2017-10

自主性と集団と - 2012.09.09 Sun

これまでの記事の中で、「教育が子供を集団に適応させていく・型にはめていくことを行ってきた。そしてそれはもう変えるべき時期に来ているのではないか」ということを書いてきました。

しかし、このことは学校教育ばかりではありません。
なんどもこのブログの中ででてきたことですが、日本人の子育て観そのものが、「あるべき理想像を設定して、そこに子供を上手く当てはめることが、良い子育て」としてきました。

そしてその「あるべき姿」に当てはめるためならば、その方法・手段は問わないという様相にいつの間にかなってしまい、その姿にするための行為=「しつけ」や「子育て」のために、子供を叱ることや怒ること一辺倒で言う事を聞かせたり、ごまかしたり、物で釣ったり、脅したり、という子供を一個の個人として尊重しない方法が当たり前のものとして取られてきてしまいました。








かつての社会ではそれでもやってこれました。

家族が大きかったり、地域とのつながりがあったり、人と関わることが今以上に多かったので、そういった抑圧があってもどこかでガス抜きができていたりしたからです。

しかし、今現在ではそういった抑圧の多い子育てはとても難しくなっています。
それでも、いまだにそういった子育てが一般的であり、そういうことをそのまましている人は多いです。
それゆえに子供・子育てにまつわる問題が多く、大きくなっています。

また、社会の変化・親の世代の価値観の変化ということもあります。
昔はそれでうまくいったから、今もそれでうまくいくとは限りません。

子育てにおいて祖父母のサポートはとても助けになることも多いですが、しばしばその世代のやり方ではうまくいかなくなっていることが増えているのも事実です。

一例をあげれば、
両親とも共働きで大人が働くのと同じ時間だけ保育園に預けられていながら、「甘やかしてはいけない」と祖父母にきつく言われたゆえに、「受容」まで取り上げられてしまって荒れる子供もいます。
そういった「しつけがたりない」「甘やかしてはいけない」と迫られることで、子育てに悩んでいる人からの相談もたくさん受けてきました。

たしかにスポイルという意味での甘やかしでは子供はまっすぐ育てません。

昔のように家にいるときはたくさんの大人の手があって、親に叱られたり嫌なことがあっても、お爺ちゃんおばあちゃんがよしよしと受け止めてくれる家族というのは少なくなっています。

そのなかでは「甘やかしすぎない」というのが、子育てにおける大きな課題の一つだったのかもしれません。

でもいまは世の中の状況が変わっています。
家に帰っても、お父さんは朝早くから夜遅くまで仕事で家におらず、お母さんもフルタイムの仕事で忙しく、その上家事をして子供の相手をできないどころか、視界において笑いかけることすら困難な状況で子供は過ごしていることもあります。

保育園にいるときも、昔のようにのんびりした子供たちが多いという状況ではなくなっています。
多くの子供が上のような、時間や関わりに余裕のない家庭でどことなく満たされないものを抱えたまま、情緒が安定せずイライラしたり、些細なことでも泣いて大人からの受容を求めたりするばかりという子が周り中にいるということもあります。

さらにその上、許容量をこえるくらいの習い事や、勉強をさせられてもっと余裕のない子もいます。

それでも、多くの人に固定観念となった、集団・協調・従順というような子育て感が、子供を「あるべき姿」に育て上げることを要求します。

それでうまくいくケースもたくさんあるかもしれませんが、それでうまくいかない子供がたくさんいることも事実です。

ニートや引きこもり、不登校。
集団に協調することがつらくてたまらない子供たちがたくさんいます。

「彼らが不適応なだけだ」で済む時代ではもはやないでしょう。
そのことは多くの人がわかっているのだけど、それでも固定観念になっている「規範への適合」を結局は望んでしまい、なかなかそれらの問題が解決につながりません。

自主性を伸ばしたり、個性を尊重したからといって、協調したり集団に入ってうまくいかないなどいうことはありません。
それらは相反することではないからです。

ただ、誰かが決まりきった形を押し付けたり、型にはめるようにはいかないかもしれません。
自主性・主体性をもってある集団を形成したら、それらは不変のものではないからです。
状況の変化や、そこにいる人たちのあり方によって、絶えずよりよい形を模索していくことでしょう。
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● COMMENT ●

No title


いつも興味深い記事をありがとうございます。

今日はずっと聞きたかった子供への対処法について
お忙しいとは思いますが、質問させて下さい。

おとうちゃんのブログを参考に、昔に比べ長男との
関係はだいぶいいのではと思っています。

ただ、最近、宿題をどのタイミングでするかで、
毎日私がイライラして喧嘩になり、折角の関係が下降ぎみです(^^;;

小1の最初の頃は、うわ!もうやったの(^○^)!スゴイ!
と褒めおだて、息子も嬉しくなって、自発的にある程度の時間までに自分で終わらす生活でした。

が、確か、私が 宿題まだしてないのか?と、口を出しはじめた辺りから、宿題をなかなかしなくなったように思います。

友達は帰ってすぐ派。と、ゲームの前に派。が大半ですが、息子は、「かえってすぐだとへたばってるし、ゲームなど遊びが気になって集中できないから。」と、夕方5時から宿題をすると最初自分で決めました。ある程度の期間はきちんと守っていい感じでした。

ただ、私が口を出しはじめた辺りを境に、5時にもしなくなりました。今は、「学校の宿題は僕の問題なんだから、ママは関係ないんだからほっておいて!!やる気になったらやるから!」といいます。

そうしたいのは山々ですが、夕食後は、お風呂や歯磨きや就寝準備などやることがおおく、忙しいときに、一人宿題をされるのは正直困るんです。お風呂や寝る準備や就寝時間が狂うので。

あと、みんな、毎日だいたい時間を決めて習慣化しているから親子共に、楽そうだなと思い、長男にも習慣化させてあげれたら、本人も楽にちがいない。最初は無理矢理にでも決まった時間にさせて、習慣化させるのは親の務めだ!との想いが大きくあります。

一方で、小1とはいえ、確かに彼の問題だし、息子も宿題AND明日の用意をしないつもりはない。ほっておいても、少なくとも就寝時間には自分でやり始めることを思うと、自己責任ということで、何時にするかは本人に任せたほうがいいのでしょうか?

ただ、面倒だから限界まで先送りするクセがこの年からついては、この子の為にならない!と、先送り女子代表の私としては、心配になってしまいます。

(ちなみに、息子は軽いADHDではありますが、この先送りは、病気は関係ないと思います(^^;)

おとーちゃんの息子さんはどうされてますか?
このようなことは、個人の自由にさせてしまっていいのでしょうか?

ちなみに、私の親は、「宿題する暇があったら手伝いしなさい。勉強する暇があったら早く寝なさい」という人だったので、(逆にだからこそ)自主的に勉強してました。親はあてにならん!と(笑)。なので、内心は、私は子供を信じて、一言も一切言わないほうがいいのでは?とも思ったりしてます。

どちらつかずでいる私のスタンスが原因なのかもしれないですね(^^;;

「約束の時間が過ぎてる!」と息子に怒りながら、一方で、彼の問題なのに、なんで私が一生懸命でイライラしてるんだろ。とアホらしくも思います。

あーだこーだと後回しするのが許せないんですね。私に似て(^^;;

あと、早く明日の用意をして、こっちが気持ち的にスッキリしたいんですよね〜☆

指図されるのが大嫌いな息子にどう接したらいいと思いますか?

ご助言、どうかよろしくお願いします(>人<;)!!

ミントさん

宿題についてですが、確かに自主性に任せてそれができるなら余計な口出しはしないのが一番だとは思いますが、今後宿題の量が増えたり内容が難しいものになってくるとそれはだんだん難しくなってくる可能性があります。

そしていまの時期は、勉強の内容そのものよりも「勉強に取り組む」習慣を付けてしまうことのほうがはるかに大きい意味を持つのである程度は、手助けしてあげる必要もあるかと思います。


>夕食後は、お風呂や歯磨きや就寝準備などやることがおおく、忙しいときに、一人宿題をされるのは正直困るんで

こういう状況になってしまっているのならば、もはや

>学校の宿題は僕の問題なんだから、ママは関係ないんだからほっておいて!

この理屈では通らないわけです。

そこのところは話し合って、ある程度「私はいつの時間にしてほしいのだ」ということを伝えてもいいかもしれません。


そして具体的なやりかたとしては、できたことややったことをしっかりと褒めるなどしてモチベーションを高めるのはもちろんですが、決まったところで勉強をする習慣をつけるためにしばらくのあいだ大人も一緒に勉強をする時間にするといいです。

大人が子供の勉強を手伝うという意味ではありません。
もちろん、見直しをしてあげたりわからないところを教えてあげるのはいいのですが、大人が自分の勉強をするのです。
べつに仕事をするのでも家計簿をつけるのでも、ただ料理の本を読むのでもいいです。

その時間は同じ部屋で家族みんなが机に向かって勉強します。
弟や妹など小さい子がいるならば、その子にはお絵かきなどを一緒にしてもらいましょう。

これを習慣にしてしまうと、あとあと勉強することを嫌がらない子にしていけます。

このやり方は僕のオリジナルではなくて、フィンランドなどではこういうことは当たり前になっています。

No title

おとーちゃん様。
お返事ありがとうございました。
よく考えたら、一緒に自分も同じように取組むってやったことなかったです(^^;;なにしてたんだろ。。。常に下の子の世話をしているかな(^^;;反省。

今後は、私もこれを機に、長年やりたかった楷書の練習を頑張ってみようと思います!!宿題の時間に\(^o^)/

せっかく良くなってきた子供との関係、悪い方のサイクルになるのは簡単ですね(^_^;)大事に根気よく育てていきたいです。

お忙しいのに、お返事どうもありがとうございます。
おかげで頑張れそうです!


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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