2017-08

隠れた名作 『みどりいろのたね』 - 2012.03.19 Mon

『みどりいろのたね』  たかどのほうこ/太田大八 福音館書店

前回、紹介しますと言っていた本です。

作者のたかどのほうこさんは、知っている人は知っているのですが、あまりご存知でない方も多いかと思います。
絵本作家というよりも、童話作家として、小学生向けくらいのものを中心に書いているからです。
なので、小学生のお子さんがいる方や、もしかすると若いお父さんお母さん達だとご自分で「昔、小学校の図書館で読んだ」という方もいるかもしれません。

幼児・小学校低学年向けの本だと、たかどのほうこ、もう少し大きい子向けの本だと 高楼方子 名義で出版されているようです。(ただし楽天にしてもアマゾンにしても売っている本屋さんの表記だと、本にはひらがなで書いてあっても案内には漢字で書かれてしまっているものも多いです)


さて、内容ですが




よく「大人も楽しめる絵本」とか「大人向けの絵本」とかってありますけど、この人の作品はその正反対にでもある作家さんだと僕は感じます。
大人からみると、ちょっと子供子供した内容だったりするけど、とても子供たちには受けますし、反応もいいです。

↑この本のシリーズなんかその辺が顕著だと思います。(こっちは5歳、6歳以上かな)

ストーリーも良く出来ていますし、なによりすごいのは、なにげないフレーズなどにも子供の心をがっちりつかむ文章になっています。

何度か読んでいると、いつのまにか子供たちに浸透していて、絵本を読んでいないときにもふと思い出して、そのフレーズを口にしていたり、言い合って笑っていたりしています。


今回紹介した『みどりいろのたね』は、高楼方子さんの作品の中では、最も小さい年齢で楽しめる本の一冊だと思います。

本の背表紙に書かれているところでは、「4歳から」となっています。
出てくる子供の姿も4~5歳くらいだし、ページ数も100ページ近くあるので、たしかに4歳くらいからが適正年齢かとは思われますが、表現が大変丁寧に書かれていて、ページあたりのテキスト量は多くなく、お話や言葉もとても子供をひきつけるので3歳でも、本の好きな子ならば2歳後半くらいでも楽しめてしまうかと思います。


また絵も子供をしっかりとひきつけます。

絵を担当している、太田大八さんは大正生まれの画家です。
この本を書いた時には70歳です。
なんだかざっくりと描かれてているようでありながら、何度も繰り返し読んでいるうちに子供たちは絵のいろんな部分にだんだんと気づき出して、豆の顔をみて笑ったり、新しい発見をしています。
綺麗に書かれているだけの絵ではなく、なんとも味のある絵です。そのことは子供たちの反応を見て初めて気づかされました。
このお話にピッタリの絵だと思います。


そして前回お話した、出版社(編集者)がいい本を作ろうとしている証拠がこの本にはあります。
ほとんどの人は気づかないと思います。というより気づかないようにするために、いい仕事をしているからそれは当然です。

それはなにかというと・・・。

100ページ近い本(ひものしおりもついている)なので、各ページの下にはページ数がふってあります。
ただし、それはめったに見ないようなものすごーく小さいフォントで、線も最小限に細いもので書かれています。

絵やお話を邪魔しないように、そのように配慮したのでしょう。
何気ないところだけど、本を作る側がより良い本、つまりは読む子供たちに最大限のものを伝えたいと、努力しているあとがうかがわれます。

目に見える部分はそれだけだけれども、そういった出版社側の姿勢がこういった良質の絵本を生み出していることと無関係ではないのだと思います。

僕はこれに気づいたときにちょっとした感動を覚えました。
いま、出版不況と言われているそうですが、絵本業界も保育業界と同じように、安易な子供騙し大人騙しや商業主義に偏重してきてしまった部分があるのではないでしょうか。

子供向けの絵本を見ていても、キャラクターや可愛いだけのイラストや、音や光の出る仕掛けで、売れればいいだけの絵本を作っているところと、こうして質の高い本を作ろうと努力してきたところとがはっきりと分かれてきてしまっています。

子供たちのためにも、これからもいい絵本を出していってもらいたいと願ってやみません。




楽天の方に画像がなかったので、アマゾンの方から引っ張ってきました。
ちなみにどちらのレビューも全部が☆5個のばかりでした。
いい本はやっぱりみなさんそう思うのですね。

小さい子向けのものはそれほど多くありませんが、高楼方子さんの本はどれもとてもいいものです。
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● COMMENT ●

No title

おとーちゃんおはようございます。姉弟けんかでの対応、弟への対応など、とても参考になりました。悩んでいることは、できれば自分で考えたり、過去記事などを探して、沢山の人の相談に乗っているおとーちゃんの手を出来るだけ煩わせるまいと思ってはいるのですが、限られた時間の中で、なかなか記事を探せないこともしばしば・・・お忙しい所、ありがとうございました。娘の権利はしっかり守ってやり、弟には、いけないことはいけない。こうしたら楽しく遊べるんだよという方法を、伝えていこうと思います。

娘の保育園のことなのですが、相談させてください。

保育園か幼稚園かでまず悩み抜きましたが、こだわりの激しい、気難しい娘には、教育的要素のある活動をする幼稚園より、まずは、自分を出して、受け止めてもらって、という状況の中で感情のコントロールというか、成長していく方が、望ましいんじゃないかと感じ、保育園に決めました。これまでおとーちゃんに相談してきたような状況ですので、家庭の中で、母親の私がどうしても、イライラしたり、キツク当たってしまう場面も避けられないということも想像がつくので、「先生」と接してくるより、第2のお母さんのような「保育士さん」と接して、ゆったり過ごしてほしいという思いもありました。夜、いまだに朝までぐっすりということがなく、毎晩、何回か泣いて起きたり、眠りが浅くて睡眠にかなり問題ありなので、お昼寝の時間をきちんと確保してあげたい、とも思いました。あと、我慢しちゃう部分も大いにある娘なので、まずは、気持ちを開放してほしいなと。うまく表現できませんが・・・。幼稚園を悪く言っているわけではなく、娘の性質を考えた時に、という事です。

娘は1歳の時から週に1回、一時保育に行っていて、その園は、「自分を大切に思える人」「幼い時に、愛されたとしっかり実感できるように。」という事を理念に、本当にあたたかく、子供に寄り添うというか、大人の都合に合わせようという所がなく、のんびりゆったり、けれどしっかりと子供を見てくださる雰囲気にあふれ、子供たちも生き生きしています。
(他のいくつもの園の一時保育は、見学や遊びに行った際に、あたたかい雰囲気とはかけ離れた保育をしているのを見てしまい、こうも違うのかと感じました。おと-ちゃん宛の他の方のコメントでも、一時保育の場で大変傷つかれた方がいらっしゃり、どんなにお辛かっただろうと、読んでいて他人事とは思えず、胸が張り裂けそうでした。)
私は4月から働く予定なのですが、勤務地に向かう途中にあって便利なのと、やはりその保育園が好きだし、娘も慣れているので、その園を第1希望で入所申請をしていたのですが、3歳児の募集がなく入れず、第2希望の園に入所できる事が決まりました。第2希望の園は、うちのすぐ近所の支配的な保育をしている保育園に比べるとはるかに良いですが、すごくあたたかみがあるとう感じではなく、やや、教育的ではあるように感じています。そして、もちろん送り迎えできる範囲ではありますが、勤務地とは正反対にあるため、大変になります。
3月いっぱいで退園される方がいたら、と思い、第1希望の園に転園届けを出していましたが、やはり無理でした。
転園届けは、1年間有効らしいのですが、一度他の園に入所して、そこに慣れたしまったら、転園させるのはどうなんだろう?と思っています。
確かに第1希望の園は私の考える「娘にとってはとても良い」と思える園で、雰囲気、考え方、接し方、どこをとっても本当はその園に行かせてあげたかったと今でも思います。送り迎えもスムーズなので私の負担も減ります。けれど、一度他の園に慣れてしまったものを、転園させるのは、こどもにとってどうなのだろうか・・・。この先、転園できることが決まってしまうと取り消せないので、転園届けを取り消すべきかどうか、迷っています。
私の都合で結論を出すなら「転園届けはこのまま」ですが、娘にとってどうするのがいいのかを一番に考えると、わからなくなってしまっています。
おとーちゃんは、どう考えられますか?
お時間のある時に、教えていただけると助かります。

桃さん

>その園は、「自分を大切に思える人」「幼い時に、愛されたとしっかり実感できるように。」という事を理念に、本当にあたたかく、子供に寄り添うというか、大人の都合に合わせようという所がなく、のんびりゆったり、けれどしっかりと子供を見てくださる雰囲気にあふれ、子供たちも生き生きしています。

いいな~。僕もそういうところで働きたいですよ~。


転園についてですが、ときどき環境の変化にとても弱い子というのがいます。
そういう子にとっては、日々の生活の状況が大きく変わることで、様々な影響が出てしまうこともありますので、もしその傾向が強ければあんまりお勧めするものではないです。

これについては4月に入園してからの様子で、そのあたりの子供の性質がわかるかな。あとは一時保育をしている経験で慣れがあるのならば、それほど心配ないかもしれないね。


基本的には子供は大きな順応性を持っているので、わりと大丈夫です。

特に4~5歳クラスあたりだと、人間関係・友達関係が固定化されてきたりするので、子供としてはちょっと残念に思う気持ちがでてきてしまうかもしれないけれど、3歳児だとそれもまだ強くないので、この1年の間ならばあんまり問題ないかと思います。

また、

>勤務地とは正反対にあるため、大変になります。

保育園を決める際は、この利便性というものも大変重要で、仕事をしながら毎日のことですから、便のいいところとそうでないところではずいぶん変わってきます。(親にとっても子にとっても)

希望のところに入園が叶わなくて、次の年とか途中で転園で出て行ったり、入ってきたりというのをいくつも経験していますが、そのことで強く問題が現れるというのはまずあまり見ません。


そこの保育が気に入っていて、なおかつ便が良いというのであれば転園希望だしといてもいいかと思いますよ。

お気に入り

素敵な絵本のご紹介ありがとうございました。さっそく購入して4才の息子に読み聞かせをしたところ、もう1回もう1回とせがまれ 私が3回、主人が3回、計6回読みました。
ストーリーもよくて 絵も素敵ですごく良かったです。
私自身も本が好きで図書館で絵本を借りているのですが、たくさんあって何がよいか分からず手当たり次第に絵本を借りているので またよい絵本のご紹介をして頂けると嬉しいです。

yukapanさん

この絵本はほんとに子供に受けがいいんですよね。

どっちかっていうと絵も文も淡々としているのに、子供の感性をしっかりと捉えてなければこういう本はできないだろうと感心させられます。

しかし、6回はすごいですね~

こんばんは

おとーちゃん、お礼遅れてすみません。
転園届け、1年間はこのままにしておこうと思います。気持ちがスーッと楽になりました。また状況に合わせて、考えていこうと思います。迷ったらまた相談させてくださいね。

日々、大変な労力のいる娘の育児。受容や肯定やくすぐりっこ、オウム返し、出産ごっこ。楽しみながらできる範囲でやって、笑い転げる瞬間は確かにあるのですが、際限ない甘えやわがまま、こだわり、気難しい娘の対応に感情的になったり、途方にくれたりの相変わらずな毎日。「おとーちゃん助けて!お願い、ワープしてここに来て!」という心境になる事もしばしば。私は、おとーちゃんにアドバイスいただいても、結局何も変われないと、情けなくなったりもします。娘をますますこじらせていく日々に思えてなりません。

明日、そんな娘の一時保育最後の日です。

まだ小さい時にお姉ちゃんになり、いっぱいいっぱい我慢していた娘。息子のおっぱいタイムが一番つらく、息子への授乳を初めて見た時は、ズキン、とした表情でうろたえ、目が泳ぎ、一生懸命絵本を読んで待っていてくれようとしているのですが、その絵本はさかさま。心ここにあらずという様子でさかさまの絵本をめくり、まっすぐに私を見れずに時折横目でチラッと確認してはまた絵本をめくり・・・。授乳が終わり「待っててくれてありがとう」とだっこすると、大号泣。私も号泣したい気持ちを、必死にこらえたものです。
弟はかわいい存在ながらも、さびしそうな様子に、「気がまぎれるなら」と、ためしに行ってみた一時保育が大当たり。出産後、目の光も、顔の表情も曇っていた娘。初めての一時保育から帰ってきた日、弟が生まれてから初めて見る「晴れ渡った表情」に、こちらの気持ちも救われました。園や保育士の方々に恵まれ、完全に慣れるまでに時間はそうかかりませんでした。そして、1歳7ヶ月から3歳11ヶ月の今日まで、一時保育の場ではまったく手がかからない、逆に「優等生タイプ」と言われ続けたことに驚きます。それはそれは、今日の今日までずっと、大変な娘ですから。
正直、娘を迎えに行きたくない気持ちになるくらい追い詰められ、息子のバギーを押しながら、涙が出そうになる日もたくさんありました。園までお迎えに行く足が、止まってしまったこともあります。このまま帰っちゃおうかな、って。最低ですね。
家を出るまでも、園までの道のりも、園から帰る時も、帰ってからも、こだわりやかんしゃくで、何もかもがスムーズにいかず、「もうやめよう」と何度も思いました。でも、いつも怒っている、いつも大音量で泣いている、何をしても楽しそうにしない娘の「笑顔が見たい」この一心で、通わせ続けました。すべての決定権は自分にあるというような主人に、「お金が無駄だからやめさせろ」と言われ続けましたが、普段は言い返したりしない私が、「これだけはやめさせません。」と、たぶん初めて、抵抗しました。娘の笑顔になれる場所を、守りたかった、というと大げさでしょうか。
ひとつ動くたび、ひとつ話すたびに大噴火され、けれど、そんな日でも、園では楽しそうにしていたというのですから、よっぽど好きだったんでしょう。送り迎えの際に垣間見える娘の楽しそうな表情を見ると、おおげさではなく、涙が出そうなくらいに嬉しかったです。「笑ってる・・・!」って。きっと、娘が落ち着いて園生活を送れたのは、週1回の事だったからと言うだけでなく、イライラして、時には暴言を吐いてしまうほど余裕のない私と、あたたかく見守り、受け止め、抱きしめてくださった先生方の差なのでしょう。

おとーちゃん、保育士と言う仕事は、とてもすばらしいですね。
現実は、現場は、厳しい事や理想とかけ離れたものがあったり、信じられない保育をしている人や園もあると思います。そちらのほうが多いかもしれませんよね。
でも、暖かく、真摯にこどもに向き合い、寄り添ってくれた時、保育士さんの存在の、どれほど大きい事か。娘の相談などはしたことはないですが、少なくとも私は、その園と先生方の存在で救われました。娘も然りです。
4月からの新しい保育園、これまで関わってきたような先生方や、おとーちゃんのような保育士の方がいたらいいなあ。あっでも、そしたら、転園届けは速攻、「取り下げ」ですね!


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