2017-09

「介入しない」の裏にある保育士の配慮 - 2017.03.23 Thu

前回の記事のスピンオフみたいなものです。
(保育の話なのでカテゴリーは「保育の質」のところにしておきます)


その中で保育士が「介入しないこと」にこそ高い専門性があると述べました。
せっかくですからそこをもう少し書いてみます。






「介入しない」のと「子供を見ていない」のは当然ながら違います。

例えば、保育士が保育士同士の私語で盛り上がって子供を見ていないような状態が慢性的になっていたら・・・・・・。それでも「介入しない」には違いありませんが、保育としてみたとき子供の様子はまったく違ってきます。

それだと子供たちは「見守られている」安心感がないので、危険なことの頻度があがったり、子供同士のトラブルなどもより余裕のない形で出てしまったりします。

「見守られている安心感」というのは無形のものなので、目に見えませんがこれの積み重ねはとても大きな影響を与えます。

ですから、子供を見ていないがゆえに介入しないことと、見守られてはいるが介入しないことはまったくといっていいほど違います。

(ただ、これはあくまで保育上でのことです。
家庭での子育てであれば、もっと気をゆるめて考えてもいいかもしれません)




では、「私語は一切禁止!子供にケガや不適切なことがないようにしっかりと見ていなさい!」と保育士が上から命令されているような保育もまた違います。

そのような姿勢では、大人のピリピリとした緊張感があり、笑顔や保育士の心が開示された状態(受容的な姿勢)が失われがちで、子供は心から安心感を持って過ごしたり遊んだりすることができません。

子供をまったく見ていないよりははるかにましではありますが、あまり好ましいこととは言えません。



この「保育士の心が開示された状態」(受容的な姿勢)というのは、保育士をする上でとても重要な適正ではないかと僕は感じています。
これが元々その人の性格やセンスでできてしまう人もいますし、経験を積む内に習得できるようになる人もいます、演技や意識的な努力・職業的な人格(ペルソナ)を使ってそれを打ち出せるという人もいるように思います。
しかし、これができない、不得意という人がいるのもまた現実ではないかとも思います。
それが下手な保育士を責めるわけではありません、僕自身ももともとそのセンスがない人間です。
僕は経験により習得しました。

まあ、難しいことを考えずに「リラックスして保育ができる」くらいにとらえてもいいかと思います。



さて話を戻しましょう。

この「介入しない」というのも、なんでもかんでも「介入してはならない」ということではありません。
臨機応変に、そのとき、その子、その状況を踏まえて判断していくことが大切です。


例えば、噛みつきが慢性的に出ている子や、なんらかの問題を抱えていて他児を傷つけるような行為が普段から出ている子と、トラブルやケンカになっても他児を傷つけるようなことをしないとわかっている子だとしたら、どの程度介入するべきかはおのずと変わってきます。


また、そういった判断も日々、そのときそのときで違います。
普段は他児を傷つけることをしないような子でも、なんらかの事情で疲れていてイライラしていたり、朝登園前にお母さんに激しく怒られて不安定になっているなどといった様子があれば、どこまで介入しないで見ていられるか、どこから介入すればいいか、また相手によっても「ああ、あの子相手だと激しいケンカになりかねないな」などなど、いろいろな要素がありそれらへの判断と対応が要求されます。



また、その子たちを見守っている間も、その子たちだけを見ていればいいのではなく、子供全体への視点を維持しています。

「まだ幼くて公園から出て行ってしまいかねない○○ちゃんはどこにいるな」「他児に手が出てしまう○○ちゃんは、だれとどうやって遊んでいるかな」「滑り台で遊んでいる子たちは安全に遊べているかな」「なんでも拾って食べてしまうくせのある○○ちゃんからは目を離せないな」などなどを同時進行で意識しています。

一見、公園で子供たちと楽しそうに遊んでいるだけに見える保育士も実はその背後でなかなかの職人芸を発揮しているのでした。

しかしまあ、保育士になって2~3年目でそれができてしまう人もいれば、30年やっているのに全然できないなんて人もいて保育って難しいなとも思います。



そのようにそういったさまざまな配慮を勘案して、「介入しない」という専門性が発揮されるわけです。
ですから、前の記事でも誤解のないように(ここは誤解されることがおおいので)括弧付きで書いていますが、「介入してはならない」という意味ではないことをご承知置き下さい。




以上は保育上のお話ですが、別に家庭で我が子の子育てをする分には、そのように厳密に考える必要はまったくありません。

子供の「依存」の問題は、大人の姿勢・考え方から無意識に作られる部分が大きいですので、「できるか、できないか?」よりも、「気づいているか、気づいていないか?」に左右される部分があります。

だから、「依存ってものがあるんだな。このようだとなりやすいらしい、ちょっと心に留めておこう」くらいでも家庭の子育てであればずいぶん軽減されるところがあるのではと思います。


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