2017-09

コミュニケーション - 2012.08.07 Tue

保育園にくる最近の親の傾向としては、あいさつをしない・できない人が増えたことがあげられます。
子供ではなく「親」がです。

人見知りだとか、対人関係がしごく苦手という人が世の中にいるのはわかります。
でも、いま目にしているのはそのレベルではないと思われます。







あいさつだけでなく、必要なコミュニケーションやささいな会話もなくなっているようです。

朝の登園時、家で書いてくる連絡ノートの記入を忘れたりしてペンが必要なとき、「ペンを貸してください」とでも言われれば気持ちよく貸すのだけど、勝手に園や保育士のものを取っていってしまったり、中にはデスクのキャビネットや引き出しをあけて持っていこうとする人すらいます。

「あいさつ」というのはコミュニケーションのもっとも端的な部分だと言えます。
保育園に来る人の多くは、仕事をするために子供を預けているのだから社会人です。
その社会人である人が、向こうからあいさつされても返さないというのはおかしなことと言えるでしょう。

「おはようございます」と言って、「あぁ」とかうなづきが返ってくるならまだいい方で、無言・無表情・目も合わないという人もいます。


なぜこのようなことを言うかといえば、別に世の道徳が衰えていると嘆いているわけではなく、そのようなコミュニケーションの低下というのは明らかに子供の育ちに影響してくるからです。

社会生活の中で必要なあいさつをしない・できない人というのは、子供との日々の関わりの中でも必要なコミュニケーションがなされていないと思われます。

僕の経験では、かなりの確率であいさつしない人の子供は、言葉や関わりの能力が年齢・発達の程度に比して幼かったり、友達との関わりにおいてもトラブルなどがとても多くなっていました。


子供は、様々なものごとを身近なモデルを真似ることで覚えます。
身近なモデルとは、まず第一に親です。
そして影響力がもっとも大きいのも親です。だから、よそで望ましくない行動を子供が学習してきたとしても、親の行動がしっかりしていれば子供がそれに飲み込まれることは少ないです。


親があいさつもしなかったり、必要な言葉も話さない、話すよりも先に手が出る、笑わない、子供に対していつも怒っているばかりだったり、言葉が威圧的、めんどうそう、嫌そうな態度で接するというようなネガティブな関わり方であれば、子供のコミュニケーションの形もそこから導かれるものとなってしまいます。

それは、親があいさつをしないから、子供もあいさつをしないというレベルにはとどまりません。

そのくらいならばまだいいのですが、親がコミュニケーションがとぼしいというのであれば、その子はきちんとしたコミュニケーションのモデルを獲得できていないので、人とどのように関わるかという方法がわかりません。
結果的に、大人や子供ともなかなか良い形で関われないことが多くなります。

コミュニケーションのモデルが獲得できていないのではなく、ネガティブな形で獲得してしまっている子、例えば親から叩かれている子、暴言をはかれている子は、友達や他の大人と関わる時もそういった関わり方が出てきます。

そういう子に、「人を叩いてはいけません」といくら伝えても、それが浸透することはとても難しいです。
なぜなら、もっとも影響力の大きい存在である親、その子の見本である親が、それをしているのですから、そのような「理屈」は実際の「経験」に勝るはずがありません。

たまに、その人の子供が他児を叩いたり乱暴していると、「コラ、お友達を叩くんじゃない」と子供を叩いている親がいますが、これには大きな矛盾がありますよね。

自分がきちんとあいさつしないのに、子供に「あいさつしないさい」と言わせている人がけっこういます。

子供は親の姿をみて常に学んでいますから、型にはめるように教え込まずとも、いずれ親のするようにその子もしていくものです。


コミュニケーション、人と関わる力というのは、あいさつだとかそういったはっきりと目に映る部分だけでなく、子供の成長にとても広汎な影響を与えています。

関わる力のある子は、当然ながら人と関わる遊びもうまいですし、楽しめるようになります。
親に叩かれるがゆえに、友達にも手が出てしまう子は、そもそもそのスタートラインにすらなかなか立てなくなってしまいます。

人と関わることにポジティブな楽しみを見いだせる子ならば、集団での行動などにも抵抗なく入って行きやすくもなるでしょう。

集団でなくとも、人との関わりに楽しみを見いだせます。

人との関わりをポジティブに楽しめる子ならば、人へのより良い信頼感が形成されやすいです。

そうであれば、例えば食事指導をしているとき、その子は信頼する大人が食べることを望んでいると思えば、苦手なものも食べてみようという気持ちが生まれます。

人と良い形での関わりの出来ない子は、はるかに多くの場合そのようにはいきません。

そのように、親が子供と関わる基本的な態度というものが、子供の育ち全般に影響してくるのです。



うちのむーちゃんは、正確には覚えていませんが1歳の後半か2歳の前半にはすでに、ありがとうとかどうぞとか適切な場面で使っていたと思います。

お「むーちゃん、そこに入っている昆布ちょーだい」
む「はい、どーぞ」キッチンの開きをあけてもってくる
お「ありがとね」
む「どういたしましてー」

「どういたしまして」なんて教えたことなんか全くないけれども、どういう意味でどういうときに使うかというのを子供は日常の経験の中で学べているのです。

小さい子には「何をどう教えるか」よりも、まずは「親である自分がどうしているか」ということの方がとても大切だと感じます。
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● COMMENT ●

No title

今回もいいお話ありがとうございました!

挨拶をしない方が多いと言うのはびっくりしました。
うちはど田舎なのであまりそう言う経験はなくて。。

うちの娘は挨拶をしないんです。
むしろ、しない事に意地になっているような。。(^^;;
私がしていればそのうち真似てするようになるだろう、と思って
しなさい、とも何も言わずにいたのですが、全く言わないのもこの子には伝わらないのかな、とも思って来ました。。
幼稚園から挨拶をするとシールを貼る、という用紙をもらって来たのですが、
シールを貼りたいときに思い出すのですが、それでも自分からは言わないし、そもそも、いつ、何のために言うのか理解していない様子です(。-_-。)
ただ、ありがとうだけは会話の中に出てくる機会が増えて来ました。
使い方が間違っているときが多いですが。。
「ありがとう~たすかった~どういたしまして~」と一人で言ってます(^^;;

最近、感情的になってしまう事も時々あり。。
「親の行動がしっかりしていれば子供がそれに飲み込まれる事はない」というくだり、
ドキッとしました。もうちょっとおおらかになりたいな~(^^;;

返信不要です(^-^)/

保育士の勉強しなおしたほうがいいんじゃない?上から目線で偉そうなことつらつらかいてるけど、考えも浅はかだし、ただの愚痴と親バカっぷりアピールしたいだけかっ?!
読んで損したわ。

コミュニケーション

「子は親をうつす鏡」ってまさにこのことですね~。笑顔で目をあわせて挨拶を交わす心地よさ、「ありがとう」を言われる嬉しさ、ひとつひとつが親と子から始まり、子供の世界に広がりますね。
保育園に一歩足を踏み入れるとき、うちの子だけじゃなくて、他の子達にもいい見本になる大人でいたいって意識をどこか持ちます。
先生方が常にそうあるのを感じるからかな。
うちの子が通う園は、先生方はもちろん、親御さんや園児との挨拶もきっちり交わす保育園なので、毎日気持ちよく送り迎えしています!

保育園の子から「バンバンバン」を習っているうちの子。刺激的なんでしょうね~。「ママもやって~」と来たので、(いつもの)「ママは平和主義です(キリッ)。バンバンよりギュッのほうが好きだもんね~」と抱きしめちゃいました。

うちも2歳前後から「ありがとう」「いいえ~(どういたしまして)」大好きな言葉だそうで、使いこなしていますよ(*^o^*)

最近お迎えにいくと、「○○保育園がんばった。ママもがんばった?」と言ってきます。息子2歳4ヶ月。小さな体でほんとに寂しい気持ちをがまんしてがんばってくれている姿に、心が痛いのですが、一緒にがんばっていくぞ!と自分にも言い聞かせ、やっていくつもりです。

何度も何度も読んでいます

保育士です。現在3歳と10ヶ月の子どもの母です。ブログにコメントなどした事がないのですがあまりに感動し共感したので。途中ブログを休止されたりありますが続けてくれて嬉しいです。大袈裟じゃなく出版されたら間違いなくベストセラーです。何冊も育児書を買いましたがこんな具体的で何度も何度も読み返したくなるものはありません。
どうか本になることを祈ってます。
応援してます。
理屈っぽいってありましたが全く感じません。とうちゃんの自信のある文書大好きです。

だてまきさん

だてまきさん温かい言葉をありがとうございます。
このところ、攻撃的なコメントが相次いていたところだったので、とても励みになりました。

ありがたいことにしばしば本にしてくださいというお声を頂くのですが、綺麗事にまとめずに本心でかけるのがブログのいいところであり、このブログの持ち味でもあるかなと思っているので、あんまり本という形でまとめる自信がないのですよね。

本音で書くと、伝えたい趣旨が批判することでなくとも、批判されているとしか受け取らない人もたくさんいらっしゃいますしね。
そのへんがとても難しいところです。

これからもぼちぼちと書いていきますので、よろしければどうぞおつきあいください。

No title

お久しぶりにコメントします。
今回の記事も深いなぁと思いました。そして、自分の言動を振り返り、ハッとしました。
「物を投げてはいけません。」と言いながら、腹が立つとクッションを投げる私です…。気を付けなければ!

そして、攻撃的なコメントを見て、私まで悲しくなりました。でも、他の方も書かれていますが、私は、本当にどれだけおとーちゃんのブログに救われたことかわかりません。うーん、本がダメなら、本音トークの講演会はどうですか?もしあれば、私はどんな手を使ってもチケットを手に入れます!ハイ!

しょーもないコメントにつき、返信不要でございます。

コミュニケーションは大人がお手本…ほんとそうですね。
私も、もっと頑張らねばです。

そういえば、息子が二歳くらいの時、ありがとうやごめんなさいを言わせようとすると、ポロポロと悔し泣きをするので、手を焼いた時期がありました。
特にありがとうは相手に申し訳ない気がして無理矢理言わせようともしました。

でもよく考えると、泣くほど辛い思いをさせてまで、親が相手に申し訳ないといういたたまれなさから逃げたいがばかりに、子供に無理矢理心のこもらない言葉を言わせるのは本末転倒。屈辱感だけ与えて逆効果だなと。
私がかわりに丁寧にお礼を言いながら、君もいいなよーとたまに軽く付け加えてたら、そのうち、自発的に言うようになりました。

今思えば、まだ準備ができてなかったのですね。

あのときは、これでいいのか、甘やかしじゃないかとすごく悩んだのですが、そういうことはどこにも書いてない。
感謝の気持ちを大事にする子に育てようと書いてあっても、どうやったらそうなるのか書いてない。

だから、おとーちゃんさんが、お忙しい合間をぬって、こういう本音の記事を書いてくださるのが、ほんとに得難いことだと思います。

私自身も、初心にかえるために、何度も拝見させていただいています。
今は、子供も私も生活も落ち着いていて、それとともに私自身とても子供が可愛く思えていて、直接的にはあまり必要ないのですが、幸せの秘訣を忘れてしまわないよう、いつも愛読しています。

本音を書くと賛否両論あって大変だと思いますが、そんな中でも冷静で主観に陥らない、温かいご意見を発信されているのを見ていて、ほんとに頭が下がります。
いつもありがとうございます。

No title

娘が保育園で、好ましくない言葉遣いや物言いを覚えてきてしまう事があるのですが、一番影響するのは親だと思い、見本になるような言葉遣いや態度を心がけています。
普段、バスに乗ることが多いのですが、娘だけで座っていても、人が多くなってくると自分から私のひざに乗り、席を空け、道を歩いている時、狭い所で人とすれ違う時は、私の前か後ろによけて、道を譲っています。本当に手の焼ける娘ではありますが、そういう事を当たり前にできる心を大事にしたいと思って来たので、自然とやっている娘を見ると、やはり嬉しくなります。

上から目線とか、そんなふうに感じた事、一度もありません。
むしろ、本音ではっきり言う文章の中にも、そして、コメントの返信を読ませていただいても、配慮や気遣いを感じたりもします。やんわり表現されているなあ、と感じたり。何より、子供の事を考え、子育てをどうにかいい方向に、子育てはもっとゆっくりゆったり楽しんで、ありのままをかわいがればいいんだよという、強くあたたかい気持ちを感じます。知識と経験にもとづいた、具体的で自信のある文章。そして何より、おとーちゃんの、文章から伝わるお人柄。だからこそたくさんの方がこのブログに救われ、心をつかまれるのではないでしょうか。
色々な意見があるのは当然ですし、読む人のその時の気持ちの状態によっても、受け取り方は色々になるかもしれませんが、やはり、伝え方というものがあると思います。

おとーちゃん、これからもブログ、楽しみにしています。
こんな、ためになる子育ての話、他ではなかなか聞けませんから。
応援してます。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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