2017-11

親のタイプから考える子育ての形 vol.5 「いいなり型」からの脱出1 - 2017.07.10 Mon

さて、長らくおまたせしました。

シリーズ最初の方の「支配型」についての対応も、この「いいなり型」からの脱出と共通点があるものも多いですので、ひととおり見終わってからまとめようと思います。





1,自己受容
これはどのケースにも共通なのですが、「こういう○○な私はダメなんだ」といった自己否定から頑張ってアプローチをするのは、とてもしんどいことですし、あまりその方向ではいい形として表れにくいです。

ですので、まず最初にするべきなのは、
「ああ、私はこうなってしまうのだな~」という自分の在り方を、いい悪いは別にしてそのまま受け止めてしまうことです。

・「私はよくない → 直さなきゃ」

ではなく、

・「私はこういうところがある → ああ、そうなんだな」

と一旦受けてしまうのです。
これをするだけでも、あとの対応や子供への影響に違いが出てきます。



2,自己認識(気づき)

・「私は子供が思い通りにならないと、とてもイライラしてしまう」
・「私は子供にどう関わっていいかわからなくて、つい甘やかしのようになってしまう」

こういった自分のことを気づけている人は、たとえ同じことをやってしまったとしても、気づけてない人に比べると子供への悪い影響は少なく収まります。

気づいていることで、問題の半分はすでに解決しているといってもいいくらいです。


これは、アダルトチルドレンなど傾向を持った大人のカウンセリングの症例を見ていくとわかるのですが、その親が自分の問題点を認識している場合、その人の子供であるカウンセリング対象はその問題を乗り越えていきやすいのに対して、それのない親の場合ずっと解決が困難になってしまいます。
つまり、その気づきのあるなしが子供には大きな違いがあると言うことができるでしょう。


ですので、この問題で悩んでいる人は、すでにその気づきを持っているということの証です。
ちょっとでもそれを安心材料にしていただいて、上の自己受容の方をしやすくしたり、自己嫌悪になったりするのを防いでいただければと思います。




<「いいなり型」からの脱出>

「いいなり型」の本当の問題点は、世間で言われるような「甘やかし」ではありません。

その子に大人と関わるときの対人モデルを「誰かをいいなりにすること」として身につけさせてしまったところにあります。

その大人が、その子の要求に応えることで関係を作ってきたために、その子はそれ以外の関わり方がよくわからなくなっています。
ここが本当の問題点です。




例えばですが、

安定した対人モデルを獲得できている子が

a,「ママだーいすき!」と抱きつく

という行動に出せるのに対して、「いいなり型」で関わることにより、対人関係を他者をいいなりにすることとして獲得させられてしまった子は、

b,「ママ、○○やって!」と要求する

という形で出さざるを得なくなっているといったことです。


a,bともその子たちが求めていることは同じなのです。
「自分に対するあたたかな注目を確認したい」という思いです。

でも、その子が獲得している「対人関係のモデル」にのっとって行動すると、これだけの違いがでてきてしまいます。



これがエスカレートしてくると、さらにその差は大きなものとなっていききます。

例えば、親が仕事が忙しくて子供に余裕を持って接する時間が少なくなったり、保育園のお迎えが遅くなったり、表情に笑顔が少なくなったりするとしましょう。


そのとき、a,の子もそれなりに強い形ででてくることはあるにしても、まだ比較的受けやすいものになるのに対して、b,の子はそれが感情的なゴネになったり、要求することも理不尽なものになったりし、親の対応の大変さはいや増すばかりです。

もともと、子供とどう関わればいいかわからずに「いいなり型」になってしまった人がそれを受けるわけですから、上手にそれを受けていけるということはなかなか難しいです。

そのとき、怒ること、叱ることで対応せざるを得なくなったり、どう対応しても安定した姿になってくれないことから無視になってしまったりします。

また、自分でもよくないとわかっていることまで許容してしまうといった、さらなる「いいなり」になって、服従型の子育てになってしまう人もおります。
この状態もつらいのだよね、自分ではどうすることもできない状況になって、自分でもよくないとわかっていることをするしかなくなってしまうから。同時にそういった親である自分を他者はどう思っているかという強迫観念的な気持ちも強くわき出てくるのも受けなければならないからね。




では、どうすればこの状況を変えていけるかということが問題ですが、

多くの人は、「いいなりになることがよくないのだ」と気づくと、「いいなり」をやめなければと考えます。
当然の思考です。

これで解決することもあります。
それはもともと程度がさほどのものでなかったり、自分以外の子供に関わる人の適切なサポートがあったりすると、そうなりやすいでしょう。


しかし、これでは解決しないこともあります。
いいなりをやめることでどうなるかというと、多くの場合怒ったり叱ったり、疎外や無視を使うことでそのいいなりに対抗することになります。

いわゆる、しつけの概念の「甘やかすな」「しつけをしろ」「大人はしっかりと叱るべき」といった考え方がそれに拍車をかけます。


それによって、「いいなり」=「甘やかされた姿」を打ち消そうとします。
しかし、現代の多くの「いいなり型」は、「しつけの子育て」が指すところの「甘やかし」ではありません。



子供の側から考えてみましょう。

それまで、親との間の対人関係のモデルの主要なものを「親をいいなりにすること」と理解して成長してきた子が、その「いいなり」にする行動をシャットアウトされたら、その子はどうその人と関わっていいかがわからなくなりパニックになります。

するとその子は、なんとかその大人と関係をつなぐためにさまざまな方法を模索します。
しかし、その子が試せる行動はその子がもっている対人モデルの中からしか選べません。

他にも関わり方を知っている子であれば、それを試してみるかもしれません。
それはいいものもあれば好ましくないものもあるでしょう。例えば親の顔色をうかがうようになるなど。
いいものであれば、その子はその方法に安定を見いだすことができる場合もあるかもしれません。

しかし、ここには現代の子育ての大きな問題のひとつである、個別化した子育て(母子間の密接すぎる子育て)の弊害がでてきます。
たいていの子が、その親から与えられた対人モデルしか持てていないのです。
だから、さまざまな方法を試すことがそもそもできません。



その結果、さらに「いいなりにする行動」を強化するしかその子に選択肢はありません。

ゆえに理不尽なゴネや、ゴネのボルテージを上げる行動になります。
親は余計にうんざりし、疲れるばかりです。

その子供は、それでも通じないとなると、どうにかして親に自分の方を向いてもらおうと必死にならざるを得ません。


そこから、
ある子は、してはいけない行為をわざとするようになります。

ある子は、親に向ける行動ではなく、行動が激しくなったり、ものを壊したり暴れ回るような行動でそのストレスを発散します。

またある子は、そのストレスを自身の内にため込んで、萎縮の状態になっていきます。


このように、それまで「いいなり型」で関わってきた子供の対応を「いいなり型」をやめることだけでは容易に解決しないのです。

つづく。

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● COMMENT ●

おとーちゃんさん、こんばんは。
ここにいっぱいコメントしていたころはよくわからなかったんですが、今はおとーちゃんさんの仰ること、とってもよくわかります。
2歳の娘は「だっこしてぇ~」とそれはそれはかわいく甘えてくるのに、4歳の息子はするなと言うことをわざとするし、ゴネゴネ、グダグダで、毎日うんざりします。
息子にどうしてそんなことするのか聞いてみると「本当はやさしくしてほしいんやで」と。
わが身を振り返ってみると、息子は着替えている時もごはんを食べている時も大きな声でしゃべりながらあっちに行ったりこっちに行ったりウロウロ。いつもドタバタ走って飛んでぶつかって。男の子はみんなそんなもんだと思うのですが、それでこちらも気が立ってついつい怒鳴ってばかりの関わりになってしまっているんですね。
男の子はそんなもん、そんなもん、と自分に言い聞かせて気持ちを和らげようとしているんですがなかなかうまくいきません。

なるほど

以前近所の何をしても全く叱らないいいなりママさんのお子さんが大きくなるにつれ傍若無人になって来てしまい、最近ようやく叱りだしたところまさに嫌なことをわざとやる感じになってしまっていたところだったので、この記事を読んでなるほどなあと思いました。
傍から見ていてもどうしてあんなに子供が偉そうなんだろうと思っていましたが、ママがそういう関係にしてしまっていたんですね。
今は引っ越していってしまい、うちの子にも意地悪などされていて正直ほっとしていましたが、そう考えると少しかわいそうだったんだなと思いました。

まさに一年前のわたしの子育てです。

 5才半の女の子の母親です。記事を読んでまさに一年前のわたしの子育てだと思いました。
 こどもを預けて働くことに周囲が反対だったため、罪悪感から子どもへふつうに接することができませんでした。かなりいいなりだったと思います。保育園からの帰り道、徒歩20分のはずが90分かかることがざらにありました。毎日、一時間はかかっていたと思います。同じ道を何度も通ったり、すわりこんだり。。コンビニに寄りたい、電車に乗りたい、本当はあれがしたい、あれはしたくなかったといいつづける90分間。ずっと目をつり上げた不機嫌な娘と過ごすのは、正直つらいことでした。車道に突飛ばされた日すらありました。それでも叱れませんでした。
 保育園でのストレスをどう発散していいかわからず、母親である私にも上手に甘えることができていなかったんですね。
 転機は下の子を妊娠したことでした。夫婦で育児休暇をとり、持てる時間全てを赤ちゃんではなく娘に注ぎました。たくさん一緒に遊び、抱っこして、絵本を読んで。そして、働いているという罪悪感がないため、だめなことはだめと叱ることができました。夫婦でかわいいかわいいと本人の前でいいつづけました。
 娘の姿は一年前と別人のようです。保育園の帰り道、にこにこと笑いながら今日の出来事を話してくれます。車がくるから赤ちゃん危ないよと教えてくれ、エレベーターのボタンを押して待っててくれます。もちろん帰り道にかかる時間は20分だけです。あの大変な三年間の帰り道が嘘のようです。 
 これからもブログを読んで子育てについて勉強していきます。
 いつもありがとうございます。


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