2017-10

発達障がいについて考える  Vol.1 - 2012.06.29 Fri

最初にはっきりさせておきますが、僕は障がい児指導の専門家ではありません。
専門的な相談をされても答えることはできませんし、またこれから述べる発達障がいについての内容も、あくまで僕が理解している範囲のことですので、もしかすると正確でなかったりすることもあるかもしれません。
障がいに関する正しい知識や、専門的な対応を知りたい方は他のところを参考にしてください。

ではなぜ専門家でもないのに「発達障がい」について書くかというと、子育てをする中でこういうものに行き当たることは少なくないからです。
また、この「発達障がい」というものはまだまだ世間一般では、そもそもそれほど知られていないし、知られているとしてもなかなか正しく認識されていません。
このことが個々の子育てを困難なものにしてしまっているということもあります。

それにもう一つ、「発達障がい」を持つ子やそれに類する子に対する対応やその視点というのは、すべての子育てにおいてもとても有用だからです。

というわけで「発達障がい」について何回かに渡って書いていくつもりですが、まず「発達障がい」とはどういうものなのかというところから始めたいと思います。







まず、そもそも「発達障がい」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「障がい」と聞くと、多くの人の頭の中には「一生ハンディキャップを負うもの」「決して治らないもの」、通常の学校・社会生活を送れなくなるのではないかといったようなネガティブなイメージばかりが漠然と頭の中によぎるのではないかと思います。

確かに生まれつき身体の機能に欠損があったり、後天的に事故などで身体に損傷をおったりというような不可逆的で、それが治るたぐいのものでない身体障がいと呼ばれるものや、染色体異常などで医学的に判別のつく原因から知的な発達になんらかの問題の出る知的障がいと呼ばれるものはあります。

多くの人にとっては「障がい」という言葉は、そういった不可逆的なネガティブなイメージを持っているようで、子育てしている人に対して「発達障がい」という言葉を使っても、なかなかその実像を理解してもらいにくいものがあります。

一般に「発達障がい」という一言で言ってもその範囲はとても広く、診断名がついて医学的な対象になるものもあれば、単に「ちょっと個性的な子」という程度のものまでさまざまです。

わかりやすいところで言えば、保健所の一歳半検診や三歳児検診などで
「言葉の発達にやや遅れが見られるみたいです。保健所でやっている言葉の教室というものが、これこれの日にありますからよかったら来てみてください」
などと言われたり、そういう話を聞いたことのある人も多くいるのではないでしょうか。
こういうものも広い意味では発達上の「障がい」なのです。

しかし、それも適切に支援をして対応したり、成長を促しながら見守っていくことで、子供は実生活にさほど支障のない程度に過ごしていけるわけです。

子供の成長をみていると、このような発達上のの問題というものはけっして珍しいものではありません。


診断名のつく「発達障がい」でよく知られているものとしては、自閉症候群・アスペルガー症候群・ADHD(注意欠陥多動症候群)・LD(学習障がい)などがあげられます。

これらもお医者さんで診断名がでると言っても、じゃあそういう「病気」なのかというと、それがそうでもありません。
なにかの検査をしたらそういうものがわかるというものでもないのです。

ただ、いろんな特徴のいくつかが共通して複数の人にでている、つまり「症候群」であるので、取り立てて明確な病気とかがあるわけではないが、とりあえずそう呼ぼうというものにすぎません。

そもそもその「発達障がい」と呼ばれるものの境界自体があいまいだとも言えます。
つまりどこからが「発達障がい」でどこからが「発達障がい」でないかとは簡単には言えないのです。


「症候群」ですからいろいろな症状があります。

そのすべての症状がでているから「○○症候群」というわけではなく、そのうちのいくつかが出ておりおおよそその「症候群」であると言ってよいだろうと判断されると、その診断名がつきます。

では、その症状が出てはいるけど、その数が少なかったら?
そのときは「○○症候群」と診断名はつかないけれども、そういう「○○症候群の傾向のある子」と考えたり、顕著な症状であればそこだけとって、例えば多動ならば「多動症」であるとか「多動的傾向のある子」と考えます。

では数も少なく、またその程度も低ければ?
これは診断名もでませんし、「○○的傾向」ともなかなか言えません。
実際の症候群であってすら、なかなかその診断は難しいのですから簡単にはそうと決めつけられません。
そもそも、数も少なくその程度が低かったら、なんらかの「発達障がい」の疑いがあると考えることすら一般の人はしない・できないでしょう。

まあ、「発達障がい」と考えなくても、その子にあった対応を周囲がしてあげられればよいのです。
ですが、それが容易ではありません。


さっき「多動」というものが出ましたので、それを例にとって考えてみましょう。

多動的傾向のある子は、じっとしていたり、落ち着いて何かに取り組んだりするのが大変苦手です。
別にその子がそうしようと思ってそうしているわけではなく、そういう傾向をもっているのですから、わざとやっているわけでも、その子に責任があるわけでもありません。

これが別に困らない場面ならばなんの問題もありませんが、例えば学校に入ったりしたとき。

「この子には多動的傾向があります」とわかっていて、それに対する対応を心得ていれば、その範囲で対応していくことはできます。

でもそういったことも知らず、またその子の様子にも疑問を抱かず、その場に適応させることばかりを考えて対応していったらどうでしょう。

「きちんと座りなさい」
「今はおしゃべりしない」
「どうして君は落ち着きがないんだ」
などなど注意・叱責することばかり増えていってしまいます。

また、
「大人の話が聞けない子だ」
「やる気がない」
「なんど言っても聞き分けない、ふざけている」
などレッテル貼りされることで、自己肯定どころか自己否定感ばかり大きくなっていってしまうでしょう。

多動的傾向があるというのはその子の責任ではないのだけれど、そのことに対する無理解がその子の育ちを奪っていってしまいます。

「発達障がい」においてはこの種の問題がとても大きいのです。
(この点が僕が「発達障がい」について今回書くに至った最大の理由です。)



ある意味ではなんらかの病名や診断名のつく障がいのほうが、対応はずっとしやすいのです。
医療的なバックアップはあるし、どのような対応をとればいいかある程度は確立されたものもあります。

また周囲もそのようなハンデのある子だという認識をもってくれているので、それによる行動を「その子のせいだ」と責めたり、または親に「あの親のしつけがなっていない」などと理不尽な言われを受けることはないからです。


しかしこの今ひとつわかりにくい「発達障がい」というものにおいては、こういった周囲の無理解によりその子を不当におとしめることが起こりやすいです。

まず親自身も、その子の独特の行動を周りに適応できていないと考えやすいので、そこで注意や叱責・厳しい「しつけ行為」などが頻発しやすいです。
これによりその子は返って荒れたり、情緒不安定になったりと子育てそのものがよけい難しくなってしまったりします。


また、親も「自分の育て方が悪かった」「愛情が足りていないからだ」と自分を責めたりすることもしばしばあります。
自分で責めるだけでなく、夫や祖父母などの家族や周囲の人々からも子育ての責任を追及されたり、非難の目でみられたりして、育児のストレスを溜めやすくもあります。

こういった「発達障がい」というものの知識が一般に広く知られてないがゆえの問題があります。



とりあえず、子育てしている人にはそういった、「しつけ」や「愛情」「育て方」ではどうにもならないものが、あるということ。
そしてそれは、誰にも起こりうることがあるというのを覚えておいてもらいたいと思います。


今回はここまで。
まだまだ「発達障がい」についてたくさん書く事はありますが、原稿を書き溜めているわけではないので続きを載せるのは時間がかかるかと思います。
また、そのあいだ別の記事をはさむこともありますのでご了承ください。
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● COMMENT ●

No title

他の方のコメントの返信で、発達障がいについての記事を書くとおっしゃっているのを見て、
楽しみに(?)していました。
うちの娘も一時期、発達障がいではないかと心配した時期がありました。
成長の過程でそういう特性が強く出ていたのでしょうが、
今では若干の凸凹はあるものの、かなりなくなってきています。
おとーちゃんさんが書かれているように、不謹慎にもその時は
いっそのこと診断がついてくれたらいいのに、とさえ思いました。。
どういう対応の仕方がこの子にいいのか、何をしたらこの子が楽になるのか、
診断がつけばやるべきことが見えるはずだから、と思ったんです。
診断がつかないことはいいことのはずなのに、
私の対応が悪いからこういう症状が現れているんだと思うこともありました。。

少し余裕のできた今、考えると、おとーちゃんさんがおっしゃってるように、
障がいのある、なしって線引きはできないし、
どんな子でも多少は持ってるもの、と思います。
その時に読んだ発達障害に関する本、この子の中ではどういうことが起こっていて、
何が原因でこういう気になる症状がでているんだ、とか、
どういう接し方がいいのか、とかはかなり参考になりました。
そして、そういう子どもの理解の仕方や対応の仕方って、
どんな子に対してでも通用できるものじゃないかな、って思いました。
今でも、時折こちらの気持ちが一方通行に感じる時もあるのですが
(それはもう、7ヶ月の下の子と比べると格段に。。)
めげずに頑張ります(^^)

続き、楽しみにしています。もちろん、ご無理のない程度で書いてくださいね。
返信不要です(^-^)

いつも沢山の角度からブログをありがとうございます!

二年生の長男のクラスにも 年長の次男のクラスにも そのようなお子さんがいらっしゃいます。幼稚園では 先生が一人ついてサポートしています。私が親になり 子供達に教えられた事の一つに 大人より子供達のほうが ずっと 当たり前に受け入れ 彼ら、彼女らに何が必要なのか知っているということです。次男の園では 決して区別も差別もしていません。同じ幼稚園に通っていた長男の運動会で 障害があるお子さんがかけっこに参加できるよう園児達が話し合い どんなサポートが必要か話しあい 手をつないで走ることを決めた子供たち。だって  くんは 手をつなげば走れるんだよ?どんな風にサポートすれば  くんが喜ぶか、笑顔で走れるか考えているのです。もちろん注意点があるので先生も参加しますが。運動会当日 手を引く子供も引かれる子供もにっこにこ。ただ状況を理解していない別の親御さんが「あの子はなんでああなの?」とひそひそ。その時思わず 知らないことはなんと切なく 受け入れる事を当然としない大人はなんと悲しいと思いました。かわいそうではなく 個性であり必要なサポートはみな違うと子供は知っているのです。
そのクラスの子供が特別なわけではなく次男のクラスもサポートが必要なお子さんがいますが、参観日に行っても、その子のスピードでその子が何をしても 年少さんから年長さんまで(縦割りクラスなので)誰一人、からかったりちょっかい出す子もいなくて みんな当たり前に受け入れサポートしていました。だって  ちゃんに必要な事でしょう?とみんな当たり前に。ある日その子について次男が話してくれました。  ちゃん、だーいすき。だって笑うとかわいいんだよぉ!と。当たり前に一人の人として受け入れてる子供達。いつから大人はそうなれなくなってしまったでしょう?
長男のクラスのAくんはは半分を特別学級で過ごしています。トラブルは多いのですが長男はA君が大好き。よく我が家に遊びにきます。もちろんトラブルばかりですが 私も腹をくくって受け入れてから仲良くなれました。ある時干してあった洗濯物にホースで水を。もちろん私は止め、イライラ。そしたら長男が一緒に遊んでた女の子と(彼女も水をかけられて泣いていたのに)A君は薬を今日飲み忘れちゃったからしょうがないんだよ。と二人で一言。行為はNGでもA君自身の事は受け入れてるし それがA君なのだと理解しているのでした。子供達にこんな大事なことを教えて貰うなんて!
日々の子育てで 受け入れる事の本当を教えて貰いました。

発達障がいの娘の就学先について

数年前からこのブログを読み始め、今の私の子育ての基本はすっかり、このブログで学んだこととなっています。
今日はそんな保育士おとーちゃんさんに相談がありコメントさせていただきました。ぜひ保育士おとーちゃんさんの意見も参考にしたいと思っておりますので、よろしかったら返信お待ちしております。
私(母)には二人の娘(6歳と4歳)がおり、昨年9月に自閉症スペクトラムと二人とも診断されています。
毎日の幼稚園の他に週1で療育にも通っています。
上のお姉ちゃんは来年小学校に入学するということで、就学先のことで家族で悩んでいます。
上の子はコミュニケーションが苦手で、相手の気持ちを読み取るのが難しく、話が一方的になってしまうことがあり、友達が一緒に遊んでくれないこともあると言います。
特定の仲良しの友達はおらず、娘がしている遊びに興味を持った子と遊ぶことはあっても、その場限りになるそうです。
また幼稚園生活ではお集まりのとき、座っていることはできますが、先生の話を聞くときは違う方向を見て聞いていないこともあるそうです。ただ周りを見て行動することはできます。
見通しが立たなかったり、急な予定変更にも対応するのも難しく、事前に伝えるなどの支援が必要になってきます。
聞いたことを理解するのが苦手で、視覚的なアイテムなどを使って伝えると理解しやすいようです。
知的に遅れは見られません。
聴覚に過敏さが見られ、運動会のピストルや発表会の楽器演奏のときには、イヤーマフや耳栓、音が聞こえない場所まで退避するなどの支援が必要です。
このような特徴から、上の子を多人数の学校と小人数の学校のどちらに入学させようか迷っています。
自宅近くの学区内の学校が大人数の学校です。特別支援学級(知的、情緒)もあります。この学校に通う同級生の子の中に同じ幼稚園の子はいません。情緒学級は今年4月から始まり、先生がとても一生懸命で、通常学級の子とも、とても雰囲気よく、楽しく過ごせているそうです。
療育の先生や幼稚園の先生から、集団生活で特に目立って気になるところは見られないから、通常学級で大丈夫じゃないかといわれているのですが、困ったときに自分からなかなか助けを求めることが難しい娘のことを考えると、支援員さんがクラスに一人ついていてくれると助かるなと思うのですが、支援員さんは本当に手のかかる子につくので、クラスに支援員がついたとしても、娘の支援は優先されないと思います。
通学に車で30分ほどかかるのが小人数の学校です。なぜここが選択肢に入っているかというと、東日本大震災により元々あった街とは別の街に仮説校舎を建てたこの学校は、私たち夫婦にとっては馴染みのある学校で、上の子が通っている療育機関の先生からも、この学校について参考程度にお話をいただいていました。来年度の一年生の入学予定人数は男3人女3人(娘含まず)なのだそうで、1~6年合わせても20名程なのだそうです。毎日の通学(バスが迎えに来てくれます)が負担になること、少人数だからこそお友達とうまくいかなくなったときに別のお友達グループと…というわけにはいかなくなること、少人数だとできることが限られること、校庭・プールがないことなど、小規模校でも不安な点がたくさんあります。
また妹の方がコミュニケーションに関しては、上の子よりも上手にできているので、妹のことを考えると学区内の学校でもいいのかなと思ったり。妹が小規模校に入学する際、下の子一人しか入学しない、なんてこともなきにしもあらずなので…。何かご意見などありましたら、説明不足ですが、分かる範囲で大丈夫ですのでお聞かせください。よろしくお願いいたします。


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