2017-10

「いまこうしなければ、将来そうならなくなるのでは?」という不安について vol.1 - 2017.07.28 Fri

「子供に支配的に関わってしまう」
「子供が心配で過保護に関わってしまう」
「子供が自分でしないのを見て過干渉に関わってしまう」

こういった関わり方の傾向を持っている人の背景に、タイトルにした

・「いまこうしなければ、将来そうならなくなるのでは?」という不安

があるケースがあります。
この不安がある人の場合は、子供への関わりが激化しやすいです。




そういう人は、「自分は怒りすぎ、叱りすぎ」といった子供への関わり方や、子供の問題行動の部分に目が行ってしまい、その根っこにあるものに気がつかなくなってしまいます。

この問題の根っこは、大人のもつその不安の心なのです。
ですので、ここに手を当てていかないとなかなか解決につながりません。


この方向で子育てに取り組んでしまっている人は多いです。そして、そういう人は増えています。




この子育ての傾向は、子育てのいろんな場面で見られますが、特に多いのは、食事だとかあいさつなどのマナー、集団での行動、友達とのやりとりなどです。
それらは、いわゆる「しつけ」として一般に重視されている部分と言っていいでしょう。


例えば、

・「子供に食事を残すことを許容したら、この子はずっと残し続けるようになってしまうのではないか?」

・「2歳の我が子が友達とものの取り合いをしている、ここで取らないことを教え込まなければ、ずっとそういうことをし続けて友達がいなくなってしまうのではないか?」


このような、不安・心配が強くあると、その子への過保護、過干渉、支配が子育ての中で強く出てきてしまいます。



では実際はどうでしょう?

大人が介入して、子供に無理矢理それをさせると子供はそれができるようになるでしょうか?

結果的に、そういった大人の働きかけでそれが達成されるようになることももちろんありますが、実のところ、そのような結果が見えたとしてもそれは大人の介入の結果というよりも、子供自身のもつ成長する力に負うところの方が大きいです。




僕の経験や知識から言えば、「子供は支配してやらせればかえってやらなくなる」というのが本当のところだと感じています。


例えば、1歳児クラスのときの担任が支配的な保育士でビシバシ子供に関わって、次の年度その子たちはどうなるかというと、まったくやらない子ができあがっているのです。

そして、その子たちは単にやらない子ではなくて、「大人を信頼しない子」になってしまっています。

たとえ、目先の行動ができるようになったとしても、そのように大人を信頼できない子にしてしまっては、ずっとデメリットの方が大きくなってしまいます。



子供は目先の行動を大人に関わられることで達成せずとも、ほとんどの必要なことは獲得していく力を持っているのです。

ただ、いま述べたようなあたりはあくまで「理屈」なのだよね。



自身が支配的に関わられて育ってきた人は、そのときの「それを子供に要求せずにはいられない感情」の部分が問題なわけです。

ただ、一応子供の成長のメカニズムから言っておくと、そのようにやらせたとしても育つわけではないというのが実際なのだということは頭の片隅に置いておくといいでしょう。


そうやって見てみると、この問題の本質は「大人の感情にこそある」ということが浮かび上がってきます。


僕もこういうことは山ほど経験してきました。
僕自身、保育士になったばかりの頃、まだ未熟だったのでそのように「子供のため」という気持ちで支配的な関わりがたくさんでてしまっていました。

それゆえに、なだめたりすかしたり、怒ったり、叱ったり、あの手この手で子供になんとかそのものごとを達成させようとするのです。

食事のこともそうだし、並んだり、集団での行動をするという場面などで。

しかし、それが結局は子供の何ものをも伸ばしていなかったことに、経験を積むうちにわかってきました。
それを理解できたことは、本当に幸運としか言いようがありません。

実際、僕と同じような立場の人でも、それに気づけず何年やってもそのまま続けているという人は多いです。

それに気づけたことで、僕はそのままいけばおそらく確実に我が子にも支配的子育てをしていたであろうところ、毎日子供と笑ってすごせるというこの上ない喜びを得ることができました。
今度はそれを他の人にもお伝えするのが自分の使命だと思っています。




この問題、突き詰めると子供への関わりというよりも、大人の方の気持ちの中にある感情や考え方の問題です。


それに対するアプローチはいろいろあるのだけど、そのひとつはこの前まとめた「自分の規範意識をゆるめるために、自分を甘やかす」ということでした。



ここでお伝えしたいのは、子育てのあり方・メカニズムとしての知識。

「子供の姿は私だけが作っていない」

ということです。

講演や相談会などでは、このお話をよくしています。


次回、それについて書いていきます。

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● COMMENT ●

はじめまして。
8歳と5歳の男の子を海外で育てています。上の子が生まれた頃からよく読ませていただいています。かまわぬのバックグラウウンドがなつかしいです。

今回の記事に書かれた不安は上の子が赤ちゃんの頃から感じていたものです。私の場合は自分が対処できなかったらどうしようと思うばかりに、問題が起きないようにコントロールフリークになってしまいます。問題が起きた時に対処すればいいというふうには構えていられません。またこうあるべきというものに縛られています。子供が真似をすると思いながらも、イライラして最後には火山の噴火のように怒ったり、それでまた結果的に支配したりしています。ですから、子育てそのものを楽しいと思えたことがありません

それが伝わっているのか、上の子は自信がありません。自分の存在価値が感じられないんだと思います。そして特異性言語障害(言葉の理解と表出に遅れがある)があることがわかりました。普通なら自然に理解して習得できるところができないし、本人の努力と結果が結びつかないので、いろんなところで否定が多いです。私もこの子にはあれもこれもとどこまで教え続ければいいんだろう、でも全てを教えるのは無理だと思ってしまいます。

友達や弟の関わりの中で、怒ったときや思った通りにならないとき、最後には手が出てしまいます。今日も弟を叩いたので、支配的に怒ってしまいました。私は叩くことはしないけど、上の子がやっていることは私の怒り方と基本的に同じなのかなと思ったりしています。

上の子は人を傷つけることはよくないとわかっているのにそうしてしまう、そして謝るの繰り返しです。この子が自分で叩かないという選択を獲得していけるのか、それを信じられるのかと問われるとわかりません。ただ支配的にしなくても他のアプローチがあるだろうとは思えます。

もう8年もそんなふうに来てしまったので、取り戻せるのかとまた不安になってしまいます。前回の記事のチェックリストにあった親を今自分がしているような気がして、子供にそういう生育歴を作っちゃいけないと思いました。じゃあどうすればいいのか、障害の有無に関係なく親の身の置き方を知りたいです。記事の続きを楽しみにしています。

こどもの城小児保健クリニック院長でいらした巷野悟郎先生から教わった、「子育て」ではなく「子育ち」だよ、という言葉を、数年ぶりに思い出しました。

あなたも結婚して子供を産むときが来たら思い出してね、と言われたのにすっかり忘れ、子どもが育つのを見守るどころか、必死に粘土を捏ねくっていました。

どんな花が咲くかは、私があげた水の加減だけで決まるわけじゃないんですよね。
どんな花でも、その子が一生懸命咲かせた花。


ブログを開くたびに、いつも大切な気づきをいただいています。ありがとうございます。

小学生のころ、一部の男子が大嫌いでした。いつもふざけてばかりでやかましく、ちょろちょろ走り回る子たち。我が子がそんなふうになるのは絶対に嫌、という気持ちから、ついついふざけることに過敏になりすぎているのかもしれません。
先日家族で小旅行をしたのですが、食事中に足をテーブルに上げて「やめなさい」と言っても聞かず、むしろふざけて両足を上げる始末。妹をひっかき、これも「やめなさい」と言ってもしつこくひっかこうとする息子。
おとーちゃんさんならどうされますか?
テーブルは食事をするところだから外を歩いた足を乗せるのは汚いと説明するとか、痛いことや危ないことをしたときは怒ると、あらかじめ平常心のときにいっておく、ということはすでに何度もしています。
そのうち自分で止めるようになると思って、テーブルに足を乗せていてもお構いなしに「おお、足が乗っとるなぁ」などと言いながら楽しく食事する?
妹をひっかくのは、「ひっかいとんか?」とにこにこする? (それでは妹がかわいそう)
投げやりになっているわけではなく、たぶんじいちゃんばあちゃんだと「足がのっとるなぁ。あきませんで」といいながらにこにこ顔で食事をつづけるだろうな、それもありなのかな、という気持ちで書いています。ばあちゃん(私の母)に相談すると「そら男の子がおとなしかったら病気やで」とのこと。そんなもんなのかなという気持ちもちょっぴりしています。
堀川真さんの育児漫画を読んでは、男の子はどこもこんなもんか、と妙に安心したりもしているのですが、かわいいわが子が、昔自分が嫌いだった憎たらしい男子どもになってしまうのではと思うと、ふざけてエスカレートするのは止めてほしいなぁ、と思うのです。

私は、友達が少ないです。
すぐ単独行動をします。
集中するとそればかりに没頭しがちでした。
なぜ周りと同じ行動をとらなければならないのか、子供の頃からとても不思議でした。
先生の話を理解し、大きく逸脱しない程度に合わせれば、それで事足りるのに。

子供三人の末っ子であったため、親からどうこう言われた記憶はありません。
しかし、周りの女の子からは言われていました。
なぜ誰かとトイレや移動教室を共にしないと、変わっている子になるのか。
休み時間に一人でいることが、昼休みに一人図書室に行くことが、そんなに変なのか。
タイミング合えば一緒に行くけど・・・
本当に不思議で、理解ができませんでした。

小学生の頃から、女の子は苦手意識があります。
暗に同じであることを強要してくる人が多いから。
うるさい男の子のほうが、見ていると、普段は繊細な子ばかりでした。
本当に性格に難ありな男の子は、うるさくなかったです。山の上のほうで不動の地位を確立してました。
私の小学校の学年では、ですが。

そういう文化と言われれば、それまでなのですが・・・
もう少し、この風潮がゆるめばいいなと、ずっと思っています。
人間なんてみんな違うのに。
どこまでが個性で、どこからが異質なのか。
個性とみなされる範囲が、もう少し広がればいいな。
この気持ちを、子供が大きくなったときに、共有できればいいなと思います。

無関係なことつれづれすみません。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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