2017-10

子供と死の問題 Vol.2 思春期においての死の問題 - 2011.03.25 Fri

ここで取り上げる「思春期における死の問題」とは「自殺」です。

思春期はさまざまな問題を抱えるようになる時期でありながら、その立場上解決困難なことも多く自殺という行動をとりやすい時期でもあります。

アメリカではずいぶん前から(15~20年くらいまえからでしょうか)自殺防止教育というものを中学・高校生くらいにするようになってきました。

それはある事件がきっかけとなったのです。
ある地方の街で思春期の子供が次々と自殺・不審死をするようになりました。
当初は原因が不明で、その年齢の子供がかかりやすいなんらかの伝染病なのではないかといった憶測も飛び交いました。

しかし、原因を追究していくと、ある少年の死きっかけとした、後追い自殺ということが判明。
(日本でも20年ほど前アイドルタレントの自殺からいくつもの後追い自殺が社会問題となったことがありましたね。)
それ以来「自殺は一種の伝染するもの」とアメリカでは捉えるようになりました。

日本ではいまだに普通に行っているようですが、生徒の事故死や自殺などを全校集会で子供に伝えることがあります。
アメリカではこれは自殺のリスクを子供たちに与える大変危険なことと認識されしないようになってきたそうです。

もし、子供の死を伝えなければならないときはできるだけ少人数で、それを聞く子供の心のケアができる環境で伝えることが必要だということです。


<アメリカでの自殺防止教育の一例>

一人の生徒に出てきてもらいます。
たくさんの紙コップを用意し、それを示しながら「この紙コップ1つがあなたが抱える問題のひとつとします。これからこれを渡していきますから、重ねる以外の方法で落とさないでもってください。」

「はい、これは進路の悩み」とひとつコップを渡す
「進学問題のなやみ」
「これは家族関係の悩み」さらにひとつ渡す
「友人関係の悩み」
「恋愛問題」
「自分の容姿へのコンプレックス」
「家庭の経済的な問題」
「勉強ができない」
「友人にドラッグをもちかけられる」
「友人が望んでいない妊娠をしてしまったこと」先生もう持ちきれませんというがかまわず渡す
「母親がアルコール依存症になりそう」
「父親が浮気しているらしい」  などなど・・

生徒は両手・腕・口にもくわえさせられていっぱいいっぱい
ここで教師が「さあ、あなたはいまどうしたい?」
生徒「全部放り出したいです」

「そうね、思春期はたくさんの悩みを抱えるようになる時期だけど、自分の力だけではなかなか解決できないことも多いのよね、そこでそういった悩みから開放されるために自殺という手段で放り出したくなってしまうことがでてくるの。でも、落ち着いて1つ1つ考えていけばなんとかなることもたくさんあるのよ。そういう問題にはどう対処していけばいいかこれからみんなでディスカッションしていきましょう」と様々な抱えている問題を生徒にあげさせ対応を話し合わせる。

イジメがない代わりにドラッグ問題があるあたりアメリカらしいですが、こういった話し合いの積み重ねなどを通して自殺防止の教育を普段から一般的に行っているそうです。(まあ州や地域の独自性も強いので日本のようにどこでも同じ教育内容とはなっていないかもしれませんが)


日本でも近年自殺者の数はたいへん増えています。
子供の自殺もやはり増えています。

子供が自殺することを望む親などどこにもいないでしょう。
しかし、現実にはそういう方向へ親が子供にいかざるをえなくしてしまうということがあります。
あとから後悔しても遅いのですが、親ならば子供をそこまで追い込まなくても救うことができるポイントというのは必ずあるはずです。

子供はどんなに反発していようとも、なんとか親の意向に添いたいという思いがあります。
その「意向」があまりに子供の苦痛になることであったりすれば、子供は「居場所」がなくなってしまいます。

子供の「居場所」をとっておいてあげることは親にとってとても大事なことです。

大人であれば、経済的な自由がきくし、行動の自由もそれなりにありますので、現在の境遇がつらければ自分で別の「居場所」をつくるということはできないことではありません。

しかし未成年の子供にとっては「居場所」というのは限定されがちです。
あまり外交的でない子であれば、自分の本来の居場所は「学校」と「家庭」だけかもしれません。

たとえばその「学校」でイジメにあったりしていれば、自分の居場所は「家庭」しか残りません。
その家庭でも「学校くらい出なくてどうするんだ」「イジメられるのはおまえが弱いからだ、もっと自分をしっかり持て」「子供なんだから学校いくのはあたりまえでしょ、がんばりなさい」

いじめられている事を伝えられずに、なんとか親を落胆させまいと隠しつつ耐えているかもしれません。
そんな中で「いい成績をとってこい」「いい大学に進学してほしい」などとさらにプレッシャーを加えられたりするかもしれません。
そうでなくても、子供に関心のない家庭だったり、暴力的、強圧的な態度の親ということもあるかもしれません。

そのような状況におちいってしまえば、子供には「学校」のほかに「家庭」という居場所も残りません。
そんな「家庭」を見限ってドロップアウトして悪い仲間とでもつるむようになれば救われるかもしれません。自分の殻を作って現実から目をそむけ引きこもりになれればまだいいかもしれません。
しかしそれもできない子であればどうでしょう?

「自殺」という考えが頻繁に頭をよぎるようになるのは時間の問題です・・・。


「命」を守ることに比べたら、学校の成績や望ましい進路や世間体など些細な問題にすぎません。
学校にいかなくたって、勉強できなくたって幸せになる手段はそれこそいくらでもあります。
親は子供の幸せを望むものだと思うけど、自分の望む型にはめようとするあまり、当の子供本人が見えなくなるということは少なくありません。

親の保護の下にある子供とはいえ、その子自身の持っている「居場所」というのはとても大切なものです。
そして、もっとも大きくて最後のひとつになりえるのは「家庭」という「居場所」です。
どこかひとつでも「居場所」が残っていれば自殺は防ぐことが可能です。
だから、どんなことがあっても親は「家庭」という「居場所」だけは子供から奪わないであげてほしいと思います。


僕のブログにはめずらしい思春期向けのお話でした。

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● COMMENT ●

思春期における死の問題、自殺…。確かに思春期の頃って変な言い方ですが、自殺に憧れるというか、とても興味を持っていたような気がします。好きな本が太宰治とか、村上春樹の「ノルウェイの森」だったりとかしました。すごく感受性が強い時期で、大人になった今なら笑って受け流せるような言葉にも、ひどく傷ついたり、誰も解ってくれないと絶望的になる一方で、すごく誰かに解ってもらいたかったりして…。でも、親に悩みを相談したかといえば、した記憶はないのですが、私は母が何があっても自分の味方だという確信があった気がします。(残念なことに父との折り合いは悪く、おまけにちょうど思春期の頃に関係が修復できないまま、癌で亡くしてしまいました。父の亡くなった年齢に近づきつつある今、ああ、父もまだ若く未熟だったのかと思えるようにはなりましたが、未だにどこか軽蔑の念があり、それは、私の中の男性一般に対するイメージにも多少影響を与えている気がします。ごめんなさい、話しがズレました。)

で、話しを戻し、母の存在が、私の居場所だったのでしょうね。お世辞にも、知性も教養もあるとは言えず、中学生の私に祖父母や職場の人の愚痴をこぼしまくり、悩み事まで相談されていたのですが、私の事を「全肯定」(こんな言葉あるの?全否定の反対という意味で使います)してくれていたんですよね。考えてみれば、すごいことです。自分の型に全くはめようとしなかった。だから、進路とか全部自分で決めたなぁ。ま、頼りなくて相談する気になれなかったというのもありますが。

いつものごとく、とっ散らかった話しで、おまけになんだか尻切れとんぼな感じですが、このままコメント送信します。ごめんなさい( ; ; )

家庭以外の居場所

お久しぶりです♪いつものぞかせてもらってます。

今回のテーマはとても興味深いですね。私も、本当に家庭が
最終的な居場所となれば自殺は防げるんだろうなって思います。

私自身は、家庭が居場所ない感じだったのですが、幸い友達に
恵まれました。ので、むしろ学校が居場所でした。

家庭が居場所であることが一番なのでしょうが、現代はなかなか
そうもいかないケースが多いように思います。

なので、子どもたちに「親以外の大人」と接することのできる
機会をもっと増やしていくことが大切では、と私は思っています。
学校の先生なり、塾の先生なり、また地域の大人たち。。。
誰でもいいけれど「自分のことを見ててくれる」人がいるって
いうのも心強いし、また親とは違う価値観を持った大人が
いるということを知ることも、親が居場所ではない子どもにとっては
とても大切なことのように思っております。

No title

自分の育った家族に思いをはせていました。
私にとってとても素敵な家族でした。
両親はいつも『命がけで守ってあげるから何かあったらいつでも言いなさい』と言ってくれてました。
幸い大きなトラブルも抱えてなかったので『命がけでだなんて、またオーバーな』と思ってました。
でも今回のテーマを読んで改めて思い返してみると、いくつもいくつも両親が私の為に闘ってくれた(ちょっとオーバーですが)ことが思い出されました。
やっぱり子供の知識と経験だけではどうにもならなかったり、できなかったりすることは多いですよね。

日本では我慢が美徳とされることが多々ありますが、必ずしもそうではないと思います。
いじめに耐え切れずに休学するのもありだし、転校するのもありだと思います。
いじめにあってる子にそういうことも可能なんだと伝えてあげるだけでも随分ちがうと思います。

あとは親が実際にそうさせてあげる勇気が必要だと思います。
これまた子供だけで手続きできることではないですから。

本当に『命』に比べたら学年が一つ遅れようがたいしたことないですもんね。
早く日本も「留学やボランティア活動で学年が一つ遅れた」とか「試験に合格して飛び級」とかが珍しくないようななって、休学転校と同様にみんながいろんな道を選べるようになるといいなと思ってます。

後半話がずれちゃってすみません。

kyomiuさん

子供のときは親っていうのは本当に特別な存在なのだけど、自分も大人になってみればやはり親も人なんですよね。
それで分かり合えるようになることもあれば、さらに反発してしまうこともあるけれど。

親って唯一ともいっていいくらい自分のことを全肯定してくれる存在といってもいいかもしれないですね。必ずしもすべての親がそうであるとはいえないけれど、でもkyomiuさんのお母さんはそれをしてくれる人だったのだからとってもいいお母さんですね。

へぶぶさん

そう、居場所ってどこかひとつでも残ってれば救われるんですよね。
イギリスのことわざだったかな、「賢いウサギは逃げ込む巣を三つ作っておく」とかいうのがありましたが、学校でも塾でも、友達でも、どっかひとつでも自分の居場所を確保できればいい、そのとおりなんですよね。

家庭が居場所になるどころか、もっとも居心地悪いところになることだって現実には多いし・・。
難しいね~。

えりぃさん

いいご両親ですね。
そう思っている人はたくさんいても、それを言葉にだしてきちんと子供に伝えてくれる親ってけっして多くないですよ。
自分を見守っててくれる人がいる、支えてくれる人がいるという思いは、普段はあまり気にしないことかもしれないけれど、実は多くのところでその人を支えているんですよね。


>日本では我慢が美徳とされることが多々ありますが、必ずしもそうではないと思います。

↑僕も同感です。
我慢しすぎて鬱になってしまったり、そんな不幸がたくさん目にするようになってしまいました。

もっと社会全体が柔軟なほうがみんな生きやすいと思うのだけど。
最近の就職難とかみるにつけ、なんか大学新卒じゃないとろくな就職ができない社会とかって、あんまり素敵な社会とは言いがたいですよね。


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