2017-09

親子遠足 - 2011.03.09 Wed

このあいだ、「保育園の遠足に弁当の代わりにスナック菓子を一袋もたせたら保育園から、お菓子ではなくお弁当を持たせてほしいと言われた。弁当代わりに菓子を持たせることのどこが悪いんだ、保育園にいくら文句を言ってもいい足りない」といった書き込みがネット上で話題になっていました。

それに対して、そう思うこと自体非常識だという意見が大半でしたが、「釣り」(人の気を引くための捏造)だろうという意見も多いようでした。

しかし、現実にはいろんな人がおりますので実際本気でこういう風に思う人もいるだろうなというのがわかります。


他の自治体ではどうかわかりませんが、東京23区の公立保育園ではわりと多くのところが「親子遠足」というのをかつて行っていました。

今もしているところはありますが「かつて」と言ったのは、だんだんとしなくなってきたところも多くなってきたからです。





この「親子遠足」というのはずいぶん昔にできた制度なんです。
僕が保育士になったころに退職少し前くらいの先輩たちに聞いた話ですので、おそらく昭和30~40年の初めくらいのことだと思われます。

当時はまだ貧しい家が多かった、多かったと言うより保育園にくるほとんどのうちが経済的に余裕がなかった。まあ、保育園にくるうちだけでなく世の中全体がまだ戦争からようやく立ち直ってきたころなのでそういったものだったのでしょう。

休日だからといって、家族で遊びに出かけるなんてこともまだほとんどなかったとのことです。
そこで、せめて年に一度くらいは親子で楽しめる日を作ってあげたいと、現場の保育士の働きかけとまだその頃は人情があった役所のほうでも、バス代の半分くらいは補助できる予算を取ろうとがんばってくれて、この「親子バス遠足」の制度ができたそうです。

その頃はまだ日給で働いている人なんかも多かったので、休んでしまえばその分お給料が減ってしまったりもするのだけど、それでも「こういう機会でもなければ、こうして子供と一緒に過ごせることなんてありませんでした」「遠足の日が来るのを親子ともどもずいぶん前から楽しみにしていて、がんばってお弁当作ってきました」などなど、とても感謝されたそうです。


現在この制度がなくなってきているのには、緊縮財政のあおりなどさまざまな原因があるにはあるのですが、ひとつには実行が困難になってきてしまっているというのもあると思われます。

実行が困難になっているというのは・・・。
本来は親子のためによかれと思って運動して勝ち取った制度なのですが、いまはともするとその親子遠足を終えてみるとクレームの嵐だったり、一緒に行くことで親同士の仲が険悪になってしまったり、時間やルール・マナーに対してルーズだったりと予想もしなかったような様々な問題があったりするからです。
そしてそれは年々増加傾向にあるようです。

以前にも、お母さんの代わりにきたお父さんがタバコを吸ったりしても、「子供たちの前ですのでタバコはご遠慮くださいね」なんて普通に話せば、「先生、ごめんね。これ1本だけ吸ったらあとは我慢するから」なんて快く受けて下さっていたのだけど、だんだんと時代が変わってきて「遠足のしおり」なんかに遠足中の喫煙はご遠慮ください なんて書いておいてもどうどうとお母さんたちがたむろって吸いだしたり、それについて遠足中はご協力くださいみたく伝えても、「そんなのは個人の自由だろ。口出しするな」みたく言い返されるようになってしまったり、まあ多少はしょうがないかと園側も見てみないふりをしたり。
と、思えばさらには遠足先の売店でビールなどを買って飲むようになってきてしまったり。



百歩譲って親のやりたいことを許容したとしても、親子で楽しむのが目的の遠足なので親子や気の合う仲間同士で動物園内を散策したりするわけなのだけど、親が自分の子を見ずに野放しにしてしまうので今度は子供の安全が確保できないというようになってしまいます。

いくら親子での行動をお願いしたとしても、万一事故にでもあってしまえば、それは園の遠足として行っている以上、園の責任です。

「くれぐれも親子で行動してください」となんどもお願いしても、毎回こういうことの繰り返しになってしまうので、そのうち親子での行動する企画よりも、園側で保育士が子供を見れるような企画にしてしまったほうが安全でなおかつ子供も楽しめるということになってしまいます。

しかしそれでも親子で行くことで、「バスで誰々さんのとなりはイヤだった」とか「補助席にすわらせられた、納得がいかない」「(親の自分が)車酔いするからいきたくない」「弁当を作るのが大変だ、園側で食事も用意しろ」などなど、本当に些細なクレームからお怒り、親同士の仲たがい、安全上のことから親にお願いすることですらそれにたいする不満などから保育士と親との関係を悪化させることになったりと、マイナスになってしまうことがとても増えてきてしまったようです。

なので予算的な問題だけでなく、運営上の様々な問題から、遠足そのものが無くなってしまったり、子供だけの遠足になってしまったりというところも出てきました。

良かれと思ってしたことがマイナスになる、仕事とはいえ悲しいことです。


最近では「常識をふりかざすような人間のほうが間違っている」なんていう論調もありますが、まあ確かに近頃は「常識」なんてことを持ち出しても何にもならない時代になってしまいましたね。
かつてはまがいなりにもあったはずなんだけどね・・・。

価値観の多様化というのは当然の時代の流れなのかもしれませんが、単に多様化しているだけならまだしも、こういう仕事で年々やりにくい方へやりにくい方へと移り変わっていくのを見ていますと、しばしば「価値観の多様化」と「モラルハザード」が紙一重というか表裏一体というような、やるせない気持ちになってしまいます。

むーちゃんメモ:ときどき「へにょ」「へにょ」って言っている。一説によると(おかーちゃんがいうには)「おはよう」のつもりかも。

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● COMMENT ●

モンスターペアレント多いですね。親子遠足ってなくなってきてるんですか。こちらは田舎なのでどこの園でもありますよ。
そんなひどい親もいないし…。
マシですね。

絶句…

こんばんは。
読んで絶句しました。

そういう親って保育園をサービス業とでも思っているんですかね?お金(保育料)を払っている自分達はお客様という意識でしょうか?世の中が金銭市場主義だから、そんな人が増えるのかな?

おとーちゃん達、保育士さんたちも本当にお気の毒です。モンスターペアレント対応なんかにエネルギーを使って、本来の仕事をする時間を潰される上にストレスまで溜まってしまいますよね。

でも、そういう人ってきっと一部ですよね?そういう一部の人のために、本来は楽しい親子遠足がなくなるなんて悲しいですね。クレーマーなんて、自分勝手でカッコ悪いって価値観が世の中に広がるといいのに。




No title

本当に・・・うんざりしますが実際にいますね。
一部に強烈なモンスターがいて、それに追従する人が出てくる。先生達が消耗しているのがわかります。子供の保育園の園長は、いろいろクセのある人ですが、毅然とした対応をしていると思います。それって大事なことなんでしょうね。モンスター親をきっかけに学校が荒れることがあるようですが、調べると学校の対応が及び腰だったことが原因にあげられて、そこを組織で団結して毅然とした対応を取ると改善する場合があるようです。(新聞の受け売りですが)

私も役員をしていたので、ありえないような理不尽な要求を受けましたし、不満のはけ口として集団で無視をするなどもありましたよ。「人間は獣なんだなぁ」とげんなりしました。
でも、ほとんどの人が「普通」と言われる感覚を持ってはいると思うんです。でも「常識」という印籠の効果がなくなっているから、モンスターを黙らせる手段が無い。対抗手段がない以上は、被害にあわないよう、黙ったり追従して身の安全を確保する。(←こういうのも、「獣」っぽくてげんなりします)大体の保護者はこういう状態だと思います。昔もモンスターはいたけれど、形だけでも常識的に振舞わないと世間で生きていけなかったんでしょうね。

最初にコメントを入れておられた方がおっしゃるように、「サービス業でしょ」「こっちはお金を払っているのに」「給料もらっているくせに」って見事に文句を言っていましたよ。営利目的のサービス業と違って、その場その時だけの満足を提供するわけではないのに。

人間だけで構成される社会だと、傲慢に理不尽に振舞った方が有利なことが多いのかもしれないなと思います。自然が相手だと理不尽な要求なんて通じない。謙虚に、相手に合わせつつ妥協点を探るしかない。徹底的に「自然」が排除された都市型の生活にも原因があるんじゃないかと、モンスター達を見てげんなりしながら思いました。

今の先生方は自然そのものの「子ども」と、都市化した「親」とを相手に仕事をされるわけで、(たいていの仕事はどちらか一方を相手にしてると思う)本当に難しい仕事だなーと思います。

って、私も意見はすぐ伝えるほうなのでモンスターリストに載ってるかも???でも先生方、いつも有難うございます(涙)おとーちゃんもいつも有難うございます(涙)

追記で

地震の方は大丈夫だったでしょうか?
我が家は地震発生時は3人とも保育園で、私もすぐには帰れず、夫も出張中でした。子供たちは無事園庭に出て待機し、先生方はピザなどを配ってくれたそうです。日ごろの避難訓練が重要なんだなと、今更ながら思いました。先生方も家族が心配だったろうに・・・本当に本当に感謝しています。
皆さまのご無事をお祈りしています。

No title

子供をもつ親だけに限らず社会全体でそうゆう自分中心とゆうか権利を主張される方増えてきましたよね。私は8月に出産予定の初マタなんですが、同じようなことを他の人もしてても年が若い(23歳)ってことだけでよく「若い人は…」みたいなことを言われました。
確かにサービスをうける側からしたら、してもらって当たり前の事かもしれないし、サービス業側からにしてもして当たり前なのかもしれないことでも、してもらって「ありがとう。」って気持ちでいるだけでみんなが気持よく過ごせる社会になると思うんだけど…「自由」ってことの弊害なのでしょうかね。考えすぎかな。

個人的な意見ですが、「その人にはその人の考えがある」とゆうことを尊重するのが当たり前な風潮になってきてますが、自分は親や周りの知人、社会や国に守られて初めて生きているとゆうことを忘れないでほしい。個人の自由や権利を尊重するとゆうのはそれを理解してくれる周りの人がいて初めて成り立つものだと思う。たとえ自分の意見が通ったとしても、その意見が正しいからとは限らないと思う。周りの人の配慮や気配りや優しさのおかげで自分が過ごしやすいようにしてくれてるんだということを忘れないでほしい。今は常識と言ったらけむたがられるのかもしれないけど、常識と一緒に思いやりや譲り合いとゆう気持もなくしてしまったのかな…。そうゆう人に限って自分の子供には「思いやりのある子に」とかって自分にないものを求めていそうな気がします。あくまでも私の周りの親を見てると…ですが。親がちゃんと思いやりを持って人に接してると子供は自然と思いやりのある子になるのに…。
せっかく社会がそうゆう風潮になって自分の意見を言える世の中になっても、自分の都合を押し付けて周りに迷惑をかけてしまうのでは意味がないように思います。
なんだか支離滅裂ですみません。
最近は本当にモンスターだらけで教育や保育の現場は大変ですね。
お体無理なさらないようにご自愛ください。

きららさん

おそらくなくなっていることの最大の原因は予算がないことだとは思うんですけどね。
でも、こういう状況もあるのでなにがなんでも存続してくれという声もでにくいんでしょうね~。

kyomiuさん

保育をサービス業と思っている人はこの頃増えてきているようです。
営利企業が開設している認証保育所などは、(親への)サービス業として運営しているところも珍しくなくなってきました。
「金はらっているんだから、開所時間いっぱいまであずかって当然だろ?」なんていうことを言うひともいます。

従来の保育士は「子供の人格を育てる」とか「福祉」としてという意識が強かったと思うので、「サービス業」と言われることには違和感を覚えたり、「寝耳に水」なんて感じる人も多いのではないでしょうか。

保育時間だけ預かればいいという仕事としてならば、この仕事でこんなに苦労はしないのですが、親だけでなく保育施設の運営側・経営団体・行政までが、「保育サービス」なんて普通にいうようになりましたから、なかなか理解してもらえなくなるのもしょうがないことなのかもしれませんね。

てんさん

本当にいまの世の中はゴネ得というか大きい声でものをいってしまったほうが勝ちみたいなところがあって、しばしばそういうことにうんざりさせられますね。
モンスターペアレンツと特別視するようなものでなくとも、普通にそういうことが起こっているようです。
てんさんもそういった経験があったんですね。
こういうことって精神的に堪えますよね。なんとも難しいものです。

地震の日は風邪をこじらせて家で寝ていたものですから、すぐ迎えにもいけたし帰宅難民にもならずにすみました。
ご心配ありがとうございます。

ゆずママさん

思いやりとか優しさとかがあんまり省みられない時代になってしまいましたものね。
そういうのって人として大事なことだと思うのだけど、悲しいことです。
せめてこれから大人になる子供たちにはそういう気持ちをしっかり持って育ってほしいと接しています。

8月出産ですか~楽しみですね、どうぞお身体大事に元気な赤ちゃん産んでくださいね。


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