2017-10

「しつけ」はどこまでいっても子供が「客体」である - 2012.10.19 Fri

すでに何度か述べているが、僕は「しつけ」で子育てを語っていこうとは考えない。

これからの時代、「しつけ」で子育てすることがプラスになるとは思わないからだ。






「しつけ」と一口に言ってもいろいろな考え方があるだろうから、すべてがよくないというものでもないのかもしれない。

でも、「しつけ」という概念のもつ構造というのは、どんなときも「大人」がしつける側(主体)であり、子供がしつけられる側(客体)なのだ。


つまり、「しつけ」という考え方では、いつまでたっても大人中心に子供を捉えていくということである。

そこでは、子供そのものがどうあるのか、という視点よりも、大人から見てその子供がどうあるのかということが重要になっていくのだ。


いまの子育てする親の世代にも、その親の世代から伝えられて強く「子育てはしつけをするもの」と刷り込まれている。

しつけようとするあまり、子供の出すサインに気づかなかったり、その行っている「しつけ」ゆえにネガティブな姿を増大させていたり、子育てがわからなくなって迷走しているケースもたくさんある。



子育ての主役はだれか?

もちろん育っている当人である子供だ。


僕はこれまでの日本の子育ての主要な柱であった「しつけ」から脱却することで、子育ての主役を子供そのものに取り返したいと思う。


「親から見た子供」ではなく、「子供そのもの」の育ちをはかっていくことが、現代の子育てをよくするためのカギではないかと感じる。



子育てで「しつけ」をしようとするとき、大人がする側(主体)で子供がされる側(客体)であると、どうしても上下や支配・被支配という構造になってしまう。

子供を従属物的にあつかう根拠もここに出来てしまう。

「しつけるためには大人はえらく・強くなければならない」「子供になめられるな」「大人の威厳を」「子供ににらみをきかせる」「子供を甘やかすな」「子供がわかるまで叱れ」「言う事を聞かないのならば叩いてしつけろ」




大人と子供の関係は、一種社会の縮図である。


戦前・戦中の日本にあったような、上から下への命令、支配・被支配というような社会状況があった時代では、子供にもそういう方向で関わっていくのも当然であったろう。

だが、いまはそのような時代ではなくなっている。

しかし、戦前・戦中派の親に育てられた、現在の子供の祖父母の世代にはまだまだそういった価値観が強いだろう。

そしてその祖父母の子である現在の親世代も、同様の価値観が少なからず伝わっている。




子供の「個性」や「主体性」というものが求められるようになってから、もうずいぶん経つ。

しかし、なぜかそれらの言葉は建前として置かれているだけで、ちっとも子供のものとはなってきてはいない。


「しつけ」で子育てを考えている以上、子供はどこまでいってもされる側(客体)としてしか存在できないので、本当の意味で「個性」や「主体性」が子供に備わる方向に育てることは難しいだろう。




「自分はそれで育てられた、それできちんと育ったのだから、自分の子供にもそうする」という人は多い。

しかし、社会・家族の置かれた状況は昔と同じではない。

いまでは、家庭のあり方に限らず、もう5年前のことですら同じではなくなっているような、変化の速い時代である。

「むかしはよかった」というような郷愁論で通用することは、そう多くないのではなかろうか。



昔の方が、祖父母が同居している家族が多かったり、子供同士のコミュニティというものがしっかりとあったり、地域が家庭にコミットしていたりと、今よりかは子供もガス抜き出来る場所が多かった。

しかし、今の親が子供だった時代ですら、もうそんなにはうまくいっていなかったのだ。

これまでのコメントにも多くの人が、厳しくしつけられることで、怒りを溜め込んだり、それと葛藤しながら大人になるまで悩みながら成長してきた経験を話してくれたとおりである。


そうであるのに、今この時代でも同様に子供を「しつけていくこと」だけで健全に子供が育つだろうか。

僕はもう限界を過ぎているだろうと感じる。


昔のやり方、保守的な考えというのはいつでも根強いものだから、このようなことを言っても「何を甘いことを言っているのだ」という人は多いかもしれないが。




うちの子供達と外出すると、食事に行ったり、買い物に行ったり、電車やバスにのったり、病院で待っていたり、様々なところで年配の人たちに、上の子も下の子も「おたくのお子さんはよくしつけられていますね」と言われる。
そのあと「うちの孫は言う事を聞かなくてもう大変なんです」と愚痴をこぼされるのがよくあるパターン。


若い世代の人だと「しつけ」と言わず「小さいのにしっかりしていますね」というような言い方をされることもある。


年配の人にとっては、子供の適応的な姿は「しつけられている」なのだ。

でも、僕も妻もいわゆる一般の人々が考えるような関わり方である「しつけ」行為をしたことはない。
不思議なものである。


しつけを目指している家庭が「しつけられていない」状況になっており、我が家はしつけという行為をしないのに、人から見たら「しつけられている」になっている。

しつけを目指しているのに「しつけ」が達成されていないのならば、なにかそこには機能不全があるといえるのではないか。
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● COMMENT ●

しつけないコト

今回の記事も「しつけ」をしっかりと考察されていてほんとにスッキリしました。
「しつけ」という言葉でなく「教える」で十分すぎるような気がします。
「よくしつけられている」=公共の場所での振る舞い、ルール等を人生の先輩である親が子供に分かるように伝えたり連想る力を伸ばしていることで。
ペットや子供には「しつけ」を使い、先輩後輩では使わないというところに、しつけという言葉の性質を感じます。
以前例えとしておとーちゃんが上司が部下の仕事にかける言葉を出されていましたが、母の目を持ち仕事をしていると、大人同士でも未だにしつけ系上司には、嫌な思いをさせられますね。「自分が上司にそうされてきたから。」そんなの言い訳にならないと内心思っている日々。(ため息)

子育ても同じで。親も勉強することが大事だと思います。私も、私自身には手はあげられなかったものの、兄弟への暴力暴言を毎日目にし、条件付きの愛情に脅えながら育ちました。大きくなって私が苦しんだり弱っているときにも親には近づきたくなかったし、一生信頼出来ません。いまだにがんばっていなければ不安を感じる始末…。
そんな育ちをしているから、子育てについて真剣に考え、おとーちゃんのブログで勉強しているんですよ!
おかげさまで息子は無条件の愛を感じてすくすくと育っています。
息子が自分で決めた自分の道を歩んでくれたら、それをそっと見守れたら、間違った子育てを連鎖させなければ、私の根深い古傷も癒えるのかな~って、思っています。
長々すみません。
これからもよろしくお願いします。

ようやく

今日、初めて子供が自分で歯磨きをする態勢になるまで待ちました。
なだめるでもなく、すかすでもなく、怒るでもなく、何の駆け引きもなしに、力ずくもやめて、彼が自分から来るのを待ちました。

「歯磨きをしないと、おっぱいが飲めないよ。歯を虫歯さんにたべられちゃうから、磨こうね。」とだけ伝えて、ただただ待ちました。

大泣きに泣いて、叩いて、ひっかいて、荒れ狂っている息子を見ていたら、今まで私に力ずくでされてきたことがどれ程嫌だったか、押さえつけられて歯を磨かれた恐怖が、何故かすっと心に入ってきました。

今まで、どれだけ自分勝手に彼を押さえつけてきたんだろう。どれだけ彼を振り回して、心を傷つけ、恐怖を植えつけたのか。自分のしてきたことを激しく後悔していました。

一時間ほど泣いた彼に、ようやく私の言葉が届きそうで、「今まで怖かったんだね。嫌だったんだね。」と聞くと、「うん」と答えて、また泣きました。

その後、「痛かったら止める」と約束した歯磨きで、磨いている途中に疲れて眠ってしまった彼。
私は、ようやく、ただ彼の目線に立ち、彼の心を汲み取ることが何より大切なんだと気がつきました。

母が幸せなことが子供も幸せ。言っても分からないから力ずくと、時には言い聞かせているつもりで、実は自分のペースに引き込んでいた私です。

まさに戦後世代の親に、しっかりと「しつけ」られてきた私には、試行錯誤の毎日ですが、おとーちゃんの教えを頼りに、彼に寄り添っていきます。
いつも、ありがとうございます。

同じ内容

こんにちは。
今日、たまたま本屋さんで
『尾木ママの「叱らない」子育て論』というタイトルの本が目に入ったので、軽く見てみると、おとーちゃんがブログで書かれていることと同じような内容でビックリしました。

「どうしたの?」と聞いてみるとか、「早くしなさい」「ダメ」等言わない(ましてや叩くなんて論外)とか…。

ただ、本の内容は読みやすさ重視でか深くなかったので、おとーちゃんのブログで深い知識を得てしまっている分、必要性を感じず購入には至りませんでした(苦笑)

なんだか、おトーちゃんのブログと似てたので、思わず、コメントしちゃいました。

No title

おとーちゃん様、お忙しい所大変申し訳ないのですが、アドバイス
を頂きたく、コメントさせて頂きました。

歯磨きについてなのですが、娘は一歳になったばかりで、既に歯が八本生えています。
寝かしつけは母乳で、昼寝前と夜間におっぱいを飲んでいます。
毎日押さえつけて、泣きわめく娘の口に無理矢理ガーゼで拭いたり歯磨ブラシを入れています。
虫歯にならないようにケアするのが一番だと思い、半年程毎日続けていました。
でも、上のharuhiさんの書かれていたコメントを読んで、娘に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
このまま続けていていいのだろうかと、大変不安です。
でも今日も、夜にはまた歯磨きが待っています。

もう、なるべく押さえつけてはしたくありません。
気長に待つ事がいいのかもしれませんが、まだコミュニケーションがうまく取れず、待っていても、永遠に来てくれない気がします。
そんな事はないのでしょうか?
娘は、歯固めも必要ないぐらい、おもちゃもほとんど口に入れません。つかみ食べもまだでませんし、歯ブラシを自分で持ってもぐもぐなんて事はしてくれません。
娘が生まれた頃からこちらで勉強させてもらっているので、普段は否定語はなるべく使わず、くすぐったりと、とても楽しく過ごしています。ただ、否定しないを心がけている為か、オムツかえや歯磨きといった、娘が嫌がる事をするときは、否定しないかわりに気づくと無言で黙々と、となってしまっているので、声掛けを心がけているところです。

おとーちゃん様、歯磨きは、どのようにされていましたか?

食事同様毎日の事なので、良くない経験を積み重ねているのだろうと感じ、どうしていけばいいのかとても不安です。
ブログの内容とはずれてしまいましたが、お時間のある時に、アドバイス頂けたらありがたいです。
よろしくお願いします。

追記ですが、、、

先ほど相談させていただいている、とよとです。

普段の状況を追記です。
歯磨きを私も一緒に目の前でして見せたり、ぬいぐるみを磨いて見せたりしています。
無理矢理歯磨いた後は、毎回必ずだっこして、歯磨きさせてくれてありがとう、よくがんばったね、明日も頑張ろうね、などなど、たくさん声をかけています。
これで、フォローができていればいいのですが、、、。

過去記事もコメントも全て読んでいます。
食事の事で息詰まった時には、別の方のコメントのやり取りを自分達に当てはめて乗り越えました。
歯磨きについては、あまり述べられていないように記憶しております。どこかで書かれていたらすいません。
オススメの検索キーワードなどでも結構です。
よろしくお願い致します。


友里さん

>息子が自分で決めた自分の道を歩んでくれたら、それをそっと見守れたら、間違った子育てを連鎖させなければ、私の根深い古傷も癒えるのかな~って、思っています。


このことは実は子育ての隠れたテーマかなと常々思っています。


「自分の子供を育てることで、自分の育ちを乗り越える」


多くの人がわりと自分の育ちに疑問を感じたままきています。
僕自身もそうですし、子育てについて人と話していると端々に自分の育ちについてのことが出てきます。

なかには、自分の育ちに納得していなくとも、結局子供に同じようにしてしまう人もいるし、そこを乗り越えようと模索している人、うまく乗り越えることができて自分の子育てを通して自分自身を浄化させているというような人もいます。

子育てで親も子供も幸せになれるならそれが一番なんだけどね。


でも、上司の話で出ていたように、「自分がされたから人にもする」という考え方が日本人は大好きみたいなんだよね。

みあさん

僕自身はあんまり流行りものには手を出さない人なので、読んだことないのですがどうもそうらしいですね。

でも、似たようなことを言っている人は結構たくさんいるんですよ。

本をだしているような著名なひとから、保育や児童関係の大学の先生や、講演などを中心に活動している人など。
また、あまり主流にならなかっただけで、ずいぶん昔からこういうことは言われてしますしね。

でも、言っている人はたくさんいても、実際の子育てでそれをしてみるのはなかなかに難しいみたいで、あんまり浸透していかないようです。

とよとさん

>娘に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

僕は子供に申し訳ないとは思いませんよ。

子供に意地悪をしようとしてしているのではありませんし、この記事にあるように大人の一方的な思い込みで子供になにかをしているわけでもありません。

それが健康のために必要だから、大人は子供のためをおもって一生懸命しているのでしょう。

それを子供が泣いたり嫌がったりしたからといって、自分を責めることはありません。


対応の方向性としては二つあります。


必要なことなのだと割り切って大人が自信を持って毅然としてやってしまう。
嫌がってたとしても、できたらそこを認めていく。

このとき、大人がおっかなびっくりしていたら、子供もいつまでたっても嫌がり続けてしまいます。
自信を持って笑顔でやってしまうことです。


もう一方は、「あーそうなんだ」と現状を認め、やってはみるけど無理強いはしない。
嫌なら「そういうこともあるね」と認めていく。
「じゃあ、しっかりブクブクをしよう」とできることからやっていく。

時間はかかってしまうけど、これでもいずれできるようになるのは変わりません。


子育ては絶対的な正解というものもないけど、決定的な失敗というものもないので、合うやり方を模索していけばいいと思いますよ。


ちなみにうちは、嫌がってもやってしまいました。
その点は子供と関わってきた豊富な経験があるので、多少泣いたりしても気持ちに余裕を持って接することができますので、子供も次第に嫌がらなくなります。

いまでは毎日自分でやって仕上げは大人にしてもらうことも、関わりのひとつとして習慣になっていますよ。



アドバイスありがとうございました!

お礼が遅くなりましたが、アドバイスありがとうございました。

無理強いすること全てが悪、ではないのですね。
そうですよね。当たり前の事ですが、自分自身の話になると見えなくなってしまっていました。

これまで、色々な面で泣かさないように、泣かれないようにと気を使っていましたが、これからは笑顔で大きく構えて、していきたいと思います。

まだまだかけ出しの一年生ですので、これから私達に合うやり方を探して、仲良し親娘を目指したいと思います!

>ちなみにうちは、嫌がってもやってしまいました。

おとーちゃん一家は、非の打ち所がないよう思ってしまいますが、嫌がっていた時期もあるのですね。
なんだか安心してしまいました。

歯磨きも、お口拭くのも、オムツ変えるのも、大っ嫌いな娘ですが、大きくなった時、笑い話にできるように、これからも頑張ります!


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