

こちらのほうが成長段階と関係なく起こっていることですから、より大人の関わりに原因が多くあります。
ただ、前回でみたような大人のはっきりしない関わり方による混乱などは、発達を契機として発生しなくとも、こちらのケースである通常の大人の関わりからでも起こります。







まず、あげられるのは常習的で強い過保護・過干渉です。

これによるストレス、自立心の阻害、したいことの制限などはときに大きなものになります。


また、『関わりの方向』で書いたような、受容の不足などからくるネガティブ行動の一種としてこの「大人に対する叩く」がでることもあるでしょう。

上記のふたつは過去記事に詳しいところがありますので、今回は細々書きません。



もうひとつ顕著なのが、自己肯定感の欠如からくるものです。

子供が本当に心から望んでいるのは、親から「全面肯定」してもらうことです。

なにかができたから認めてもらうのではなく(それはそれで大切ですが)、なにもなくても認めて欲しい、むしろネガティブな姿であってすら親に自分そのものを認めて欲しいという「全面肯定」の強い強い欲求をもっています。

子供が大人の気をひくためにわざと、大人を怒らせるようなことをしたり、それで試そうとするのにもこういった心の動きがあるのでしょう。

さまざまな要因からときにこの自己肯定感の欠如が起こることがあります。

そういうときに、自分をもっと認めて欲しいというサインとして親を叩くという行動がでる場合があります。

また、逆に自分を攻撃するという「自傷行為」としてでることがあります。

自傷行為というと思春期や青年期にある人が起こすリストカットなどを思い浮かべるかもしれませんが、子供は自分で自分を叩いたり、壁などにぶつかったり、自分を否定する発言をしたりすることがあります。

こういった自己肯定感の欠如のサインだとしたら、当然ながらそうさせてしまっている原因を取りのぞていいくことが必要でしょう。


成長の過程でさまざまな姿をみせることがありますが、子供は柔軟な心をもっています。

焦らず気がついたこと、出来ることから大人が対応していくことで、このような姿は一時的なもので終わります。

どうしても子供の姿が手に負えないと大人が感じると、自分を責める方向へと思考を転換してしまうということがありがちです。

でも、大人が自分を責めたところで子供の姿はよくなりませんし、むしろ大人がネガティブになることで、子供の姿はさらに難しくなります。


「大人を叩く」、「自分を叩く」といった行動がでたとき、大人はその行動に対してアプローチしようとします。
その行為をなくそうと考え、直接そこへの対処法を模索してしまうのですが、だいたいはそれを一生懸命したところであまりうまくいきません。

遠回りのようでも、Vol.1ででてきた「先回りした関わり」「子供への全面肯定」「受容」「共感」「親自身の自己肯定」「笑顔」これらを意識して関わっていくことからスタートするといいかと思います。
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● COMMENT ●

No title

この叩く姿の連載がはじまってから、しばらくした頃に、1歳5カ月になる娘が親の私や、お友達を叩く姿がみられるようになりました。
最初は叩く子どもの姿がただただ、ショックでした。
そこから1週間くらいの間、悪い連鎖に入っていってしまったように思います。
もともと、言葉も理解も本当に早く、だめなことととわかっているだろうに叩く姿がこちらとしても見ていて辛く期待してしまっていたのだと思います。
物事がうまくできないときや思い通りにならないとき、おもちゃをとられそうになったとき(これは適切な言葉を伝えるようにしています)いややと言ってなおかつ叩きにいく姿を見て、子どもも衝動的に叩いてしまっているのと同時に、こころからあふれんばかりに思いを伝えたい、わかってもらいたいともがいている姿にも見えました。

これではいけないと、気持ちを受け止めた上でだめなことを伝えてみたり、いろんな方法でアプローチするも、どんどん叩く回数が増えるような気がしました。
しんどいなあと、私も娘もつらかったと思います。

そんなことが1週間くらい続いた頃に、ああ、今こういう姿なんだな、あせらずゆっくり一緒に進んでいけたらいいなあ、つらそうにしている姿をなんとかやわらげてあげたいなあとふと思えました。
そうすると、あれよあれよいろんな仕草や言葉が本当にかわいく、また娘もわかってもらえていることが嬉しそうに毎日にこにこ過ごしてくれるようになりました。

まだ叩いてしまうこともありますが、ぐんと変わったように思います。でもそれは子どもではなく、こちらの関わり方の変化に子どもが気づいてくれたのですね。
おとーちゃんがいつもいってくださるように、子どもの姿が答えだなあと本当に実感しています。ありのままを受け止めてもらえていると実感できることが子どもも何より嬉しいのだと見ていてわかります。

この子の親であることが本当に嬉しいです。
おとーちゃん、ありがとうございます。お礼がお伝えしたくて長文失礼いたしました。

以前に紹介されていた、絵本「どうぞのいす」が最近のお気に入りになりました。「いしゅ、いしゅ」と言いながら本を持ってきてくれます。

倍返しの息子

いつも勉強させていただいてます。ありがとうございます!

相談させてください。
3歳半の息子のことですが、友達に叩かれた、おもちゃを取られた、どつかれたと理由があってですが、それに対する「怒り」がハンパないのです。
怒り狂って数倍になって返します。最初は私もちょっと様子を見ているものの、途中で止めに入らないと相手の子が怪我しそうなくらいなので、止めに入ります。そうすると、その矛先が私になり、私に殴る、蹴るです。その時大体泣いており感情のコントロールが出来ない感じで落ち着くまで泣いて叩きます。

また他の子同士が争っている中に入って、悪い方(息子が感じる悪い方)を叩いたりします。

言葉も話せるので「やめてって言えばいいんだよ」とか「○○は関係ないんだから叩かないよ」と言ったりするのですが、「やだ!叩く」と言ってきます。
また、落ち着いた時に「○○が叩いてると、ママかなしくなるよ」と言ってみたりします。

正直、私も怒りやすい方なので、手をあげたこともあります。そのせいもあるのかと思うと手をあげたことを後悔してます。
これからどのように対応していけばいいのかわからなくなり相談させていただきました。




ひふみさん

>この子の親であることが本当に嬉しいです。

僕は保育士という仕事をしてきて、綺麗事ではない場面もたくさん見てきました。
自分勝手な考えで虐待したり放任したりする親や、自分の子供を少しも可愛いと思わない人、子供に意地悪をして憂さ晴らしをする人など。

ひふみさんのように思えるということは、本当に本当に素晴らしいことだと思います。
どうかその気持ちをお子さんにたくさん伝えてあげてください。

こなゆきさん

コメント拝見しました。

かなり個別的な問題になるので、的確なことは言えません。そう思って参考程度に受け止めてください。


このような姿は、さまざまな要因から起こることがあります。

大きなところでは、まず生まれ持っての性格的なもの。よく癇癪持ちなどと言われるような、その人固有の性質である場合。
または、発達上になんらかの問題があって、それが結果的に対人関係上のそのような問題を出現させている場合などもあります。

これらの要因から来ている場合、字のやりとりだけでは僕にはどうにも判断のしようがないので、僕からは何も言えません。

僕の立場から言えるのは、これまでの親子の関わり方・育て方からこのような姿が形成されている場合についての一般的な意見の範囲です。


そういった「育ち」からこのような姿が出るようになってしまった子というのはしばしばいます。

「叩く」という問題がクローズアップされていますが、根本的には「対人関係における余裕のなさ」ということに集約されると思われます。


対人関係において、他者の正しい悪いという問題に対して、容赦なく責める態度をとるようになってしまった子は、その子の育ちの過程で大人から同様の善悪についてや行動に対して呵責のないしつけ・叱られ方ということをされてきていることが多いようです。


また、この年齢に先立つ「成長期」の頃に、それ特有の自己主張を強く抑えつけられるようにされてきたことから、これに近いような姿がでてきたケースもありました。



もうひとつ要素になっているのは、「感情のコントロールの幼さ」という部分です。

まだ3歳半ですから、ことさらこのような姿が「幼い」というわけでもありませんが、わかりやすく「幼い」という言葉を使います。


こういった感情コントロールの未熟さは、しばしば過保護や過干渉・甘やかし・いいなりといった大人の姿から、そういう状態が引き起こされてしまうということがあります。

とりあえず、いまあげたことをチェックしてみてください。


そういうのに思い当たるところがあるならば、それらの点(子供を変えようとするのでなく、大人の関わり方の部分)を徐々にでも改善していくといいでしょう。



あとは、僕がブログで書いているような「基礎の部分」。
受容や肯定、気持ちが満たされていること、甘えを出せること などなど

もチェックしてみることもおすすめします。


なぜなら、こういった部分がクリアされていれば、他者への強い攻撃性や爆発的な感情の表出ということはなりにくくなるからです。


また、この記事のあとに連載している(現在も途中ですが)「弱い大人」の問題も考えてみてください。


僕からはこなゆきさんが、弱い大人としての対応をしているのか強い大人としての対応になってしまっているのか、もしくはそれが一貫していないのかなどわかりません。


怒りやすいとはいえ、感情的に怒るばかりで他の部分では子供の泣きやダダに負けてしまう「弱い大人」としての振る舞いになってしまう人もいるからです。

もし、そういう部分でも気になることがあるならば、「弱い大人」にも「強い大人」にもかたよらず、バランスのとれたところで一貫性を持って子供に対応していく必要があるでしょう。


例えば、

>相手の子が怪我しそうなくらいなので、止めに入ります。そうすると、その矛先が私になり、私に殴る、蹴るです。その時大体泣いており感情のコントロールが出来ない感じで落ち着くまで泣いて叩きます。


こういうときならば、他児を叩くことを止めたのならば、母親を叩くこともしていいことなわけがありません。
叩かれ、蹴られていても大人が毅然とした態度を示さないのならば、結果的にそういった行動が容認されたということになってしまいます。

怒るのならばそういったことで、決して他者も自分も母親も叩いてはいけないということを毅然として、大人の本気を持ってとことん伝えていいと思います。

それとはまた別の時に受容をすればいいのです。


上であげたようなところに、特に思い当たる点がなければもともとの性格的な部分なのかもしれません。

どちらにしても、今後自己の感情をコントロールする力というのは、経験や成長と共に伸びていく部分です。

そういった点も踏まえてあせらず対応していくべきかもしれません。

個別性の強い問題なので、もし言っていることが当てはまらないようでしたらスルーしてください。



原因がなんであれ無駄にはならないので、受容や「先回りした関わり」や「肯定」の関わりを意識してしていくといいと思いますよ。

ありがとうございます

お忙しいのに返信ありがとうございます。
言葉足らずなのに、対応してくださり感謝しています。

息子は、今年の春頃はお友達とおもちゃの取り合いばかりだったのが、夏を過ぎたあたりから譲り合うようになり「大人になったな」と思っていた9月ごろからなんかおかしくなりました。
今回相談させていただいたようなことやトイレができなくなったり(今もできません)・・・。トイレができていたのができなくなり、私もさらにイライラしてたのかもしれません。
もしかしたら9月ごろから幼稚園の見学などに行ったり幼稚園の話題が出てきて息子なりに不安があるのかなとも思います。息子から「ママも幼稚園行くの?」と聞かれ
「行かないよ。○○とお友達でバス乗って行くんだよ。」というと、
「幼稚園行かない」と今から言っています。今は「そっか~」で流していますが。

おとーちゃんさんのブログのおかげで過保護や過干渉や甘やかし、もしくは厳しいしつけ、抑えつけるやり方などはしてきていないつもりです。

息子は小さい頃から甘えん坊で「ママ、抱っこ」ちゃんで、たまにうんざりしてしまうんですが、おとーちゃんさんのブログを見て「甘えてくる」って大事なんだとわかり、甘えてきた時は甘えさせるようにしています。

ただひとつ自分に自信がないのは、(私が)「怒りやすい」ということです。
プチッと切れるのがダンナより早い。それを思うと性格的なのか・・・と思ってしまいます・・・。

おとーちゃんさんのコメント、何回も何回も読み直しました。
いろいろあーじゃないか、こーじゃないかと考えましたが、
おとーちゃんさんが最後に言ってる通り、今までどおり受容や肯定、先回りした関わりを意識していきたいと思います。

お忙しいのに、長文でのご回答ありがとうございました。
これからも色々な事、教えてください。


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