2017-06

子供の人権 Vol.4 「子供の尊重」 - 2011.09.09 Fri

「子供の人権を尊重する」といった趣旨のことを言いますと、保守的な人や、大人が上で子供が下という構造で子供を捉えている人からすると、「子供ばかりもちあげるような関わりをするから、子供がわがままになったり、自分勝手になったりするのだ」と考える人がいます。

しかし、それは必ずしもあたりません。

一個の人権を尊重するとは、とりもなおさず同時に他の人権も尊重するということです。
ひとつだけ持ち上げておきながら、他をおとしめたままにするというのは、人権の考え方としてありえないことです。

目の前の子供を尊重することは、つまり他の子供や、援助者である大人本人も含めて大人自体も尊重するということに他なりません。



ときどき、「子供を尊重する」といいつつ結局その子供の言いなりになってしまったり、他の人に迷惑をかけていても野放しにしているだけの人がいますが、それは本当の意味での尊重にはなっていないのは明らかです。



真面目に子育てしようとする人の中には、子供を大切にするあまり我慢に我慢を重ねて、自分を犠牲にしていってしまう人がいます。
その結果育児ノイローゼなどが引き起こされたりもしてしまうのですが、人を大切にするということは同時に自分を大切にするということでもあるのです。

自分がして欲しくないと思っていることならば、子供がどんなに望んだとしても子供にさせる必要はありませんし、自分がつらいことまで無理をして子供にしてあげる必要もないのです。

子供が大人の顔色をうかがうのではなく、また大人が子供を腫れ物に触るように扱うのでもなく、互いに尊重しあった関係をきずくことは大人の態度・関わり次第で可能なことなのです。


これまでにも子供との関わり方の記事なかで、「私が~~~だから悲しい・うれしい」といった大人の一人称を意識した気持ちを伝える関わり方の大切さを述べてきましたが、それは「両者の人権の尊重」という、このようなことでもあったのです。

子供の成長の過程でも、相手の気持ちをおもんぱかって自分の意思や感情をコントロールするということはとても重要なことになります。



乱暴が激しかったり、暴力的な性格になってしまっている子に人に暴力を振るわないことをつたえたいとき、暴力を振るうことやその子自体を責めたり叱ったりすることでは結局直らないので、まず自分を大切にすることを伝えます。

自分を大切にできない人が、他者を大切にするということが理解できるわけはないからです。


「自分も大切、だから他者も大切」ということが人権意識の根っこにあることだと僕は思います。



また、自分を尊重されたことのない人が他者を尊重することが出来る訳がないのは自明の理です。

常に支配的な関わりを親にされている子は、それが小さな子であったとしても、他者に支配的な関わり方をするようになります。

友達との関わりの中で、そのおもちゃを欲しいわけでもないのに取り上げて自分の優位をしめそうとしたり、相手が困ることをして面白がったり、友達の失敗をかさにかかって責め立てたり、また泣きや脅しで大人を自分の思い通りに動かそうとしたり、モノをたくさん抱え込むこと、買ってもらったり手に入れることで気持ちを満たそうとする行動を示していきます。

1~2歳の子供でもそのような様子をみせます。
様子だけでなく、性格もそのようになっていってしまいます。

別に生まれつきその子がそういう性格もだったわけではないのです、ただ関わりのモデルケースである親の関わりがそうであるので、そういった関わり方しか知らないで育ってきたからなのです。


親や大人が、子供を保護し導く存在であることはたしかです。
しかしだからといって親が子供や子供の意思を尊重しないでいいかといえばそんなことはありません。
また子供を尊重したからといって、大人が何か損をするわけでもありません。

きちんと尊重されて育ってきた子は、人や物にも優しくできるし、大人を信頼し話に耳を傾けることもでき、また友達からも好かれる存在に育っていけています。
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● COMMENT ●

こんにちは

いつも育児の参考にさせて頂いております。

今日は一つ心配事があり相談させて下さい。うちの3歳半になる息子のことなんです。

最近公園に夕方遊びに行くと仲の良いお友達親子がいて、スナック菓子やらキャンデーやら毎回何かしらおやつを周りの子たちに配ってくれるのですが…。

周りの子たちは『ちょーだい!』って積極的に寄っていくのに、うちの子はまずママの顔を伺って『もらっていい?』と聞いてからもらいに行きます。

これもやっぱり親の顔色を伺ってることになるんですよね?私としては自分が欲しいと思うなら、自らの意志で積極的にもらいに行って欲しいのですが…。

そうしてるつもりはないけど、これはやっぱり日頃親の圧力が強いということかなのでしょうか?

ゆふママさん

それは顔色を伺っているということではないとおもいますよ。

人から勝手に食べ物をもらったりしてはよくないということを息子さんが自覚しているからこそ、そうやって聞いていることなのでしょう。
それはきちんと判断力や考える力が育ってきているということだと思います。

あんまりいろんなことに神経質になりすぎないほうがいいですよ。

お返事ありがとうございました

おとーちゃんさん早速のお返事ありがとうございます。

最近何でも「これしていい?」「これ飲んでいい?」…など聞いてくるので、指示待ち人間になりはしないかと心配していましたが、過剰な心配でしたね。お恥ずかしい。

大変失礼しました。。


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