2017-11

乳児の遊び・関わり Vol.11  関わる力の未発達 - 2011.07.21 Thu

近年、乳児とくに1歳~3歳児くらいをみていると顕著にわかるのですが、言葉を聞く力、理解する力、伝えようとする力やその意思が弱い子が増えているようです。

僕が担当した2歳児クラスでのことですが、その中でもっとも月齢の高い4月生まれの男の子の事例で、大人に話しかけられてもスルーすることが多い、反応を返すときでも見当違いのことを言っている、たまに独り言はでるが友達とも会話することはほとんど無い、感情表現・表情がとぼしいというケースがありました。
同じクラスにいる3月生まれ(一年近く歳が離れていることになる)の子よりも、それら理解や人と関わる力が弱いのです。
発達上なにか遅れや障がいがあるのではと心配になるケースですが、そのようなことはなく関わりの部分だけ未発達なのでした。

別に言語の発達が遅い子であるとか、発達のゆっくりな子であるとかならばそれはその子の個性なので、それらが育っていないからといって問題視する必要はありませんが、「この子の発達のペースにしてはそれらの人とのやり取りができないなぁ」と気になるケースが多くなっています。

その子の素の能力や発達に遅れがあるわけではなく、その部分の能力が育っていないわけです。
つまり、後天的な人との関わりなどの経験が不足していると考えられます。




その時期だけ成長がゆっくりだった、その後気にならないほどになった というのであればまぁそれほど気にすることもないのかもしれませんが、理解や人に伝える力 つまりは『人と関わる力』というのは子供の成長の中でも大きなものです。その後にいたっても影響があることも少なくありません。

たとえば年長のクラスでのエピソードなのですが、給食のときに「おかわり」をしますが、そのクラスの多くの子供が自発的に「おかわりください」とあまり言えません。

その代わりに、例えばスプーンなどを口にくわえて待っているのです。
3歳くらいまでの子であれば、そういうことも不思議ではありませんが、5歳の子がそれではちょっと幼いといえます。


『人と関わる力』というのは訓練すればつくといった類の能力ではありません。
小さいときからの経験の積み重ねがあってこそ、それはその子のものとなることです。



これまでにも子供との関わり方についてはいろいろなところで触れていますが、今回は関わりの経験を大切にすることを踏まえてみていきたいと思います。


・大人は自覚せずに子供の経験を奪っていることがある

例えば乳児は一日のうちに何度もオムツ替えをしますが、子供に様子を聞きもせずいきなり脱がせて替えるといったことをする人も珍しくありません。

しかし、ここには本当ならばたくさんの相互の関わりが詰まっているはずなのです。

「おしっこでた?」
と語りかけてもまだ無反応の時期もそれはあるでしょう。
そのうち、「なんか言われているな?」という表情をしたり、「オチッコ」とか「デタ?」などとおうむ返しをしたりもします。
2歳くらいになると、出ているのにいつでも「デテナイ!」と言い張ったりしたりもありますね。

出ているのに「デテナイ」といったり、出ていないのに「デタ」といったりと言っていることが実際と違うこともありますが、それは問題ではありません。
人と相互にやりとりをする、関わるという経験ができているからです。


他にもいろんな物事をするときに子供の意思表示をまたずに大人は手を出してしまうということがあります。
たとえば靴を履くとき。
子供がなかなかうまくできないと、つい大人は黙って手を出してしまいます。

もちろん親切でしているのでしょうけれども、実はより大きな視点で見たときにそれは子供の成長の機会を奪ってしまうことにもなりかねません。

それに慣れきってしまうと子供はもう「やってもらう」ことが当たり前になってしまい、自発的にやろうとすることが減っていったり、無くなっていってしまいます。

実際に1~2歳のクラスの子供では戸外遊びに行く際、大人がはかせてくれるまでボーッっと待っているという子が少なくありません。


では、どうすればいいか。

子供に対するものであっても、大人が大人に対して関わることと基本的にはかわりません。
もし自分がなんらかの作業を一生懸命していて、それが端から見てあまり進んでいないように見えたとしても、熟練者がきて「おまえ下手だな」とばかりに横から手を出されて終えられてしまったとしたらあまり気分のいいものではありませんよね。
それでは自分はいつまでもうまくなりませんし、いつも手を出されていたとしたら「じゃああなたがやればいいでしょ」と投げやりになったり、やる気もなくなってしまいます。

子供への関わりも、援助する側の意思をつたえる、子供の意思表示を待つというのは大切なことです。
字で書くとオーバーなようですが、実際やることはそんな難しいことではありません。


「手伝いましょうか?」と声をかけてなんらかの意思表示を待つことであったり。
時間のないときであれば、「悪いけど、急いでいるから手伝いますよ」と声をかけてから手伝ったり。

ある程度言葉を発することの出来る発達段階の子供であれば、「出来ないときは『てつだって』って言っていいんだよ」とそのときそのときに適切な言葉を教えてあげるということも、子供を伸ばすのにとても重要なことだと僕は考えています。


なんでも手伝ってあげることが、必ずしもその子のためにはならないということですね。
ここでも過保護・過干渉がその問題の背景にあることがわかります。


指示待ちであったり、やろうとする意思がなかったり、人と関わる力が弱かったりといったこれらの問題は、大人との関わり方から引き起こされたといっても過言ではありません。
つまり大人が・親が、そういった人と関わる能力が未発達な子供を作っているということです。

そのことを子供と関わる大人が理解していれば、その事態を避けることもできるし、むしろそういった点に留意することで、さらに通常以上に子供を伸ばしてあげることもできます。


まず、気をつけるべきは「一方的な関わり」です。

これまでにもたびたび述べておりますが、日本の子育ては、指示や支配的な関わりにおちいりやすいです。
こういった指示・支配的な関わりだとどうしても「上から下へ」「大人から子供へ」といった一方向の関わり方になってしまいがちです。
子供は保護下にはあるけど、支配下にあるわけではないと僕は考えて子供に関わります。

次回、もう少し具体的な子供との関わりについて見ていきたいと思います。
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● COMMENT ●

祝・更新再開!

お忙しく、ご心労もたくさんあったでしょうに、再開していただき、嬉しく思います!

ちょうど数分前に、久しぶりにこのブログにアクセスして、再開を喜んでいた矢先に新しい記事が♪
タイミングが良すぎて、運命的なものを感じました。
これからも見させていただくので、無理はなさらず、また保育の参考にさせて下さいね♪

そうですね

再開されて嬉しいです!
また宜しくお願いします。

支配的になってますね。うちも。
「支配している」という意識もせず、もう当たり前に「こちらの都合だけで動く」という前提がある気がします。それこそが「支配」ですよね。
「彼女達は同僚・・・同僚・・・」と自己暗示してみます。(笑)私達はチームだと。

日本の全ての人間関係が、「上下」「支配」で成り立っているのかもしれません。そして小さい頃から「支配される」ことに慣れている、「考えないで指示を待つ」のが当たり前。
年齢で決まる序列を順番待ちするのが当たり前。だから、新参の「子ども」は自分より序列が下で当たり前。支配して当然。(と、意識さえしない)
これはもう、親子関係だけの問題ではなくて、日本人の組織や社会のあり方が親子関係に形として表れている、根の深い問題なのかもしれませんね。

過去ブログを読み返しながら、復活を待っていました(T_T)

あまり無理せず、続けてくださいね


おかえりなさい

再開、とても嬉しいです。
待っていました。

「一方通行」にならないように気をつけていますが・・・。
私もいつも「彼女は大人、大人」と自分に言い聞かせ、失礼の無いような言葉を選んで話をするようにしていますが・・・。

何せ私も人間で感情があって、しかも少し心が狭いので(笑)大変です。
今、1ヶ月のちびた君も我が家に加わったため、彼女の赤ちゃん返りもあり、毎日戦場のようになっていますが・・・。
これからも、おとーちゃんの知恵と知識をお借りして楽しく育児したいと思っています。

少し落ち着きましたら、相談したいことがありますので、またコメントさせてください。お願いします。

待っていました。

おとーちゃん。ブログの再開、心から待っていました。と言いながら、こんなのとを言うのもおかしいのかもしれませんが、ムリせずにおとーちゃんのペースで続けて下さい。

…うちの庭に植えたひまわりが大きく咲きました。子供達も初めて見るひまわりです。そうやって家族で季節を感じながら育児をしていきたいです。
そう思えるのもおとーちゃんのおかげです。

これからもよろしくお願いします。

おかえりなさい

まさかまだ再開してないよな~と何気なく見たら再開していて嬉しく思いました。わたくんやむーちゃんの記事も楽しみにしています。おとーちゃんさんらしく無理なくブログを続けていって下さい☆

これからまた寝る前の楽しみが増えました。
更新、楽しみにしています

はじめまして

ブログの再開嬉しいです。

今、11ヶ月の息子の育児に奮闘しています。
ブログを参考にし、少しずつ白木のつみきで遊ぶようにしていますが
つみきを投げます(涙)

つみきでタワーを作ってあげて、タワーを崩したら「上手だね、すごいねー」とうんと褒めて飽きるまでやってあげてますが、崩した後、もしくは積み木を積み上げている途中で積み木を両手でつかみ、ぽーんと・・・積み木に限らず、手でつかめるサイズのおもちゃならつかんでポーンと力いっぱい投げます。

投げたら

「投げたら人に当たって危ないよ、やめてね」

と言ってますがまだ11ヶ月なので分かってないと思います。
相変わらず、投げます(涙)

どうしたらいいのでしょう・・・

お友達と遊ぶときもこの投げる癖がでることがあるので冷や汗です。女の子の顔に当たろうものなら、、、と想像しただけで怖いです(女の子しかいないお母さんは怖いです・・・男の子のお母さんはお互い様よ~で終わることが多いのですが)

何かアドバイスをいただけないでしょうか
よろしくお願いします

最近の娘の成長

こんにちは、先月相談させて頂いたものです。ありがとうございました。



保育士おとーちゃんさんのブログに出会ってから、
子どもへの関わりが変わった為だと思うんですが、最近メキメキ娘の成長を感じています。関わりって本当大事なんですね。夜尿も去年の秋ごろからまたするようになってたのが、今はなくなりました。

話は変わりますが、
幼稚園に通い始めて、初めて「行きたくない」と冬休み明けて1週間後(4月から年少で、3月末生まれ)言われました。冬休みが明けてからお便り帳に「中遊びって書いて」と言って(外遊びは好きな方)
いたり、とても元気がない(風邪をひいて体調が悪い事もあったのか?普段風邪をひいても比較的元気なので)何より娘らしさがない事でとても悩んでいて、幼稚園の主任先生と話す機会をもちました。主任先生は「やっときたか!誰もが通る道ですよ」と「遅かったからちょっと時間かかるかも」と言ってましたが、話しを聞いて頂いたり、今までの娘の幼稚園での様子を教えてもらい私がとても気持ちが楽になりました。そしてその中で外遊びに行く時にスキーウエアーを着るのに、着ている服が少しがさばっていると、はきずらいズボンの事も理由のひとつかなと思い、その足で新しいウエアーを買いました。
すると次の日は「行きたくない、お休みする」の言葉は出てきませんでした。風邪が治り体調が戻った為もあったのかなと思っているところです。まあ何より娘らしさが戻りパパと二人とても喜んでいます。

自己肯定感たくさんつけてあげたいです。
色々参考にさせて頂いてます。結局の所、子育てって人に対しての関わりと同じなんですね。人として娘と共に成長していけたらと思います。ありがとうございます。










恵美ちんさん

>幼稚園に通い始めて、初めて「行きたくない」と冬休み明けて1週間後(4月から年少で、3月末生まれ)言われました。冬休みが明けてからお便り帳に「中遊びって書いて」と言って


幼稚園の先生がおっしゃるように、そういう風に声をあげることができるようになって良かったと思います。

それは、自分のきもちをおさえなくていいんだ、我慢しなくていいんだ、というところまで来たということです。

少し前まで、その同じ気持ちはあったけど、「出していい」という自信を持つところまではいけなかったので、いろいろとネガティブな姿として出ていたのかもしれませんね。

それを出せるようにしてあげたのが、受容的な関わりだったのだと思います。




「○○したくない」「行きたくない」と子供が言えるようになるのは、一見困ったことのようですが、実はとても大事なことなのですね。

そして、そこで言うことはその具体的なことだけを指しているのではなく、その裏にある自己肯定を求めていること、そしてそれを受け止めてもらえる(内容ではなく出すことを)ことで、それらを乗り越えていけるようになっていけます。

いまちょうどその段階だったのでしょうね。


そしてこれを乗り越えてしまうと、心の成長は急速に早くなっていくようです。
特に女の子は、あっというまに成長していくので、いまの一日一日を楽しまないとね。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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